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1200 MIC'S インタビュー150号

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 PSYトランス・シーンの最高峰に位置するレーベル、TIP WORLD。その主宰者であり、シーンのゴッドファーザーと崇められるカリスマが、音楽活動歴40年を誇る、御大ラジャ・ラムだ。彼が同じくPSYトランス界の盟主であるGMSのリクタムとバンジー、およびDJシカゴと組んでいるユニットが、ここに御紹介する1200マイクログラムス(以下、1200 MIC'S)。スペインはイビサ島を拠点に、フロア・アンセムを次々叩き出す、シーン屈指のモンスター・アクトだ。  彼らが、このたび3年ぶりとなるニュー・アルバム『Magic Numbers』を完成させた。ラジャラムによるスリリングなポエトリーリーディングで幕を開ける今作には、スタジアム級のフルオン・トラックが7曲収録されている。  夏レイヴのマスト・アイテムとなるであろう『Magic Numbers』と、1200 MIC'Sのコンセプトについて、ラジャ・ラムに話を聞いた。


2匹の蛇が語ったこと
——1200 MIC'S のメンバーとは、古いつきあいなんですか?
「GMSのリクタムとバンジーには、彼らが16歳の時に、ゴアで初めて会ったんだ。そのとき、彼らの素晴らしい音楽に感動してね。“私の家に遊びにおいで”と誘い、翌日我が家でパーティーを開いたんだ。もう15年ほど前の話だ。彼らは、今ではとても有名なアーティストになったね。シカゴとも同じ時期にゴアで会ったんだ。彼とは、いくつものパーティーへ一緒に出かけて、何時間も音楽について語り合った仲だ」

——1200 MIC'S結成の経緯を教えてください。
「ある時見たビジョンがきっかけになっているんだ」
——ビジョン?
「そう、それは50年ほど前にブラジル政府が合法にした、何千年も続いているアヤワスカ・セレモニーでのことだった。そのセレモニーは、ビーチのそばで行われる、非常にスピリチュアルなもので、私は先住民に招待された。そこで私は、先住民たちとジャングルに入り、ワインに似た液体を飲んだ。飲んだあと、二日目に、2匹の蛇がやってきて、彼らは私に、こう語りかけた。“リクタム、バンジーたちと、ドラッグ体験をもとに音楽をつくれ”とね。1200 MIC'S は、そのビジョンに従って始めたんだ」
——アヤワスカですか…(編注:幻覚作用のある植物飲料。日本では違法ドラッグ扱い。)
「だけど、1200 MIC'Sを通じて、リスナーに非合法なものを勧めるつもりは全くなかったし、良いものだと主張する気もなかったよ。得た体験を、純粋にアートとして表現することが目的だった。ドラッグを用いずとも、2匹の蛇が語ったことを感じさせられる音楽をつくりたかったんだ」
——1200 MIC'Sのファーストには、アヤワスカ以外のドラッグ名も出てきますよね。
「誤解しないでほしいことなんだが、私が初めてティモシー・リアリーらとNYでLSDを体験した'60年代当時、LSDはまだ違法ではなかった。エクスタシーもね。私にはその当時の経験があったから、リクタムやシカゴに、私が見たビジョンや体験に関する説明ができたんだ」
——なるほど。あなたは、そもそもサイケデリック・ロックバンドのクインテッセンスで活動していましたものね。
「ああ、プロとして音楽を始めたのは'60年代の話だ」
——サイケデリック・トランスに傾倒するようになったのは、いつ頃からですか?
「DJを始めたのはゴアへ行ってからだね。1990年に初めてゴア・ミュージックをつくった。それからは、つくった音楽をいろんなパーティーへ持って行って、多くの人がその音楽で踊る姿を見るのが、大きなインスピレーションとなった。そして全てが変わった。毎日毎晩、どこかのパーティーで、私はPSYトランスをプレイするようになったのさ。美しくスピリチュアルな音楽を世に発信していくことが、私の使命だ」
トランス、つまり高い意識
——1200 MIC'Sであなたは、見事なフルート演奏を披露していますね。フルートはいつ覚えたんですか?
「若かった頃、NYでジャズを2年間勉強したんだ。素晴らしいミュージシャンに師事し、彼からインプロヴィゼーションを教わった。世界中のどこへ行こうが、インプロヴィゼーションさえできれば、誰とでもセッション可能なのだと教えてもらった。このアイディアをトランスに融合させると面白いものができるんだ。コンピュータで制作された音楽にフルートをのせる時は、どんなものになるか自分でも全く想像できない。そのときの心にまかせて吹いているよ」
——フルートを吹くときは、何をイメージするんですか?
「これまでに旅した、世界中の美しい風景をよく思い出している。インドやカンボジアへ行くこともあれば、ブラジルのジャングルへ行ったり、シュポングル・ランドへ行ったりもする。シュポングル・ランドは、私だけがパスポートを持っている特別な場所で、他の惑星でエイリアンがどんな音楽を聴いてリラックスしているかとか、どんなことを考えているか想像する場所なんだ。いずれにしても、重要なのは考えないことだね。考え始めると、自分がどう見えているか心配したり、オーディエンスは気に入ってくれるだろうかとか、お金のことなど、良くないことをイメージしてしまう。音楽には心理的な要素が強く出るから、マインドをフリーにする必要があるんだ。スピリチュアルな成長に日々取り組み、より良い人間になるべく努力することも大切だね。もしそれができれば、音楽はよりピュアになる。エゴを捨て、音楽の正しい目的のために努力することが必要なんだ。音楽の正しい目的は、本当に好きだからやる、お金のためにやらないというところにある。その好きという気持ちから発見が沸き起こる。その発見を友人たちとシェアするのも、正しい音楽の目的だね」
——エゴを捨て去るのは、簡単なことではないですよね。
「フルにトランスしている時には、エゴが消え去り、この宇宙に存在する全てを、子供のような気持ちで見られるようになる。でも、トランス、つまり高い意識へと到達することは、何も新しいことではないんだ。何千年も前から人類が体験してきたことだ。よく私は“Caveman(洞窟に住む原始人)がRavemanに変化した”というジョークを言う(笑)」
——それについて、詳しく説明してもらえますか?
「原始人が洞窟から出てきて、マッシュルームを食べ、たき火を見ていたら、これまでにない体験をしてしまうだろ? 目に見えない、説明できない体験をね。それは、神への信仰になるかもしれない。だけど、そこで本当に見ているものは、一人一人の中に宿っている神だ。そこで、自分自身が神であることに気づくんだ。ここでは神という言葉を使ってみたが、これは他に例える言葉がないからであって、例えば気やフォースといった言い方でもいい。神秘的で崇高な存在を指している。原始人のこういった行為や、レイブで踊ることは、自分自身が誰なのかを見つける長い旅の一部なんだ。それを見つけるためには、みんなで手を差し伸べ合うことが大切だよ」
——あなたはクリエイティブな産物をつくることによって、人々の長い旅を手助けしているんですね。
「ありがとう。そうだと嬉しいね。大工、配管工、医者、それぞれ職業があるけど、光に向かって役割を果たしているのなら、みんなは助け合っていることになるね」


数字は言葉のようなもの
——それでは、ニュー・アルバム『Magic Numbers』について聞かせてください。タイトルから察するに、ズバリ今回のテーマは“数”ですか?
「そう、数字に関するコード、パズル、謎などについての作品だ。CDの中には数字のパズルでいっぱいのブックレットがある。パズルは簡単そうに見えて、意外と難しい。全部解けたらTIPの曲、1000曲が入ったiPodが当たるんだ!」
——素晴らしい企画ですね! どんな想いを込めてパズルを同梱したんですか?
「今はダウンロードが主流になってきたけど、コンピュータではダウンロードできないものもある。今作のように、実際手にとってアートワークを楽しめる作品なんかがそうだね。1年後に捨てるようなものではなく、コレクター心をくすぐるようなもの、みんながいつか孫たちに“'07年にこんなものがあったんだよ”と自慢できるようなものにしたかったから、パズルをつけたんだ」
——なぜ今作のテーマに数字を選んだんですか?
「私たちの周りにある全てのものは、数字と深く関連している。パスポートなどの書類、テレビを見るためのコード、メール・アドレスなど、あらゆるものにはデジタルの数字がついている。しかも数字は、私たちの人生にどんな意味があって、どこへ向かうのかという謎にも深く関わっている。だから、このアルバムをきっかけに、数字が持つ意味や重要性、ミステリアス性に着目して欲しいと思ったんだ」
——数字に込められた意味について、例を挙げて説明してもらえませんか?
「例えば、私たちが最も興味を持っている数字は“1”だと思う。それは私たちが一つになりたいと望んでいるからだ。君も、宇宙と一つになりたい、自分自身と一つになりたい、自然と一つになりたいと思っているだろ? “2”はあまり良くない。二重人格の“2”とか、二面性の“2”を連想させる。“3”には、キリスト教の三位一体や、ヒンズー教の三大神といった、崇高な存在を指し示す役割がある。どの数字も何かを象徴しているのさ。それはまるで言葉のようだ」
——このテーマを音楽で表現するにあたって、特別に意識したことはありますか?
「大切にしたのは、自分の持つイマジネーションにアクセスすることだったね。瞑想したり、トランスしたり、それには様々な方法があるだろうけど、音楽業界に40年たずさわってきた経験をふまえて、私は自然に身をゆだねる方法を選んだ。そうしてできた音楽を、みんなが気に入ってくれると嬉しいね」
——今日はありがとうございました。最後に、1200 MIC'S以外で何かニュースはありますか?
「シュポングルの新作制作をサイモン・ポスフォード(aka ハルシノジェン)と始めたよ。今はそれに力を注いでいる。それとベンジ・ボーン(aka プロメテウス)と一緒に新しいプロジェクトも始めた。ザ・ザップというユニットで、これまでになかったような音楽をやっている。また、私の40年に渡る音楽キャリアをカバーするアルバムも出すつもりだ。'60年代に私がやっていたバンドの曲から、1200 MIC'Sのトラックまで収録する、ボックス・コレクションをリリースするんだ。楽しみにしていてね!」


interview & text SOICHIRO NAITO
translation ERIKO HASE


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1200 MIC'S
Magic Numbers

(UK) TIP WORLD / TIPWCDJ-51

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