BLACK STROBE
BLACK STROBE インタビュー144号
イヴァン・スマッグとアルノー・レボティーニによるエレクトロ・ユニット、ブラック・ストロボは、2000年代のクラブ・サウンドを方向づけた一組だ。パリを拠点にする彼らは、OUTPUTからリリースされた「Me And Madonna」や、KITSUNEからリリースされた「Italian Firefiles」で人気を獲得。既存のハウスやテクノといった枠に収まらない、ブリーピーかつロック的なダンス・サウンドを手がけ、注目を集めている。
そんな彼らが、来年発表が予定されている初のオリジナル・アルバムを前に、2002年からこれまでのリミックス・ワークをまとめた『A Remix Selection』をリリースした。本作には、エレクトロ系アーティストのティーフシュワルツから、ロック勢のザ・ラプチャーやブロック・パーティー、エレポップの大御所デペッシュ・モード、さらにダンス・メタル・バンドのラムシュタインまで、幅広いアーティスト陣を収録している。ブラック・ストロボの人気リミックスはもちろん、レア音源、自身の新曲まで楽しめる、彼らの魅力が十二分に堪能できる内容だ。
ブラック・ストロボが追求してきたダークなエレクトロ・サウンドを一望できる本作について、イヴァン・スマッグから話を聞いた。なお、本作はUKからの輸入盤のみでのリリースだが、日本先行発売で、しかも日本販売分にのみ「Me And Madonna」ほか3曲を収録したボーナス・ディスクがつく。なんとも粋なはからいではないか。
—『A Remix Selection』の選曲基準を教えてください。あなた達のベスト・リミックス集と考えてもOKですか?
「ま、そうだね。俺たちは、死ぬほどじゃないけど、かなりのリミックスをやってきている。でも、このアルバムの選曲は意外と簡単だった。自ずと選ばれていった感じだ。というのも、気に入っている曲を入れただけだから。実は、これまでのリミックスの中には気に入っていないものもあるんだ…。ちょっと古く感じるもの、機械的になり過ぎたもの、一曲の時間が長くてフロアユースに特化したものなどは入れなかった」
—ブロック・パーティー「Like Eating Glass」や、デペッシュ・モード「Something To Do」など、レアなトラックも収録されていますね。
「そうだね。入手困難なものや、“そういえばコレもあったよな”的な曲も入っているよ。俺たちらしくないリミックスも入れるように心がけたんだ。ちょっとスローなものとかね」
—どのリミックス曲でも、独特の質感を持ったエレクトロニック・サウンドが使われていますよね。ブラック・ストロボが、リミックスを行う際に最も意識していることを教えてください。
「一番大切にしているのは、リミックスする曲のオリジナリティだね。俺たちは、先に曲をつくってから、その上にリミックス楽曲のエッセンスをトッピングするようなことはしないんだ。自分で温めていた曲ネタを使ってリミックスを仕上げるのは簡単だよ。だから、俺たちはそんなことはしない。その曲の持つ良さを最大限に引き出せるよう専念するんだ。だから、結果としてヴォーカルを活かしたトラックが多くなるのかもしれない」
—あなた達のつくりだすサウンドには、他のクラブ系フランス人アーティストと一線を画する毒気や暗さがあると思います。あなた達がダークな世界観に引かれるのはなぜですか?
「ブラック・ストロボを語るとき、誰もが必ずその形容詞をつけるけど、フロイト的自己分析は避けることにしているんだ。一つだけ言えるのは、俺たちには“ダンス・ミュージック=踊る=ハッピー”という固定概念に挑戦したいという気持ちがあるってこと。俺たちは、冷たくてダークな曲にも十分にグルーヴがある、ということを言いたいんだ」
—では、最近のED BANGERやKITSUNEといったレーベルについては、どんな印象をもっていますか?知り合いや友人も多いと思いますが。
「知り合いは多いよ。パリは小さな街で、知り合いの知り合いは、知り合いだからね。でも、俺たちの音楽は、いわゆる“ニュー・レイヴ”というシーンの中に入るのかな? そこは疑問に思っている」
—ところで、今作の一曲目には、初お目見えとなるオリジナル・トラック「Shining Bright Star」を収録していますね。ポール・エプワースのヴァージョンですが、この作品はどういう経緯で誕生したのですか?
「ちょうど今、ポールとレコーディング・スタジオで一緒に仕事をしているんだ。だから自然とそうなっただけさ」
—来年リリースされるアルバムのレコーディング中なんですね。制作はどのくらい進行していますか?
「作業は佳境だよ。大変だけど、出来は素晴らしい。実はそのせいで、このインタビューも短い回答になってしまっているんだ。というのも、正に、本当に今、隣にポール・エプワースが座っている状態なんだ。ちなみに、アルバムの中の三曲はアラン・モルダーにミックスしてもらうんだけど、結構これには興奮しているよ」
—そのアルバムは、どんな内容になりそうですか?
「うーん、難しい質問だね。アルバムを作り終えてから答えることにするよ。とにかく“アルバム”ってことだ。曲の寄せ集めや、よくあるパターンの作品じゃないことだけは確かさ」
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BLACK STROBE HISTORY
ブラック・ストロボは、ゼンド・アヴェスタなど様々な名義で活動していたアルノー・レボティーニと、ラフ・トレードで働いていたDJ、イヴァン・スマッグによって、1997年に結成されている。デビューは、SOURCEからの「Paris Acid City」だった。ダフト・パンクに代表されるフレンチ・ハウス・サウンドとは一線を画すサウンドを指向していた彼らは、当時それほど目立たない存在であった。
そんな彼らは、1999年に自主レーベルBACK IN BLACKから、エレクトロ・ディスコ「Innerstrings」をリリースし、現在に通じるスタイルを確立している。この曲はUKのトレヴァー・ジャクソン(プレイグループ)の耳に止まり、2000年にはOUTPUTからもリリースされた。
OUTPUTとの関係を築いた彼らは、2002年に「Me And Madonna」をリリースした。この曲は、エレクトロクラッシュやディスコ・パンクのムーブメントと共振してクラブヒットを記録。彼らは一気に人気を獲得している。以降、「Italian Firefiles」('03年/KITSUNE)、「Chemical Sweet Girl」('04年/OUTPUT)、「Deceive/Play」('05年/BLACK STROBE)、「Last Dub On Earth」('06年/CROSSTOWN REBELS)などをコンスタントに発表、現在に至っている。
なお、イヴァン・スマッグは2003年に、TIGER SUSHI傘下に自身のレーベルKILL THE DJを立ち上げ、ミックスCD『How To Kill The DJ』を発表している。その後も、『Death Disco』など数枚のミックスCDをリリース、DJとしての人気も確立している。
そんなブラック・ストロボは、今年、BEGGARS BANQUET傘下のレーベル、PLAYLOUDERと契約。今作『A Remix Selection』に続き、来年にはデビュー・アルバムをリリースする予定となっている。
interview & text FUMINORI TANIUE
HMVで購入↓
BLACK STROBE
A Remix Selection
(UK) PLAYLOUDER/BEGGARS JAPAN / PLAYR17CDJ

