DJ SPINNA
DJ SPINNA インタビュー136号
ハウスからジャズ、ヒップホップまで、その名を幅広くシーンに轟かす、DJスピナ。日々世界を忙しく飛び回る彼は、ここ日本での評価も高く、これまでに数回の来日を果たしている。スティーヴィ-・ワンダーのカバー・トラックのみをコンパイルした『Wonder Of Stevie』の監修も記憶に新しいが、昨年末から年明けにかけて行われたジャパン・ツアーの一環として、東京のCLUB YELLOWで開催された
そんな彼はトラック・メイカーとしての腕も確かで、デ・ラ・ソウルやアナンダ・プロジェクト、4ヒ-ローなど、ジャンル縦横無尽に様々なアーティストのプロダクション/リミックスを手がけている。そのジャンルレス感はセルフタイトルのリリースでも同様で、この度リリースするサード・アルバムにも、ヒップホップやR&B、ハウス、ブロークン・ビーツなど、多岐に渡るトラックが収録された。クラフトワークのカバー・トラックも収められている。
多くのコラボレータ-を迎え、新たな音楽性ともクロスオーバーしたニュー・アルバムについて、来日時に話を聞いた。
―今作のタイトル『Intergalactic Soul』なんですが、前回のアルバム『Here To There』には「Galactic Soul」という収録曲がありましたね。
「前作でやった「Galactic Soul」を再構築したトラックにリトル・ブラザーをフィーチャ-したのが、今回のアルバム表題曲「Intergalactic Soul」なんだ。そして「Intergalactic Soul」と同テイストの楽曲をつくり、まとめたアルバムが今作。コンセプトは、フュ-チャリスティック・ソウル・ミュージックだね。キーボードを使用して、クラシックなスペイシー・サウンドをつくりあげたよ。ただ、未来的かつ宇宙的なサウンドとなると、いき過ぎちゃっているものも多いよね。だから、リスナーがちゃんと理解できるよう心掛けたよ」
―今作には、ほぼ全曲にゲスト・ラッパーやボーカリストを迎えていますね。さながらDJスピナによるプロデュース作品集のような印象も受けました。
「トラックに込めた自分のアイデアを、フィーチャリング・アーティストの感性で表現してもらったよ。ただ、コンピレ-ションではないからね!? 僕のアルバムだよ(笑)」
―わかっています(笑)。では、ゲストに歌入れをしてもらうえで意識したことは?
「僕とゲストの接触による相乗効果で良い作品となるよう意識したよ。歌入れや作詞に関しては、僕も少しはアドバイスしたけど、ほとんどゲスト任せだったね」
―ゲストの感性を信じ、リスペクトしていたんですね。
「その通り。僕が好きだと思ったアーティストのみをフィーチャ-したんだからね!」
―誰とのコラボレーションが特に印象深いですか?
「もとザ・ブランニュ-・ヘビーズのボーカル、エンディアだね。彼女は今作に協力してくれたアーティストのなかで、最も成功を収めている人だ。昔から僕もファンだったよ。ずっと一緒にやりたいと思っていたから、夢が叶ったという思いもあるな」
―今作の制作期間はどれぐらいだったんですか?
「3年かかった。2年前に娘が生まれてね、娘と一緒に過ごす時間を大切にしたかったんだ。また、DJでのワールド・ツアーにも時間を取られたしね。まぁ何にせよ、パーフェクトなものをつくりたかったから、制作を急ぎたくはなかった」
―お子さんが生まれたのは、大きな変化ですね。
「あぁ... 一緒にいないといけないんだけど、実際は忙しくてなかなかね。彼女、すごく寂しがるんだよ。でも今回の来日は一緒に来れたんだ」
―それは良かったですね! どこか一緒に遊びに行きました?
「ずっとDJしていたから、まだどこにも。明日は時間が取れそうだから、公園にでも行ってみようかと思っているんだ」
―父親になると、人間的に一回りも二回りも成長すると言いますよね。そういった変化が制作に影響を与えたと感じますか?
「曲づくりに対して、より真剣に取り組むようになった。娘のために、“制作したい”から“制作しなくては”に変わったよ。6、7年前のアンダーグラウンド・ヒップホップをつくっていた時と比べたら、今はソウルやジャズ/クロスオーバー系のサウンドをつくるようには変わってきた。ミュージシャンとのコラボレーションも盛んにやるようになり、音楽性での成長は感じるけど、それらは娘が生まれたこととは関係ないかな」
―ブロークン・ビーツの「We Can Change This World」を収録したり、ダウン・テンポのトラックにもクロスオーバーなUKっぽさを取り入れていますね。
「最近UKに行くことが多かったからね。バグズ・イン・ジ・アティックの面々と知り合ったのも影響している。「We Can Change This World」のラフ・バージョンをロンドンのDJに送ったんだけど、今ではアンセムになっているようだね。クラウドが歌えるぐらいにまで浸透したようなんだ」
―あなたはアメリカのアーティストですが、どのようにUKのサウンドに興味を持つようになったんですか?
「今程シーンも確立していない頃、ある潰れてしまったレーベルから沢山レコードをもらって初めて聴いたんだ。それで興味を持って、ロンドンのクリエイタ-達と交流を持つようになったよ。マーク・ド・クライブ-ロウのリミックスをやったりもしたね」
―多ジャンルにわたる活動をすることに対して、どのような面白みを見い出しているんですか?
「好きなものをやっているだけだよ。また、リスナーの音楽性を広げてあげることも僕の役目だと思っている。特にアメリカの音楽を聴いている人達のをね。アメリカの音楽マーケティングは、ヒップホップの人にはヒップホップだけ、R&BにはR&Bだけを聴かせようとする。ピンポイント過ぎるのではなくて、全ての音楽を聴いて欲しいという想いがあるんだ」
―では、あなた自信は昔からいろんな音楽を聴いて育ったということですね。
「'70年代のサイケデリック・ロックからサルソウルまで、いろいろ聴いていたよ。もちろんジャズやソウル、ファンクなども聴いてきた。僕はソウル・ミュージックをつくっているアーティストだけど、いろんなところから影響を受けているんだ」
―あなたはリミックス・キングとしても有名です。人の楽曲をリミックスするうえで、意識していることはなんですか?
「オリジナルの方向性を上手く変えること。これを最大のインスピレーション源にしているよ」
―また、クラブDJとしてもジャンル縦横無尽な世界を展開しますよね。あなたのセットを通して聴くと、全く異なるジャンルでも一つのまとまったDJスピナの世界観に演出されてしまうから不思議です。それは、今作『Intergalactic Soul』でも同じことが言えると思います。音楽を通してリスナーに伝えたいコンセプトは何ですか?
「DJする時にイメージするのは、とにかくお客さんに楽しんでもらうこと。実験的にクレイジーな曲をかけて、オーディエンスに新しい世界観を紹介したいとも思う。楽曲制作では、自分のソウルからクるものをつくっている。リスナーがどう受け止めるかは気にしない。僕が心の底から感じたものは、リスナーも何かしら感じ取ってくれると思うんだ」
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DJ SPINNA
Intergalactic Soul
(JPN) COLUMBIA / COCB-53516

