AYUSE KOZUE インタビュー139号
音楽制作ソフト、“Logic”と“Reason”を使いこなす21歳の宅録少女、AYUSE KOZUE。ラップトップで自ら楽曲制作、作詞を手がけてしまう彼女の才能に、多くのダンス・ミュージック・クリエイター達が魅了されている。その音楽性・人間性の旨みを存分に引き出すクリエイティブ・ディレクターとして、重要な役割を担っているのはTOWA TEI。この事実からも、彼女が巷に溢れるJ-CLUBアーティストと一線を画す存在であることが分かる。プロデューサーやリミキサーとして関わっているアーティストにも、ラスマス・フェイバー、Studio Apartment、ATFC、So'FlyのGiorgio Cancemi、シャイ FX & T パワーら、本格派が名を連ねる。
現在彼女は、2006年4月から3ヶ月連続でのシングル・リリースを終えたばかり。ファースト・シングル「boyfriend」では、ノスタルジックな上音と跳ねるビートが心地良いスウィート・ハウスを、セカンド・シングル「Pretty Good」では、ドラムン・ベースを軸にしたR&Bを、シリーズ最終作の「君の優しさ」では、メロウで儚げなバラードを披露している。
音楽活動の傍ら大学にも通っている彼女に、登校前のひととき、話を聞いた。
―まずは、クラブミュージックに興味を持ったキッカケを教えてください。
「小学校の終わり頃にダンスを始めたんです。それで、当時よく聴いていた邦楽に加え、洋楽のR&B、ヒップホップも聴くようになって、そこからハウスも聴くようになりました」
―トラックを自分でつくろうと思ったのも、ダンスがきっかけなんですか?
「高校生になって、ダンスや歌のパフォーマンスをする機会ができ始めたんですが、最初は既成の曲を使っていました。でも、やっぱり限界を感じてしまい、オリジナルが欲しいなと思っていたところに、学校でDTM(Desk Top Music)の授業があったんです。DTMは、ドラムやキックを地道に入れていくだけの作業なんだけど、苦じゃなかったんですよね。それで、自分でつくるしかない、と思ったんです(笑)」
―その当時、サウンド面で影響を受けていたアーティストは?
「初めて聴いたときにビビッときて、現在でも影響を感じているのはSoulheadさん。SoulheadのプロデュースをしているOctopussyさんも好きですね。ちょうど私が打ち込みを始めた時期に出会ったので、トラックを何度も聴き込みました」
―小さい頃はピアノもやっていたと聞いたんですが、ピアノでの作曲は考えなかったんですか?
「当時はダンスに熱中していたから、ピアノの弾き語りで曲をつくるのはピンとこなかったんです。打ち込みじゃなきゃ物足りなかった」
―オリジナル曲は、どのようにしてレコード会社まで渡ったんですか?
「自分の曲をまとめたミニアルバム的なデモテープをつくって、それを親しい友達に配ったんです。たぶん十人程度にしか渡していないのに、そのテープが巡り巡ってレコード会社の社長の耳に入ったようなんです。それで突然友達から、“トイズ(レコード会社)の人が会いたがってる”って言われて(笑)。トイズの人には、会った瞬間に“やりましょう”って言われました(笑)」
―契約の時からテイ・トウワさんの名前は出ていたんですか?
「いえ、まだテイさんの話は出ていませんでした。アート・ディレクターをしていただいてるタイクーン・グラフィックスさんが、私のトラックを聴いて気に入ってくれて、テイさんに辿り着きました。テイさんとタイクーンさんはNYで仲が良かったようなんです」
―テイ・トウワさんは、あゆせさんから見てどんな人ですか?
「ユルい感じの人です(笑)。仕事でもフラットな方で、アレンジしてる途中段階のトラックを、メールで送ってくれるんです。そのトラックを聴いて、生意気にも私なりのリクエストをすると“ああ、わかったわかった、ちょっと変えてみる”と言って、私の抽象的なリクエストを具現化して戻してくれるんです。そのキャッチボールは嬉しかったですね」
―m-floのTaku Takahashiがプロデュースを手掛けている三作目「君の優しさ」は、R&B色の強いバラードですね。
「「君の優しさ」は、Takuさんにアレンジしていただいたことで、臨場感が出せたと思います。この曲はちょっとしたラブソングで、切ないところもある。そういう人間の弱い部分をうまく表現できました」
―この曲のインスピレーション源を教えてください。
「家に帰って、ふとした時に感じた、人の暖かさや寂しさをストレートに表現しました。インスピレーションになることは、季節感だったり肌触りだったり、わりと身近なことが多いんです」
―これまでの三部作に、何かテーマはあったんですか?
「三部作では一連の流れよりも、様々な角度のAYUSE KOZUEを見てもらいたかったんです。三作聴き比べると、内容が全然違う。ファースト・シングルとセカンド・シングルでは、ジャケットの顔も全然違う、という話まであるんです(笑)。ファーストは若干化粧が薄いっていうだけのことなんですけど(笑)」
―あはは(笑)
「それは冗談として、全作で、シングルとカップリング曲、すべての雰囲気が違うんです。ジャンルの中で音楽を考えなくてもいいんじゃないかっていうのは常に思っていますね。だからサード・シングルには、ハウスやR&Bだけじゃなくて、レゲエやドラムン・ベースも入ってます。私が今までに吸収してきたサウンドを広く表現できればと思ってつくりました」
―なるほど。現在(5/29)テイさんの
「日本各地に行けて、美味しいもの食べられて、テイさん様様です(笑)。テイさんのイベントではデビュー前から、テイさんがDJをしているDJブースに入って、何曲か歌わせてもらってました。デビュー後は、テイさんとは別の時間帯の“AYUSE KOZUE枠”でステージに上がってパフォーマンスさせていただいてるんですが、違った面白みがあって楽しいです」
―DJをしたいとは思いませんか?
「将来的にはやれたらなと思ってます。SILVAさんはガンガンDJをやりながら歌ってるじゃないですか。初めてその姿を見た時は、“SILVAさんかっこいいわ~、自分もできたらどれだけかっこいいか!”と思いました(笑)。Studio Apartmentの森田さんがDJしていたときには、生意気にも勝手にフェーダーをいじらせていただきました(笑)」
―それは大胆ですね(笑)。ところで、フル・アルバムの制作は進んでいますか?
「実はまだしっかり進んでいないんです。テイさんに聴かせていない曲もいくつかあるので、その数曲を聴いてもらってから、アルバムの構想を立てるつもりです」
interview & text TAKAHIRO KAWAMURA


