BLACK STROBE インタビュー149号
'97年に「Paris Acid City」でデビューし、「Me And Madonna」(OUTPUT/'02)や「Italian Firefiles」(KITSUNE/'03)で人気を獲得したエレクトロ・ユニット、ブラック・ストロボ。パリを拠点に、ダークでブリーピーなダンス・サウンドを手がけてきた彼らは、シーンの中でもひときわ異彩を放つ存在だ。昨年末には、これまでのリミックス・ワークをまとめた『A Remix Selection』をリリースし、話題を振りまいている。
そんなブラック・ストロボが、初のオリジナル・アルバム『バーン・ユア・オウン・チャーチ』をリリースする。プロデュースにポール・エプワース、ミキシングにアラン・モルダーを迎えて制作された本作は、従来からのゴシック色をより強調した内容だ。バンド・メンバーを加え、サウンド全体をロック・モードへとシフトチェンジさせた冒険作となっている。
本作で挑戦したかったサウンドについて、アルノー・レボティーニとイヴァン・スマッグから話を聞いた。なお、写真は現在のバンド・メンバーで、イヴァンが外れたものとなっている。
——今回のデビュー・アルバム『バーン・ユア・オウン・チャーチ』に、「Chemical Sweet Girl」や「Me And Madonna」のようなヒット・トラックを収録しなかったのはどうしてなのでしょうか?
アルノー(以下A)「今までに出してきたシングル曲集のようなアルバムにはしたくなかったからね。そもそもリミックス集『A Remix Selection』は、ブラック・ストロボのダンス面に終止符を打つ意味でリリースしたんだ。このデビュー・アルバムで、自分たちの“音楽的教会”を燃やした気分だよ。実際、今作で自分たちの新しい一面、より音楽的な面を見せることができた。誰もが家で聴けるような音楽をやっているよ」
——シングルになった「Shining Bright Star」や「Last Club On Earth」も、アルバムではより楽曲重視の曲に変貌していますね。アルバム全体を通して、やはりソングライティングを意識したんですか?
A「そうだね。良い意味でのポップさは追求したと思う。とにかく、ちゃんとした楽曲を集めたアルバムをつくりたかったのさ」
——今回、ポール・エプワースがプロデュースを、アラン・モルダーがミキシングを手がけていますね。この二人を起用した経緯を教えてください。
イヴァン(以下I)「自分たちがやりたいことを成し遂げるには、自分たちだけではできない、と思ったからさ」
——結構シビアな判断ですね。
I「ただのダンス・ミュージックをつくるのと、ギターやヴォーカルが入っている音をつくるのとでは、すごく違いがあるんだよ。それに彼らは、今いるプロデューサーの中でも、本当に面白くて才能がある、数少ない人物だからね。アランなんて、ナイン・インチ・ネイルズやデペッシュ・モードとも仕事をやっているんだよ。僕らがやっているような音楽にとっての、アイコン的な人でもあるんだ。だから、彼らの音楽的インプットが欲しかったんだ」
——実際に、アルバム制作の作業は、従来とはかなり違いましたか?
I「何もかもが今までとは違っていた、といっても過言じゃないね」
A「曲の骨格をオレのスタジオでつくった点は以前と一緒で、そこからギター、ベース、ドラムを追って録音していったんだ。だから、今回は最終的なプロダクションよりも曲の構成に集中したね。それで、まずはデモを完成させた。で、ここからが新しいやり方なんだけど、そのデモをポールとアランに渡したんだよ」
——結果は、ギターが吹き荒れる、アルバム冒頭の「Brenn Di Ega Kjerke」に顕著ですね。収録曲は、いずれも非常にヘヴィかつエモーショナル、そしてドラマチックに仕上がっていると思います。
A「同感だよ。まぁ、その部分は、以前から少なからず俺らの中にあった要素だと思う。今回はダンスっぽい要素を抑えたから、そのエモーショナルな部分がもっと分かりやすくなったかな。それと、オレの曲づくりにはエクストリーム・メタルがかなりの影響をもたらしているから、ヘヴィな要素を持っているということも意識しているね」
——また、ダンス・ミュージックの機能的側面が薄れたとはいえ、そのダイナミズムもしっかりと残っていますね。
A「ダンス・ビートは、ブラック・ストロボのエッセンスだからね。教会は燃やしたくても、その柱まで燃やしてしまうのは嫌なのさ」
——今作ではイヴァンが作詞をしていますね。「Lady 13」や「No What You Need」では、破滅的で粘着質な愛がテーマとなっていますが、これらはパーソナルな体験に基づくものですか?
I「詞はかなり前に書いたもので、君の言ったテーマはごく一部に過ぎないよ。ほとんど戯画化されたものだしね。今聴き返すと、その当時のことを思い出す曲もあれば、何も思い出さない曲もある。それに、パーソナルな歌であったとしても、みんなが共感できるような、ユニバーサルな歌に仕上げることも可能なんだ」
——ボ・ディドリー「I'm A Man」をカヴァーしていますが、この曲には男性主義的な側面があります。カヴァーした理由は何ですか?
A「かなり前から、何かをカヴァーしたいと思っていたんだ。この間も、誰かから“この歌詞って本気だと思う?”って聞かれたよ(笑)。昔のロックンロールによくあるテーマじゃないからね。大きなアソコで女を喜ばす、ってさ。'50年代に書かれたものなのに、2007年を生きる人たちがショックを受けるというのは、笑えるよ。まぁ、俺は男だし、この歌詞の責任は取るぜ(笑)」
——今作は、今のダンス・シーンからもロック・シーンからも独立した、孤高の作品であるとも思います。あなた達には、“異質”や“異端”といったアティテュードがありますが、こうした姿勢にこだわるのはなぜですか?
A「そうした“違い”というものは、強いエネルギーを発するからね。同時に、そのエネルギーが“違い”を生んでいるとも言える。そもそも、オレ達には人とは違う音楽をつくりたいという意思があるしね。オレ達にとって、それが従順でいられる、もっとも良いやり方なんだ」
interview YUZURU SATO(佐藤讓)
text LOUD MAGAZINE
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BLACK STROBE
Burn Your Own Church
(JPN) BEGGARS JAPAN / WPCB-10022


