FreeTEMPO インタビュー153号
仙台を拠点に活動するダンスミュージック・クリエイター、半沢武志。彼のソロ・プロジェクトがFreeTEMPOだ。
'01年に、イタリアのIRMAからリリースされたコンピレーション、『LA DOUCE PARTY 5th anniversary』への参加でデビューを果たした彼。
その後リリースしたオリジナル・アルバムも軒並みヒットさせ、シーンで頭角を表している。最近は、i-depのKANA、CLAZZIQUAI PROJECTといった国内外のアーティストとのコラボレーションも行い、多方面での活躍も見せている。
このたび、FreeTEMPOの4年ぶり2作目となるフル・アルバム、『Sounds』がリリースされる。自然をテーマに、シンプルな世界が表現された本作。
ハウス、ブラジリアン、ブレイクビーツを取り入れたアコースティック感あふれるサウンドは、FreeTEMPOの真骨頂とも言えるだろう。また、bird、宮原永海、ミズノマリ、arvin homa aya、名取香り、ogurusu norihideをボーカルに迎えているほか、ブラジルのハウス/ドラムンベース・ユニット、カレイドとのコラボレーション曲、「Brazil」が収録されている点も注目だ。 新作のテーマについて、半沢武志に対面で話を聞いた。
——フル・アルバムは実に4年ぶりのリリースになりますね。今回は、どんなコンセプトで制作したのですか?
「今回のアルバムでは、自然や動物をコンセプトにしました。今までに自分が見てきた、鳥や花などのイメージを音楽という形にできたので、満足のいく出来栄えになっています」
——楽曲にも、「Birds」、「Flowers」、「Sunshine」、「Rain」など、自然をテーマにしたタイトルが付けられていますね。
「はい。タイトルは、シンプルでわかりやすいものが良いと思ったんです。その方が、リスナーにも伝わりやすいですからね。例えば...「Sunshine」は、まさにタイトルそのもの、太陽のことについて歌っている曲なんですよ」
——アルバム・タイトルの『Sounds』は、コンセプトと関連しているのですか?
「自然の中にも、音はあふれているじゃないですか。今回は、僕が今まで生きてきた中で耳にした、鳥や花、木といったものにまつわる、自然の中にある音から感じたものをイメージして、曲にしようと思ったんです。音楽よりもさらに原点に返る、“音”にフォーカスした作品なので、『Sounds』というタイトルを付けました」
——あらゆる面において、シンプルさにこだわった作品なんですね。サウンド的には、ハウス、ブラジリアン、ブレイクビーツなど、様々な要素がバランス良く盛り込まれているという印象を受けました。
「実は今回は、ジャンルに特にこだわらず、曲のイメージに合うリズムや楽器をチョイスしていったんです。だから、様々なテイストのサウンドがあるんだと思いますよ」
——半沢さんはこれまで、生楽器で表現する部分を大切にして楽曲制作をしてきたそうですが、今作についてはいかがですか?
「今回はFreeTEMPOの新しい形ということで、打ち込みで生楽器っぽい音をつくることにチャレンジしたんです。特に「Trees」では、打ち込みでバンド・サウンドをやってみようと思い、生ドラムっぽい処理をしました。打ち込みで生っぽいサウンドをつくるのも、面白いと思いましたね」
——FreeTEMPOとしては、とても新しい試みですね。
「そうですね。今回はジャンルを意識しなかった分、いろいろと自由に制作できたんです。自分が描く曲のイメージをもとに、一つ一つの音を構築できたと思いますよ」
——ところで今回は、birdさん、arvin homa ayaさんなど、ゲスト・ボーカルの方も多数参加していますね。
「はい。birdさんは以前から好きなシンガーだったので、何かコラボレーションをしたいと思っていたんです。今回やっと、birdさんに歌ってもらえるような曲がつくれたので、参加してもらいました。デモの段階から、「Sunshine」という曲のイメージをつかんでもらえたので、バッチリはまっていると思いますよ。arvin homa ayaさんには、「Birds」を歌ってもらいました。この曲には、ayaさんのボーカルが持つ、なめらかで繊細な要素を取り込みたかったんです」
——リード曲「Dreaming」には、宮原永海さんが参加していますね。
「はい。この曲は、夢をテーマにした楽曲なんです。淡いイメージがあったので、かわいらしいボーカルの宮原さんに歌ってもらいました。今作の中で、一番ポップな部分を打ち出せた楽曲だと思います」
——名取香りさんとは、以前リミックス・ワークで共演しているそうですね。
「はい。’06年にリリースされた、彼女の「Lovespace」をリミックスした時に、一緒にお仕事をさせてもらいました。今回は僕のオリジナル曲でも歌ってほしいと思い、「Flowers」に参加してもらったんです。この曲は、女性らしさと力強さという、両方の雰囲気が表現できた楽曲ですね」
——「You and Me」、「Trees」では、男性ボーカルのogurusu norihideさんをフィーチャーしていますね。
「はい。「You and Me」は、切なく静かなトラックとogurusuさんの英語の発音がすごくマッチしているので、良い雰囲気が出せたと思いますよ」
——カレイドをフィーチャーした「Brazil」は、彼らの最新アルバム『New Sessions!』にも収録されているそうですね。この曲は、どのように制作を進めたのですか?
「「Brazil」は、『New Sessions!』にポルトガル語バージョンを、『Sounds』に英語バージョンを収録しているんです。トラック自体は僕がつくって、歌詞とボーカルはカレイドの方で乗せてもらいました。実際に会って作業はできなかったんですが、カレイドの二人にもちゃんと曲のイメージが伝わっていたと思います」
——カレイドのキャラクターが活かされた、快活な楽曲ですね! ラストに収録されている「Sounds」は、ドレミファソラシドの音階を一つずつピアノで演奏している、斬新な楽曲ですね。
「僕は子供の頃にずっとピアノを習っていたので、練習曲とかでドレミファソラシドの音階を練習していたんです。それがあってこそ今の自分があるので、まさに初心に返って制作した楽曲と言えますね。音楽の原点に立ち返って、“シンプルな音って何だろう?”と考えたところから、この曲のアイディアが生まれたんです。もちろんこのピアノは、僕が演奏しています」
——では最後に、FreeTEMPOとしての次なる目標を教えてください。
「これまでは、DJ/クリエイターとしてクラブ・ミュージックに携わってきましたが、今後はライブや楽器の演奏というスタイルでも、音楽を伝えられたらと思っています」
interview & text EMIKO URUSHIBATA
FreeTEMPO
Sounds
(JPN) UNIVERSAL GEAR / POCS-1016


