FUMIYA TANAKA

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FUMIYA TANAKA インタビュー139号

 日本のテクノ・ミュージック・シーンの中でも、とりわけ異彩を放つ活動を展開している田中フミヤ。彼がインディヴィジュアル・オーケストラ名義で、アルバム『MIND THE GAP - singles 2000-2006』をリリースした。タイトルからも分かる通り、2000年、2003年、2006年にリリースした12インチ三作をまとめた、シングル作品集だ。  インディヴィジュアル・オーケストラはこれまでに、生楽器を使ったセッションをベースにした『Karafuto Presents Individual Orchestra』(1998)、風景や映像を音として表現した『Music From A View』(2003)など、田中フミヤのDJ活動とは一線を画するサウンドを発表してきた。テクノという枠に限定されない自由な音楽からは、不思議なことに彼固有のテクノ的センスがより一層強く感じられる。  作品ごとに新たなアイディアを投影させているインディヴィジュアル・オーケストラの歩みについて、本人から話を聞いた。


―そもそもインディヴィジュアル・オーケストラは、どんな想いでスタートさせたものなんですか?
「カラフトやインディヴィジュアル・オーケストラは、田中フミヤとしてやっているDJ活動の中では収まりきらないアイディアを曲にしたい、ということで始めた名義ですね。さかのぼれば、フードラムをやっていた頃、DJやクラブに特化していない音で曲をつくれないかなぁと、漠然と持っていた気持ちを具体化するところからスタートしたんです。音楽的には、一番最初はバンド・セッションというアプローチでやっていたから、生音を使いたいということがありましたね。それでできたのが1998年の作品です」
―カラフトとインディヴィジュアル・オーケストラの区別はどうなっているんですか?
「最近はカラフト名義でも結構DJ活動をやるようになったんで、インディヴィジュアル・オーケストラのほうが、よりクラブに特化していないという区別の仕方でいいと思います。カラフト名義は、本人名義よりもハウス的なグルーヴでDJする感じです」
―『MIND THE GAP - singles 2000-2006』は、12インチ・シングル三作をもとに構成されていますね。アルバムとしてまとめるにあたって、何か意識したことはありますか?
「古い順で曲を並べました。当初は聴きやすいように並べようとか、いろいろ考えたんですけど、止めました。古い順に並べることで、ドキュメントっぽくなっていると思うんです。途中から雰囲気がざっくりと変わっているんで、どういう風な流れで現在に至っているのか、ヒストリカルに伝わるんちゃうかな。一番最初に出した12インチが2000年で、その次が2003年、そして最後は2006年なんですけど、最初の12インチのときにやってみようと思ったプランやアイディアは途中で破綻しているんですよ」
―各シングルには、それぞれどんなプランやアイディアがあったんでしょうか?
「2000年の12インチは、演奏者とセッションをやりながらつくったんです。セッションとDJプレイできるものとを近づけるような形でまとめたかった。その中で、やっぱりある程度こちらでコントロールできた方が良いものができるとか、いろいろ思ってました。その頃は他のプロジェクトもいろいろあったから、“何でもできるやろ”って感じで調子良くやってたんですよ。でも三年の間に考えることが変わってしまった(笑)」 ―なるほど。
「それで、以前のアイディアをほったらかして、映像から音をつくってみようというアイディアで始めたのが、2003年のやつです。このときは、あんまり普段テクノを聴かないような人からの反応が大きくて、その人達の反応を聞くことが面白かったですね。ただ、セッションのときにも感じていたんですが、手法だけじゃなくて娯楽性も大事にしたいから、そういう部分については考えさせられました。もうちょっとさらっと聴けて楽しめるもの、楽曲的に成立しているものをやりたかったですね。実験的なものだけでも違うし、コンビニでもかかっているような音楽だけでもシンドい。そこの微妙なバランスが大事なんです」 ―2003年の作品から、2006年の作品へは、どのように変化していますか?
「2003年からの変化は、テクニック的なことですね。生音でできるようなことをコンピュータでやったり、ピアノの音を四つ打ちにカスタマイズしてみたり、そういった部分です。あとは、今はあんまり生音自体には興味がなくなっているので、自分の得意な四つ打ちを使ってインディヴィジュアル・オーケストラをやれないかな、と。四つ打ちというフォーマット、制約を設けたところに、自分の手法を落とし込んでいったんです」
―インディヴィジュアル・オーケストラの曲づくりは、基本的にはかなりロジカルに行っているんですか。それとも感覚的に?
「曲をつくるときは感覚的にやるんですけど、わりと苦しみながらやっているという感じがあります(笑)。自分の名前で12インチを出すときより、つくり直したり、つくり込んだり、イチからやり直したり、ということも多いです。結局つくるのに三年ずつかかってるんですよ...」
―絶えず頭の片隅にインディヴィジュアル・オーケストラがあって、音をいじり続けているような感覚ですか?
「そうです。常に宿題が残っているような感覚です」
―インディヴィジュアル・オーケストラをスタートしてから8年が経過しましたが、最近のテクノ・ミュージック、エレクトロニック・ミュージックの変遷については、どのような印象を持っていますか?
「悪いイメージは全然ないですね。常に良いイメージがあります。今後どうなっていくのかも楽しみだし。いつの時代もそうですけど、メインストリームから少し外れたところに絶対面白いものがあるから、やりたいことはいっぱいあるんです。やっていけば、どんどんできる感じがしています。去年くらいから、いろいろなところで“テクノくるで”って言っているんですよ(笑)。音だけじゃなく、ビジネスとか全体的なことも含めてね」
―フミヤさん自身は、今後もテクノ・シーンを軸にして活動を続けていきたいですか?
「そうですね。僕の着地点は、やっぱりDJやテクノだと思うんです。これしかできないと言えば、これしかできないし、そこでやれることもたくさんあるから」
―今後の活動予定について教えてください。
「夏頃にカラフトのMIX CDが出ます。年内には本人名義のMIX CDも出ます。あとは、新しくop discってレーベルを始めたんですけど、そこから半野さんと一緒にやった12インチがでます。アルバムは来年出す予定で、今制作しているところです。あと、TOREMAからも12インチが出ます。それとヨーロッパのレーベルからも、本人名義で12インチが結構でます」


text FUMINORI TANIUE


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INDIVIDUAL ORCHESTRA
MIND THE GAP - singles 2000-2006

(JPN) REVIRTH / RECD015