GTS
GTS インタビュー139号
GTSは、チャカ・カーンの「Through The Fire」をハウス・カヴァーしたデビュー作以来、数々のヒット・トラックを世に送り出してきたハウス・プロデューサー・チームだ。メンバーは、DJ GEE、TURBO、SATOSHI HIDAKAの三名。結成10周年を迎えた昨年は、シングル「Le Freak」でビルボード・クラブ・チャートの2位も獲得している。 そんな彼らが、通算10作目となるオリジナル・アルバム『RHYTHM PARADISE』をリリースする。既に話題となっているボズ・スキャッグスのハウス・カヴァー「We're All Alone」や、MINKをフィーチャーしたアップリフティングなハウス・チューン「Everlasting Love」を筆頭に、GTSならではのソウルフルかつポップなサウンドが満載だ。また、ハウス版レゲトンというアイディアから生まれた異色作「Turn It Up」や、DJ GEEが“エモーショナルで歌心がある”と語るインスト・トラックでは、さらにパワーアップした新たなGTSを聴くこともできる。 充実した内容を誇る最新作『RHYTHM PARADISE』について、DJ GEEとTURBOから話を聞いた。
―前作『electique』は、エレクトロニック路線のサウンドで新境地を切り開いていましたが、今作『RHYTHM PARADISE』は、GTSの王道路線を再び追求するようなアルバムだと感じました。今作にはテーマがあったんでしょうか?
DJ GEE(以下G)「GTSは去年10周年を迎えました。今作はオリジナル・アルバムとしては、ちょうど10作目になるんです。ということで、一度原点に帰るというわけではないんですけど、僕ら的に一番しっくりくるもの、ツボにくるところを改めてやってみようと思ったんです。と同時に、僕らはその時々の時代性を考えながら、自分たちの好きなエッセンスを取り入れてやってきたんですけど、ひとまわりしてソウル感のあるものが現在の時代性でもあると思ったんです。今の時代性であり、僕らの原点でもあるもの、それが今作で融合できたと思います」
TURBO(以下T)「10年前は、クラブというと内にこもった感じでしたよね。でも、僕らはデビュー当時から、“ハウスって開放的で楽しいものなんだよ”ということを言ってきたんです。その“楽しい”という部分を追求していたら、一周して再びこうなっちゃったんだと思います」
―夏に向けてのアルバムだという点も意識しているそうですが、夏に対してはどのようなイメージを膨らませましたか?
G「盛り上がりどころで手を挙げると、その先はもう果てしなく遠い空...みたいなイメージですね。オープンな感覚、良い意味での明るさ、そいうった点を意識してみようと思いました。最近は日本でも野外パーティーが増えてきましたけど、僕らはわりと早い時期からマイアミやイビサに行って、海外の夏のクラブ・シーンを体験していたんです。だから、今回はその“開かれた究極の空間”にある雄大な雰囲気を出そうと思いました。これまで真夏のリリースってなかったんですけど、ちゃんと夏経験してるんですよ(笑)。季節感は大事ですね」
―先行シングルの「We're All Alone」は、カヴァーですね。原曲はボズ・スキャッグスの傑作バラードですが、この曲をピックアップした理由を教えてください。
G「僕らの最初は「Through The Fire」のカヴァーですから、今回は自分たちなりに「Through The Fire」を超えてみたいということで、バラードをハウスにしようということになったんです。それでいろいろ候補を考えたんですけど、去年ボズ・スキャッグスがブルーノートに来日したとき観に行って、“この曲はやっぱり名曲だなぁ”なんて思っていたので、「We're All Alone」に決めました」
―オリジナルの「We're All Alone」には、何か思い出がありますか?
G「「We're All Alone」が出た頃は、まだ子供でした。でも、アルバム・ジャケットは凄く印象に残っています。初めて邦楽じゃない世界に触れたようなイメージで、それを持っていると、ちょっと大人になったような気がしたものです。それを今、自分たちがカヴァーするということには、不思議な感覚もあります」
T「僕はブラック・ミュージックが洋楽を聴くきっかけだったから、「We're All Alone」を聴いて、当然“黒人がやっているんだろう”って思っていたんですよ(笑)。でも、レコードを買ったら白人だったんで、“白人でもこんなに黒人っぽい曲ができるんだ...”と思いましたね」
―'70年代~'80年代のバラードをハウス・カヴァーするときに、GTSならではのカンのようなものは働きますか?
T「“やろう”と言ってやってみて、“やっぱり変だね”ということは、ないんですよ。珍しいことに。やると、ちゃんとハウスになっちゃうんです。たぶん、この曲をハウス・カヴァーしようと思った瞬間に、頭の中のどこかのコンピュータが計算して、もうハウスにしているんでしょうね」
G「そうだね。アイディア一発なんですけどね。GTSを今までやってきた経験が活かされているんでしょう(笑)。DJをやっているといろいろ自分のセンスも問われるから、そういうところで養われた感性なのかもしれません。これはカヴァーできるか、カヴァーしてかっこ良くなるか、ダンス・ミュージックになるか、そういうことは直感で分かるんです。その点では、あんまり悩まないですね」
―MINKをフィーチャーした「Everlasting Love」も、アルバムのキー・トラックになっていますね。この曲はどんなコンセプトだったんですか?
G「MINKはバラードという印象がありますが、そんな彼女をハウスにリミックスすると面白いんじゃないかと思っていたんです。そんなことを考えていた矢先、彼女のリミックスがビルボードのクラブ・チャートで1位になったんです。だから、思っていたことは間違いじゃないんだと思って、今回やってみました。僕らは2位が最高なんですけど、タッグ・チームで1位をとりたいという思いも込めています。彼女の声は低音も魅力的なんですけど、高音も伸びがあっていいから、そこを活かしたハウスにしたんですよ。バッチリでしたね」
―GTSはヒット・メイカーとして数々のトラックを送り出してきましたが、チャートの上位を狙える楽曲のポイントというのはあるんですか?
G「サビのメロディアスさは重要視しています。でも、全編通してメロディアスだと、お腹いっぱいでモッタリしちゃう。八分目くらいが丁度いい」
T「曲の表面的なところでお腹いっぱいになっちゃうと、感じる部分がなくなっちゃうんです」
text FUMINORI TANIUE
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GTS
RHYTHM PARADISE
(JPN) AVEX / 17909

