AFTERLIFE インタビュー151号
イビサのビーチを彩るダウンテンポの魔術師
アフターライフことスティーヴ・ミラーは、スペインはイビサ島での活躍で有名な、チル・アウト・ミュージックの第一人者だ。シーンの金字塔的コンピレーション『Cafe Del Mar』シリーズの常連として御存じの方も多いだろう。 ここに御紹介する『Metropolitan Lounge』は、そんな彼が過去に残した二作品、『Simplicity Two Thousand 』と『Speck Of Gold 』からのベスト・トラックを中心に、新曲と未発表バージョンを交えてコンパイルした、日本独自企画盤。ジャジーな旋律、ダビーなエフェクト、そしてアンビエント・タッチの空間的なサウンドを、渾然一体に紡ぎ上げたムーディーなダウンテンポの数々が、リスナーにラグジュアリーな時間を演出する優雅な一枚だ。 美しいアフターライフのサウンドを築きあげている世界観について、スティーヴ・ミラーに話を聞いた。
——イビサで活動することが多いと思うんですが、イギリス出身 / 在住なんですよね?
「うん、今はコーンウォール州南部の海港にあるファルマスという街にいるよ。ロンドンに住んでいたこともあるけど、騒々しくてダメだったね(苦笑)」
——イビサに住もうとは思わないんですか?
「イビサへ引っ越そうと考えてもいたけど、休暇で訪れたコーンウォールが気に入ってしまってね。非常にスピリチュアルな空気が流れる場所なんだ。セーリングに出かけることも多いよ。ある意味ではイビサよりバレアリックな雰囲気を味わえるかな。今のイビサは、ロシアのマフィアが流れてきていることもあって、商業的な場所に変わってしまったしね」
——アフターライフという言葉には、“死後の世界”もしくは“晩年、余生”という意味がありますが、どうしてアーティスト名に使い始めたんですか?
「遠い昔、スティール・パルスのオリジナル・メンバー2名と共にベース・ダンスというレゲエ・バンドをやっていた時代があったんだ。当時“いかにレゲエ・アーティストがクレイジーか”とみんなで話したことがあるんだけど、結局“レゲエを長く続けると、どうやらオカしくなるらしい”という結論に辿りついた(笑)。で、当時のマネージャーが“じゃ、レゲエの後にはどんな人生が待ってるんだい?”と聞いてきたから、僕は“アフターライフ”と答えたんだ。そんな冗談から生まれたんだよね(笑)。実は面白いことをエジプトのファンに教えてもらったんだけど、コーラン(訳注:イスラム教の聖典)におけるアフターライフには“日々新たなことを学び、生まれ変わることで訪れる、新たな世界”という意味があるらしい。美しい考え方だよね。誰もが日々成長するべきだと思うから」
——曲づくりのインスピレーションは、どんなところから得ていますか?
「この世のあらゆることから美しいインスピレーションを得ている。例えば孫と話すお婆ちゃんの姿だったり、人間の思いやりに触れた時は、美しい感動を覚えるよ。それに合うサウンドトラックを書いていくんだ」
——美しいサウンド・スケープが印象的ですが、どんな風景を思い浮かべて制作をしているんですか? 「ビーチで踊ったり、のんびりしている、ハッピーな人々の笑顔を思い浮かべながら制作しているよ。それから美しい海だね。ビーチでDJをする際にかけたくなるような音楽かどうか、それが楽曲を仕上げる時の基準になるんだ」
——どんなシチュエーションで曲を書いているんですか?
「いつも30分間瞑想してから取りかかる。心を真っ白な状態に持っていくと、メロディーやビートが頭に浮かぶんだよね。現在は海から徒歩5分に住んでるから、音楽制作を進めるうえで、非常にラッキーな環境にいる。海辺に座って、自然の音に耳を傾けながら曲を書いていくんだ」
——伸びやかで透き通る歌声を持つ女性ヴォーカリストをフィーチャーすることが多いアフターライフですが、コラボレーションの決め手はどんな要素ですか?。
「まずは僕自身が心を打たれたヴォーカリストに連絡し、一緒に仕事ができそうか様子を見るんだ。そして曲を渡して、“この曲を一聴して、何かいいインスピレーションを感じた場合は歌詞を書いてくれませんか?”とお願いするんだ。何時間も考えて苦心の末にやっと曲を書き上げるぐらいなら、最初から組まない方がいいと思うんだよね」
——このたびリリースされる『Metropolitan Lounge』に収録した新曲「Midnight」でも、女性ヴォーカルを起用していますね。
「新曲にはニーヴをフィーチャーしたんだ。彼女はホセ・パディーヤのファースト・アルバム『Souvenir』にも参加していた、非常に才能あるシンガーなんだ。ちなみにこの曲では、人間が成長して変化を遂げる姿を歌っているよ」
——今作『Metropolitan Lounge』には、何かコンセプトを持たせましたか?
「制作のきっかけは、たくさんの日本のファンから届いた“アフターライフのCDはどこで購入できますか?”というメールだった。それで、日本で慌しい日々を過ごしている人々のために“ゆったりとした気分でリラックスできるアルバム”をコンセプトに掲げ、過去の二作品から選曲したんだ」
——今作を聴く上で、オススメのシチュエーションはありますか?
「美しいビーチで聴くのが一番適しているだろうけど、会社でこっそり聴くのもいいだろうね(笑)。ロマンティックな夜にBGMとしてかけるのもいいと思う。“結婚生活の危機がアフターライフの音楽で救われた”というファンもいたよ(笑)。アフターライフの音楽を通して、高揚感やポジティヴな気持ちを感じ取ってもらえたら嬉しいな」
——最後に、今後の活動予定を教えてください。
「次のアルバムでは、ペダル・スティールギターやスライド・ギター、それからドブロをブルージーに演奏する予定だよ。他にもノー・ロゴスというユニットを組んで活動している。現在選曲中のコンピ『Cafe Mambo』は、Defected から発売されるよ。 それには、アフターライフやノー・ロゴスの新曲以外に、ブラック・サバスなんかも選曲しているんだ」
——ブラック・サバスって、あのメタル・バンドですか!?
「うん、あのメタル・バンド(笑)。アコースティック調のチル・アウト・ナンバー「Planet Caravan」を収録するんだ。最高でしょ(爆笑)」
interview & text SOICHIRO NAITO
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AFTERLIFE
Metropolitan Lounge
(JPN) CCRE / CALMA / CCRM-9005


