CALVIN HARRIS

iLOUD > CALVIN HARRIS

CALVIN HARRIS

CALVIN HARRIS インタビュー151号

 マイロに続き、スコットランドからまた一人ユニークなダンス・クリエイターが現われた。その名は、カルヴィン・ハリス。まだ23歳の若者だ。ネット上に公開したトラックで注目を集めるようになった彼は、瞬く間にメジャー・デビュー。3月にリリースした初のシングル「Acceptable in the '80s」を、いきなりUKチャート・トップ10に送り込んでいる。
 そんな彼が、デビュー・アルバム『I Created Disco 〜カルヴィン・ハリスのディスコ革命』をリリースした。この作品には、「Acceptable in the '80s」を筆頭に、セカンド・シングル「The Girls」、タイトル曲「I Created Disco」など、良い意味でのローファイ感をもった、自家製コンピュータ・ディスコ・チューンが詰め込まれている。
 カイリー・ミノーグにも楽曲を提供するなど、ラッキー・ボーイっぷりが止まらないカルヴィン・ハリスに、これまでの歩みと新作について聞いてみた。


突然の音楽業界!

——あなたは、この1、2年の間にmyspaceを通じて知られるようになりましたね。当初からmyspaceを活用して、レコード・デビューを果たす計画だったんですか?
「いや、全然計画なんてしていなかったよ(笑)。バンドをやっている僕の友達がmyspaceを始めたから、僕も2005年の12月に自分のページを始めてみたんだ。趣味の延長で音楽制作をしていたからね。そうしたら、ある時レコード会社の人から“キミの楽曲を凄く気に入った”ってコメントが来てさ、その後トントン拍子でデビューの話が進んでいったんだ。で、去年の4月に仕事を辞めて、今は音楽に専念しているというわけ」

——昨年までは、どんな仕事をしていたんですか?
「食料品店で、棚に商品を並べる仕事をしていたんだ(笑)。5、6年間、いろんな店で働いたよ。その間も、音楽制作は趣味として続けていたけどね」

——どういう経緯で、いきなりカイリー・ミノーグの新曲も手がけることになったんですか?
「ある日、僕のデモ曲を聴いたカイリー・ミノーグのレコード会社のA&Rから連絡が来たんだ。その二週間後には一緒に仕事をしていたよ。そりゃもう、不思議な体験だったよ~」

——実際に、カイリーと一緒にスタジオで仕事をしたんですか?
「うん。昨年の9月と今年の4月、二回に分けてレコーディングしたんだ。カイリーは、非常にプロ意識の高い女性だったね。会う前はものすごく緊張してたんだけど、会ってみたら、とても親切でフレンドリーだった。みんなに紅茶を入れてくれたり、バナナ・ケーキを持ってきてくれたりしたよ。おかげで僕の緊張も和らいだなぁ。ヘヘヘ」


'80年代は悪くない!

——今年の3月にリリースした初シングル「Acceptable in the '80s」は、UKチャートでトップ10入りを果たしましたね。そのとき、どんな気分でしたか?
「それにも本当にビックリしたよ~! デビュー・シングルだし、せめてトップ30入りしてくれればラッキーだと考えていたからね。とても嬉しかったなぁ」

——「Acceptable in the '80s」というのは、ちょっと面白い曲名ですね。そこには、どんな想いを託しているんですか?
「この曲には、“80年代らしさ”を凝縮したんだ。“’80年代はファッションもヘンだったし、ヒドい十年間だった”と笑いネタにしている人も多いけど、“いや、'80年代だってイイじゃないか!”って肯定する内容なんだ」

——なるほど。そういえば、あなたは'80年代の古いAMIGAコンピュータを使って曲づくりをしていると聞きました。そんな昔のコンピュータで曲をつくれるんですか?
「兄がAMIGAコンピュータを使っていたんだ。それを14歳のときに借りたことが、僕が楽曲制作を始めるきっかけになっているね。ちなみに、僕の兄はピアノが上手で、音楽好きなんだ。でも実は、昨年の12月、ついにそのコンピュータが壊れちゃったんだ(笑)。今は、もう少し現代的なコンピュータを使用しているよ」

——そうなんですか。それはちょっと残念ですね。
「でも今度リリースするアルバムには、そのAMIGAコンピュータで制作した曲も入っているよ。もちろん、シーケンサーやサンプラーも駆使したけどね」


ディスコが好き!

——デビュー・アルバム『I Created Disco 〜 カルヴィン・ハリスのディスコ革命』には、グルーヴィーなエレクトロ・ディスコが詰まっていますが、どんなアルバムにしたかったのですか?
「実はアーティスト契約をした時点で、既にアルバムをつくるのに十分な楽曲数が揃っていたんだ。だから、特にコンセプトはなくて、ベストな楽曲を選んで収録しただけ。とは言っても、通して聴くとソウル、ファンク、ディスコ系の一貫したヴァイブが感じられると思うよ」

——そうですね。で、“I Created Disco”というタイトルには、ディスコをリヴァイヴァルさせたいという想いが込められているそうですね。
「そうそう」

——どうしてそう思ったんですか?
「実際のところは、大げさな意志表明でも何でもないんだ(笑)。ただ、このアルバムには、皮肉っぽくユーモアを込めた、示唆に富むタイトルをつけたかったのさ。今の時代には、ループ部分の多い、サンプリング主体のダンス・チューンが山ほどあるよね。でも、僕はソウルフルでフューチャリスティックな、面白いダンス・ミュージックをつくりたいと思っているんだ」

——最近のダンス/エレクトロニック・ミュージックには、あなたの好きなディスコっぽさが足りませんか?
「CSSやジャスティスあたりの、インディーズ・エレクトロは好きだよ。ただ、'90年代後半には面白いハウス作品が沢山あったのに、最近あんまりないし...」

——あなたにとって、“ディスコ”とはどのようなイメージを伴う言葉なんですか?
「僕が考える“ディスコ”とは、ズバリ“'70年代のダンス・ミュージック”さ。思い浮かぶイメージとしてはスタジオ54かな?(註:スタジオ54は、'70年代ディスコ・シーンを代表する、ニューヨークにあった超豪華ディスコです)」

——子供の頃から、スタジオ54でプレイされていたような、ディスコやファンクが好きだったんですか?
「いやいや。最初に夢中になったのは、僕の兄からの影響もあって、ニルヴァーナさ。確か8歳か9歳の頃だったと思う。他には、ジャミロクワイも好きだったな。アウトキャスト、ギャング・スター、ティンバランドといったヒップホップもよく聴いたよ。で、十代の後半には、ハービー・ハンコックとかロイ・エアーズ、それに'70年代のディスコも聴くようになった。大半はコンピレーション盤を通じてだったね」

——早熟ですね。'70年代のディスコを聴くようになった理由は?
「昔からベースラインに特徴のある楽曲が大好きだったから、そこじゃないかな。まぁ、要するにジャンルにこだわらず、気に入った曲をいろいろと聴いてきたってことだよ」

——ちなみに、あなたはスコットランド出身ですが、マイロからは影響を受けましたか?
「音楽的な影響は受けていないね。でも、彼が自主制作トラックで成功を収めたという点からは、いい刺激を受けた。彼の存在は、ダンス・ミュージック・シーンを少し変えたと思う。マイロが成功したお陰で、レコード会社の人達は、僕と組もうと思ったのかもしれないね。そういう意味で、彼には感謝しているよ」


女の子は最高!

——曲づくりは、どのように進めることが多いんですか?
「ベースラインやドラム・ビートを最初に思いついて、そこから仕上げていくことが多いよ。タイトルからインスピレーションを得て楽曲を書くこともあるけどね」

——歌については、当初から自分自身で歌いたいと思っていたんですか?
「いや(笑)。もともとインストのトラックばかり制作していたから、最初はゲスト・ヴォーカリストを探してみたんだ。でも、結局、自分が考えるスタイルで歌ってくれるシンガーが見つからなかった。それで、自分で歌うしか選択肢がなくなってね(笑)。ライブを重ねるごとに歌唱力もついてきたから、次のアルバムでは、もっと良いヴォーカルを披露できると思うよ」

——歌詞を書くときに何か注意していることはありますか?
「多くは一聴した瞬間に伝わる、「The Girls」の歌詞に代表されるような、直球なものにしているよ。長々とつづられるような、詩的な表現はないね」

——その「The Girls」からは、女の子なら誰でもOKという、あなたの姿勢が伝わってきます(笑)。
「うん(笑)」

——実際のところ、女の子が大好きというわけですね(笑)?
「そうだね〜。女の子は最高さ(笑)」




ハエ型メガネ!

——今回のジャケット写真で、あなたはハエ型メガネをかけていますね。このメガネは、あなたのモテ・アイテムなんですか?
「もともと、このメガネはギャグでかけはじめたんだよ。友達と一緒に昔のT・レックスのライブ映像を観ていたら、キーボード奏者が強烈なハエ・メガネをかけていたんだ。それにヤラれてね。“何としても入手しなきゃ”という衝動にかられたんだ(笑)。その後ロンドンへ遊びに行ったとき、カムデン・マーケットとかいろんな店を探し回ったんだけど、どこに行っても見つからなくてさ。結局、自宅にあったボール紙、銀色のペン、糊を使って、自分でつくったってわけ(笑)」

——先日までグルーヴ・アルマダとUKツアーをしていたそうですが、そのときのライブでもハエ・メガネをかけましたか?
「紙製で壊れやすいから、かけられなかった(笑)。コレをかけると、視界もさえぎられるしね。ステージで転んだら危ないじゃん(笑)。でもそっかぁ、特注でつくって、ライブでかければよかったな。失敗した…」

——ところで、そのツアーはいかがでしたか?
「とても楽しかった! グルーヴ・アルマダの二人は、最高にいい人達だったよ〜」

——では、今後の活動予定を教えてください。
「夏は、グラストンベリー、T・イン・ザ・パーク、グローバル・ギャザリングなど、フェスに出演するんだ。その後は、年末までずっとライブ活動が続くと思う。年末頃には日本にも行く予定だよ。僕の他に、ドラム、ベース、ギター、キーボード奏者がいるバンド形式だから、楽しみにしててね! ライブは、CD以上にエネルギッシュだから、面白いはずさ」

——将来的な目標は何ですか?
「大きな目標を掲げるのは苦手だから、目の前にあることに全力を注いでいくつもりだよ。いいアーティスト活動ができるといいな。あと、僕のレーベル、FLY EYEからは、自分が発掘したアーティストの作品も発表したいね。まぁ、このレーベル名も最初はギャグだったんだけどさ(笑)」


interview & text FUMINORI TANIUE
translation KEIKO YUYAMA


HMVで購入↓
CALVIN HARRIS
I Created Disco
〜カルヴィン・ハリスのディスコ革命

(JPN) SONY / SICP-1467


CALVIN HARRIS

CALVIN HARRIS トピックス一覧