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CLARK インタビュー142号

 '01年、当時まだ大学生だったにも関わらず、若くしてWARP RECORDSからデビューを果たした、クリス・クラーク。優美で繊細なエレクトロニカから、破壊的なデジタル・ブレイクビーツまでカバーする多面性を武器に、これまでにデビュー・ミニ・アルバム『Clarence Park』、'03年発表の6曲入りEP『Ceramics Is The Bomb』、同じく'03年のファースト・フル・アルバム『Empty The Bones Of You』の3タイトルを発表している。独創的な音とスタンスで確固たる地位を確立している、孤高のクリエイターだ。  ここで御紹介する『Body Riddle』は、約3年ぶりに発表された彼のニュー・アルバム。ヒップホップのタフなビート感、アンビエントの浮遊感、無機質なノイズ、幽玄なサイケデリアなど、様々なエレメントが一体となった叙情的作品だ。  今作からリリース名義をクラークとし、新たなスタートをきった彼。インタビューに答える、自信に満ちた口調からは、ビッグ・ネームの風格がすでに漂っていた。


―クリス・クラークからクラークに名義を変えたんですね。
「シンプルな名前の方がダイレクトに伝わると思ったんだ。同じ名前のシンガーがいるから、区別もつけたかったし」
―新作は約3年ぶりのリリースですが、この3年間で心境の変化はありましたか?
「音楽に関する心境については、16歳の頃から何も変わっていないね。ただ、制作面では多少変わっていると思う。モチベーションが高くなったとか、そういった細かい変化があるかもしれない。まあ、今回のアルバムには古い曲と新しい曲が混在しているから、全てがこの3年間でつくったものとは限らなけど。常に制作はしていたんだ。ただ、リリースするのを忘れていただけ(笑)。今回は200曲ほど制作した中から収録曲を選べたから、そういった面では、リリースが3年間なかったのは良かったかもしれない」 ―200曲!? そのほとんどを、この3年間でつくったんですか?
「それよりも前に基本的な部分だけつくって放っておいたものを、引っ張り出してつくり直したものもあるから、はっきりそうとは言えないな。とにかく、長い期間をかけてつくった曲が多いんだ。とはいえ、音楽を聴いただけでは、どれが古くてどれが新しいか分からないと思う。僕らしい曲だって分かるだけさ」
―あなたの音楽でキー・ポイントになっているのは何ですか?
「特にはないな(笑)。同じ事をくり返したくないから、各曲で何か新しいことに挑戦しているんだ。一つの事象にこだわらず、いろんな音楽を聴いて、いろんなものからインスパイアされることが大切だと思う。常にアンテナを立てて、何かをキャッチできるようにしているよ。色々なものをリサーチして、何もないところから手探りで何かを探し、それを形にするという行為自体に、すごく満足を感じるんだ。そういう意味では、この3年間は研究の時間だったのかもしれないな」
―では、音楽シーンの移り変わりについて、何か感じるものはありますか?
「特にはないね。業界やシーンについて考えたり、注目したりはそんなにしない方だから。影響を強く受けているとも思わないな。16歳の頃には、バンドをたくさん見て、サンプリングの勉強もしたけど、あれから10年たった今、自分のスタイルは確立されていると思うし」
―今作はインスト・トラック集ですね。ボーカルやMCを起用しようと思ったことはありませんか?
「もし誰かが僕の曲に合わせて歌い始めたりMCを始めたら、その人が黙るまでプレイをストップするよ。ボーカルやMCを起用しようと思ったことは、今まで一度もない」
―だからこそ、聴き手にとってイマジネイティヴな作品になるんでしょうね。音楽をつくるときは、どんな景色を思い描きますか?
「いろんな人に聞かれるクラシックな質問だけど、すごく答えるのが難しい質問でもあるね」
―では、インスピレーションはどのようなことから得ていますか?
「ロマンチックな解答を求めているんだろうけど、一つのことからインスピレーションを受けて制作することはないし、実際には日常にある酷いことも音楽になり得るんだ。散歩にいったり、久々の友達と電話で話したりすることもインスパイア源になるし、酷い音楽や、まずい食事もね(笑)。上手く説明できないし、クリエイションの目的も説明できないけど...。本当にいろいろなところから、インスピレーションを得ているよ」
―前作のリリース時には“もうメロディアスなトラックの制作はしない”と公言していましたが、あなたの持ち味であるメロディアスさは今作にも健在ですね。
「たしかにそんなことを言ったかもしれないな。当時はそのつもりで言ったんだろうけど、気は変わるんだよ(笑)」
―メロディーは、どんなシチュエーションで考えたんですか?
「早朝3時に目覚まし時計をかけて、まだ半分寝ぼけている状態、暗闇でいろいろなものがきちんと見えない状況で制作したんだ。そんな夜中の変な感覚でパソコンを立ち上げて、メロディーを生み出したのさ。昼間の意識がはっきりしている時より、脳がまだ動いていない時にキーボードをいじった方が、なぜか不思議な音を生み出せる。その感覚を失いたくなかったから、こんな方法を取ったんだ」
―すごい制作方法ですね! そうして生まれた優美な上音と、破壊的でタフなボトムの共存が、今作に独特の世界を描き出していると思います。
「いろいろ試しながら、ラフでチャンキーなボトムを長い時間かけてつくっていくうちに、それにある意味飽きて、メロディーをつくり始めるんだろうな。そういう衝動はあると思う。何か一つやると、その逆や違うことをしたくなるものさ」
―リン・フォックスが過去にあなたの音源「Gob Coitus」を使って手掛けた、坊主頭の東洋人男性と蜂の出てくるビデオ・クリップは、その恐怖を誘う不思議な世界で話題を集めましたよね。今作でもビデオの制作予定はありますか?
「良いビデオ・クリップをつくるディレクターがいたら、そうしたいね。僕は難しい音楽観を持っているけれど、同じような価値観で映像と向き合っている、素晴らしいアーティストがいればつくりたいな。だけど、そういう人を見つけるのは本当に至難のわざだ。そういう人がいないなら、特につくろうとは思わないし。“ビデオをつくると良いプロモーションになる”みたいな戦略には、全く興味がないんだ」
―最後に、今後の予定を聞かせてください。
「9月から12月まではツアーで忙しくしていると思う。日本にも行きたいね。音楽制作は相変わらず毎日しているよ。アルバムが完成したら少し休もうと思ってたんだけど、できなかった(笑)。本当は少し休みたいんだよ。でも、制作の手を止めると具合が悪くなるんだ(笑)」


interview & text SOICHIRO NAITO
translation MIMI SHIMADA


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Body Riddle

(JPN) BEAT / WARP / BRC161

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