BARBARA TUCKER インタビュー143号
エンターテイナー、ソングライター、振り付け師、クラブ・プロモーター、そしてヴォーカリスト。様々な顔を持つバーバラ・タッカーは、NYハウス・シーンを支えてきた重要人物だ。特にヴォーカリストとしての活躍は素晴らしく、「Beautiful People」('94年)、「Everybody Dance」('98年)など、全米クラブ・チャート1位に輝くヒット曲を、これまでに6曲も送り出している。
そんな彼女が、意外なことに初となるオリジナル・アルバム『Love Vibration』をリリースする。ロン・キャロル、ティミー・ヴェガス(ソウル・セントラル)、DJ スペンサー&ザ・マザーファンカーズなど、ハウス・シーンのベテランから新鋭までを、幅広く、世界各国からプロデューサーに招聘した今作。全て新曲で構成された意欲作だ。日本盤には、ブレイズとの共作で、'05年に全米クラブ・チャートNo.1を記録した、「Most Precious Love」のデニス・フェラーによるリミックスも収録されている。 近年はサマー・シーズンを、NYではなくイビサでのレジデンシー生活に充てているバーバラ。シーズンを終えてNYへと戻った彼女に、ハウス、そして歌に託す想いについて聞いてみた。
—今年のイビサはいかがでした?
「いいヴォーカル・パーティーが結構あったわ。ヴォーカル・シーンが復活してきた印象ね」
—あなたがイビサで開催しているパーティーについて聞かせてください。
「毎年夏に、イビサのSpaceで
—あなたは長きに渡ってハウス・ディーヴァとして一線で活躍していますが、キャリアを重ねることで、歌への想いはどのように変わってきましたか?
「歌への想いは、どんどん強くなっているし、使命感も増しているわ。初期のハウス・シーンには、ヴォーカル・ハウスが根づいていた。それは、魂とスピリットが宿る、まるで大きなリンゴみたいだった。でも、そのリンゴをかじり続けていたら、種だけになってしまった。だから私は、その種をまた植え直しているのよ。みんながハウスからいろんなものを奪い、プログレッシヴやエレクトロと呼ばれるものになったけど、このままでは土台が失われてしまう。私の使命は、その土台を維持するべくルーツを教育することなの。それは、クラシックを一晩中かけるってことじゃないわよ。ヴォーカリストとして、みんなに歌の素晴らしさを伝え、シーンを変えていくってこと」
—最近のシーンには疑問があるわけですね。
「大勢のDJやプロデューサーが、お金に貪欲になって、ヘンな曲をいっぱいつくったわ。それに、アーティストがドラッグをやるからって、それを聴く人達までもがドラッグをやる傾向にある。これは間違いよ。音楽で誰かが弱っていく姿なんて見たくないわ。音楽で人の愛を汚すことは絶対にさせない!」
—愛と言えば、新作のアルバム表題曲に「Love Vibration」をピックアップしていますね。この曲で伝えたかったメッセージは、どんなものですか? 「「Love Vibration」は、今作で一番好きな曲なの。「愛を表現するのに“I love you”と言う必要はない。あなたの中にある愛の存在を、相手が感じ取れるようになりなさい」というメッセージを込めたわ」
—リスナーに一番伝えたいメッセージを込めた曲はどれですか?
「間違いなく「Dutty Funk (We Can Do)」ね。「夢を現実にする力を奪うことは、誰にもできない。やりたいことは何でもできる、限界はない。そんな神様の言葉を信じなさい」というメッセージを込めた、パワーに満ちあふれた曲よ」
—先行シングルにもなったこの曲は、ロジャー・サンチェス、ボブ・サンクラーからノーマン・ジェイまで、様々なトップDJを魅了するヒットとなりましたね。
「みんなが気に入ってくれて嬉しいわ。プロダクション・チームのソウル・セントラルは「Strings Of Life」を手掛けた人達なんだけど、彼らがつくった「Dutty Funk (We Can Do)」を聴いてすごく気に入ったから、曲にヴォーカルをつけたわけ。そうしたら私の友達が、ソウル・セントラルのティミー・ベガスにそのことを連絡してくれて、ティミーから正式にヴォーカル依頼の電話がきたの。それで、私のアルバムに入れていいならってことで承諾したのよ」
—プロデューサーの選出では、どんなポイントを重要視しましたか?
「世界中のハウスに触れたうえで、自分に合う相手を選んだの。私はプロデューサーのつくるビートよりも、まずは人間性を重視するのよ。一緒にスタジオ入りするのに、居心地のいい相手か、笑顔が素敵か、そういったことをまず見るわ。それから曲の話をする(笑)。だって、そのプロデューサーとまた仕事をするかもしれないし、一緒にツアーするかもしれないから、いい人間関係を築ける相手じゃないとね」
—今作は全曲フロア・ライクなハウス・トラックとなっていますね。ヴォーカリストがアルバムを手掛ける際には、様々なジャンルで彩ることが多いと思うんですが?
「アルバムに入れた曲を、全部お客さんの前で歌いたかったの。もしバラードを入れてしまったら、パーティーで歌った時にお客さんがしらけるでしょ。それじゃつまらないもの。パーティーする時はパーティーしないとね!」
—今作の日本盤には、「Most Precious Love」(デニス・フェラー・ミックス)も収録されます。あなたにとっての“Most Precious Love”とは何ですか?
「私の中にいる神様。私達はみんな、神様が創造した産物なのよ。彼は私に愛を教えてくれた最初の人。恋人や両親といる時に感じる愛情を見守って、常に大きな愛で包んでくれる。そんな神様の慈愛こそ“Most Precious Love”よ」
—それにしても、これまでアルバム・リリースがなかったのは不思議な感じです。
「私はConsulting Museという会社もやっていて、常に他の人の振り付けやステージ演出に関わっているし、ツアーやパーティーのオーガナイズなど、バーバラとしてやることがたくさんあったからね。アルバムは立ち上げたばかりの自分のレーベル、B-Star Recordsから出したかったから、タイミングも待っていたの」
—間もなくパーティー来日もありますね。どんなステージを予定していますか?
「私の言葉で力が沸く、そんなスピリチュアルなステージにしたいわ。みんなが愛を感じられるパフォーマンスをしたいの。音楽を通して、みんなに神様からの愛を伝えるのが私の使命だから。日本のみんな、神様の大きな愛はあなたの中にあるのよ。神様は私達みんなに才能を与えてくれている。彼が私達にくれる、幸福も、試練も、全てはより強い人間になるために必要なものなのよ!」
interview & text SOICHIRO NAITO
translation KYOKO MAEZONO
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BARBARA TUCKER
Love Vibration
(JPN) PONY CANYON / PCCY-01812


