DAISHI DANCE
DAISHI DANCE インタビュー154号
実力派ハウスDJが描き出す、メロディアス・ファンタジー
札幌を拠点に活動するハウスDJ、DAISHI DANCE。DJとして10年以上のキャリアを持つ彼は、長きにわたり日本のハウス・シーンを支えてきた、影の功労者だ。近年、クリエイターとして楽曲制作も開始した彼は、'06年にファースト・アルバム『the P.I.A.N.O. set』をリリース。このアルバムは、ハウス・ファンのみならずクラブ・ミュージックの枠を越えて、幅広いリスナーに支持された。 このたびリリースされるセカンド・アルバム『Melodies Melodies』は、彼の原点とも言えるメロディアスさが追求された作品。前作で多用したピアノ・サウンドに、ストリングス、ギターのアコースティック感が加わり、よりディープで幻想的な世界観が表現されている。COLDFEET、金原千恵子、arvin homa ayaといった、日本のクラブ・シーンで活躍する面々の楽曲参加や、エドワーズ・ワールド「Soul Roots」のカバーが収録されている点にも注目したい。 DAISHI DANCEが奏でるメロディーの真髄を探るべく、本人に対面で話を聞いた。
——ファースト・アルバム『the P.I.A.N.O. set』以来、約1年3か月ぶりのアルバム・リリースですね。今回は、どんなテーマで曲づくりをしましたか?
「今作には、ファースト・アルバムで手応えを感じた部分をより強く反映させたんです。前作ではピアノの音を前面にフィーチャーしましたが、今回はそれに加え、より多くの楽器や音を使ってメロディアスな楽曲をつくることがテーマでしたね」
——曲づくりにおいて、ピアノにはかなり重点を置いているのですか?
「僕にとって、メロディアスさを一番表現できる楽器がピアノなんです。ピアノは、リスナーに一番感動を伝えやすいとも思います。変に意識して使っているワケじゃないんですが、いろんな音色の中からしっくりくるものを選んでいくと、結局最後はピアノに落ち着くんです」
——今回、ピアノに限らずストリングスやギターといった、アコースティックっぽいサウンドが多く使われているのはなぜですか?
「ファースト・アルバムを経て、さらに突き詰めたいと思ったのが、アコースティック・サウンドだったんです。僕自身も、アコースティック感のある曲を飽きずにDJでプレイしているので、自然にそういう部分が表れたんじゃないでしょうか」
——「Moonrise....Moonset」では、金原千恵子さんのストリングスをフィーチャーしていますね。金原さんのストリングスには、どんな魅力を感じていますか?
「金原さんのストリングスは、楽器なのに歌と同じだけの説得力があるんです。鳥肌が立つぐらいですね。楽器なので歌詞はないですが、メッセージがすごく伝わってくるんです」
——歌に匹敵するぐらいのパワーがあるんですね。今作は、他のインスト曲からもイメージしている世界が強く伝わってきました。
「そうですね。森の中で流れていたらいいな...とイメージした曲が「Music Life In Forest」だったり、「from japan to japan」では和のテイストを意識したりと、インスト曲でもイメージが伝わるように仕上がっていると思います」
——曲づくりのイメージには、長年拠点にしてきた札幌の環境も影響しているのですか?
「札幌に住んでいなかったら、こんな曲やメロディーはできなかったと思います。DJで東京に来ることも多いんですが、東京でメロディーが浮かぶことはまずないですね。でも札幌に限らず、新幹線で移動している時に見えた田舎の風景からインスピレーションを受けて、曲をつくることもありますよ」
——インスピレーション源は、さまざまなんですね。ところで今作では、「Home」、「Winter Night Melodies」でCOLDFEETをフィーチャーしていますね。
「はい。前作ではLoriさんをフィーチャーしていたんですが、今回はCOLDFEETとして楽曲に参加してもらいました。ファースト・アルバムを制作していた時期に、札幌で共演したのが交流の始まりですね。すごく温かい人たちで、本当にお世話になっているんですよ」
——また、今作ではエドワーズ・ワールド「Soul Roots」のカバーも披露していますね。この曲には特別な想い入れがあるのですか?
「「Soul Roots」は、オリジナルがリリースされた時から二枚使いでガンガンプレイしていたんです。自分でカバーするまでは、レコード・バッグにレギュラーで10年以上入り続けていました」 ——カバーするに当たり、こだわった部分はありましたか?
「元がクオリティの高い曲なので、オリジナルの良いところを伸ばそうと考えました。ピアノの弾き方では、要所要所にDAISHI DANCEっぽさが出ていると思いますよ。ブレイク部分には、自分の色を表現できるチャンスがあると思ったので、和の要素を意識したピアノ・リフを織り交ぜました」
——今作には「Love, Trust, Believe」のリミックスも収録されていますが、リミックスではどんなことを意識しましたか?
「リミックスでは、曲の瞬発力をいかに出すか意識しています。このリミックスも、オリジナルより高揚感を出して、フロア仕様のサウンドにしたつもりです。なので、僕の手がけたリミックス曲ばかり聴いていた人は、オリジナル・アルバムを聴くと違う印象を受けるかもしれませんね」
——リミックスでは、フロアのことを特に意識しているんですね。DJのキャリアから得たものは、楽曲制作にも反映されているのですか?
「DJとして、世の中の楽曲を客観的に見ていた時期が長かったので、自分の曲も客観的な目線でつくることができました。自分の方向性をDJ活動の中から見い出せたので、DJのキャリアを経て楽曲制作を始めたことは、自分にとってプラスになっていると思います」
——DJ活動と楽曲制作では、スタンスが異なるのですか?
「DJをする時は、アーティストっていうスタンスが全くないんです。DJはお客さんを踊らせるのが仕事なので、お客さんを楽しませることが重要なんです。アーティストとしてDJをするんじゃなく、DJとしてDJをするっていうことに、こだわりを持っています」
——クラブという場所には、どんな魅力を感じていますか?
「クラブは、いろんなチャンスがある場所だと思います。僕自身も、クラブに行ってなかったら楽曲制作はやってなかっただろうし、STUDIO APARTMENTの森田くんにも出会っていなかっただろうし...。僕のアルバムが、普段クラブに行かない人にとって、“クラブで音楽を聴いてみよう”って思うきっかけになったらいいですね」
interview & text EMIKO URUSHIBATA
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DAISHI DANCE
Melodies Melodies
(JPN) Apt. / NWR-2025

