DARK ENERGY
DARK ENERGY インタビュー146号
デトロイト・テクノ黎明期から活動しているベテラン・プロデューサー、ジェームス・ペニントン。サバーバン・ナイト名義で知られる彼は、1987年にデリック・メイのレーベルTRANSMATから「The Groove」でデビュー、「The Art Of Stalking」('90)で人気を確立している。1991年にはアンダーグラウンド・レジスタンス(UR)のメッセージに共感してメンバー入り、同プロジェクト内でプロデューサー/DJとして活躍するようになった。
そんな彼が、URからリリースしたベスト・トラックに未発表曲と新曲をプラスした、21曲入りの2枚組作品集『コライデッド・エナジー』をリリースする。URでの活動における彼のキーワード、“ダーク・エナジー”を冠とした本作では、その言葉通りのダークでコズミックな音楽性を味わうことができる。
本作の内容について、さらに彼にとっての“ダーク”について、ジェームス・ペニントンから話を聞いた。
—まずは、ダーク・エナジーという名義について教えてください。これは天文学用語の“ダーク・エナジー”に由来しているんですか?
「そうだ。僕とマイク(・バンクス)のアイディアだ。僕たちはみんな宇宙オタクで、宇宙が大好きなんだ。宇宙のビッグバン理論では、ダーク・エナジーは“存在の始まり(the beginning of existence)”と言われている。真空(void)の暗黒(dark)だった状態のところにエネルギーが生まれて、全てが始まったとされているんだ。僕にはすでに“ダークだ”って評判があったから、ちょうどいいと思ったのさ(笑)」
—存在の始まりですか。ポジティブな意味あいが込められているんですね?
「そうだよ! 多くの人は文字通り“暗い”という意味に捉えがちだけどね。僕の性格を知っている人だったら、そうは思わないだろうけど(笑)」
—あなたは実際に“ダーク”というイメージそのものにも引かれていますか?
「よく祖父が歌ってくれた古いニグロ・スピリチュアル・ソングに「Hold The Light」という曲がある。その歌を聴いたとき、“ダーク”という概念に魅せられたんだ。闇がもたらすエネルギーにね。僕は、すでに見えているものを追いかけるのではなく、あえて闇の中に足を踏み入れて新しいものを見つけたいんだ。なぜなら、闇(dark)こそが真の“光(light)”を意味するから」
—あなたにとって“ダーク”とは、イマジネーションをかき立てる言葉なんですね。
「それが真実なんだよ。人生において、こうこうと照らされている道は、本当に進むべき道ではない。薄暗く目立たない道こそが、本当に進むべき道なんだ。僕はそう信じているし、そう言われて育ってきた」
—それは深い信念ですね…。それでは、『コライデッド・エナジー』について聞かせてください。タイトルの“衝突したエネルギー”という言葉には、どんな意味合いが託されていますか?
「これは、僕がダーク・エナジー名義でつくり出した音楽のことを指しているんだ。僕のエネルギーとマイクのエネルギーが異なる角度からぶつかり合い、生まれたものを示している。だから、僕とマイクの衝突を意味しているとも言えるけど、それ以外の様々な要素も含んでいるよ。どこからともなく現れた漠然としたエネルギーが衝突することによって形となる、そんなイメージだ」
—それは創造の源、ですか?
「おお、いいね!それだ、ソレ。ハッハッハ!」
—このアルバムは、あなたのキャリア初となる作品集ですが、このタイミングで自身のアーカイヴをまとめたのはなぜですか?
「本作は、光栄なことに、URが今後リリースしていく“アーティスト・シリーズ”の第一弾となるアルバムなんだ。そこには僕の過去約10年間の軌跡が収められている。URのメンバーとして活動してきたキャリアの全てがね。20年間やり続ければもっと幅広いレンジの曲を収録できるだろうけど、僕はまだ自分を博物館に入れるつもりはないし(笑)、逆に2〜3年のスパンでこういうものを出そうとすると、表現力はどうしても偏ってしまう。だから、今がちょうどいいんじゃないかと思ったのさ」
—個人的にはCD1はハードな印象、CD2はいくぶんメロディアスな印象がしました。CD1とCD2で、何か色分けは考えましたか?
「ふむふむ、そうだね。でも、特に意識はしなかったね。僕はいつも暗い曲ばかりをプレイしていると誤解されている節があるから、僕の本当のストーリーを伝えたかったというのはあるな。こうしたかたちで聴いてもらうことによって、僕にも多様な側面があること、僕が多様なものから影響を受けていることを知ってもらえると思う」
—では、今作の中で、あなたのキャリアにおいて特に重要だと思うトラックを教えてください。
「「Nocturbulous Behavior EP」('91)の曲(どれ????編注必要)だね。なぜなら、この作品をリリースすることによって、レーベルが変わっても、それまでのスタイルを変えることなくキャリアを続けられる、テクノの世界でまだまだやっていけると実感できたからだ。二番目は「Dark Energy EP」('94)の曲(どれ????編注必要)だ。僕とマイクの“エネルギーの衝突”が初めて実現したのが、この作品だった」
—あなたの曲は、URの中でも特にグルーヴィーでパワフルなダンス・トラックだと思います。曲づくりでは、“ダンス”を意識していますか?
「いや、僕の音楽は“空想のための音楽”だよ(笑)。いや、“思考のための音楽”と言った方がいいかな。僕は自分のムードに基づいて音楽をつくっているんだ。逆に、音楽が手助けとなって、思考がよりクリアになったり、沈んだ気分が明るくなったりもする。だから、人を踊らせることを意識したことはないね」
—ところで、最近あなたは自身のレーベルDARK PRINTから、ベルギー経由で作品をリリースしていますね。
「レーベルを立ち上げた当時、僕はよくベルギーに行っていたから、よい条件で手伝ってくれる人たちが見つかったんだ。なかなか上手くいっているよ。今はヨーロッパがベースになっているけど、もうすぐ拠点をデトロイトに移すつもりだ。レーベルには、もっと力を入れていきたいね」
—今後はどういった活動をしていきたいと考えていますか?
「僕の周りの友人たちと積極的に制作をしていきたいね。だから、僕のプロダクションもだいぶ変化していくと思う。良い方向にね。とにかく、挑戦してみること、そしてデトロイトを活性化することが重要だと思っている。日の目を見ていない優れたアーティストたちに活躍の場を与えたいんだ」
translation YUKO ASANUMA
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DARK ENERGY
Collided Energy
(JPN) SUBMERGE / SUBJPCD-009

