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HEXSTATIC インタビュー151号
ロビン・ブランソンとスチュアート・ウォーレンからなる、ヘクスタティック。オーディオ・ヴィジュアル・プロダクションのパイオニアにして、ありとあらゆる素材をコラージュ / マッシュアップするビート職人でもある彼らは、ブレイクビーツの鬼才、コールドカットと共に、ニンジャ・チューン・レーベルを牽引するトップ・アクトとして知られている。彼らが手掛ける作品は、一筋縄では説明できないものばかり。例えば'04年に発表した前作『Master View』は、3Dメガネをかけて、CDに同梱されたDVDを見ると立体映像が楽しめる異色の内容だった。 あれから3年、このたび新作『When Robots Go Bad』を完成させた彼らのサウンド面には、大きな変化が見受けられる。サンプリングを駆使したブレイクビーツではなく、ヴォーカリストを大々的にフィーチャーした、フィジカルなエレクトロを手がけているのだ。しかも、今作には得意の映像集が用意されていない。そこには、楽曲制作に全力を注ぐことで、新たな領域を開拓しようという熱意が表れている。 そこでLOUDは、メンバーのロビン・ブルゾンを電話でキャッチ。彼らが望む新天地について聞いてみた。
——DVDによる映像作品ではなく、CDアルバムとして新作がリリースされたことには正直驚きました。この3年でどんな心境の変化があったのでしょうか?
「このアルバムでは、音楽だけに集中したかったんだ。ヴォーカルを取り入れたかったから、映像までやると時間がかかりすぎると思ったしね。最終的には映像もいくつかつくる予定だよ。でも、今のところまだ撮影もしていない状態で... (笑)。それは、今年中に未発表や新しい作品を加えて、ベスト盤的なDVDとしてリリースする予定なんだ」
——なぜ音楽だけに集中したかったんですか?
「僕らには、インストゥルメンタルやサンプルネタ中心の音楽だけでやっていくのではなく、もっと正統派なポップ・ミュージックもつくりたいという願望がずっと前からあったんだ。最近はサンプルネタを使ったインストゥルメンタル曲が、あふれかえっているうえに、UKのラジオではアンダーグラウンドなインストゥルメンタル曲はオンエアされるチャンスが少なくなっているしね。まあ、要するにもっとたくさんの人に届く音楽を意識したってことだね(笑)」
——DVDアルバムとCDアルバムの制作に、違いを感じましたか?
「前は二つが密接にリンクしている感じだったね。映像からサンプリングして曲をつくって、また映像に手を加える。それを同時進行で作業していたから、二つで一つのプロセスだった。今回みたいにアルバムだけ制作できたのはよかったよ。フェイスレスのPVやCM映像とか、他作品のディレクションをやる時間もあったしね。最近はちゃんとしたスタジオで、小道具からカメラマンまで、必要なものは全部揃っている環境で映像を撮っているんだ。昔はポストプロダクション的な作業が中心だったから、今は楽しいよ。まあ、今でもポストプロダクションは自分たちでやるから基本は変わらないけど、音楽と映像を別々にできるのは嬉しいね」
——そもそも、音も映像も両方できてしまうところが、ヘクスタティックのすごいところですよね!
「仕事の量も倍だけどね(笑)。2週間くらい前にやっとアルバムのレコーディングが全部終わって、今は“終わった! さて、ああ...次は映像に取りかからないと...ふう...”って状況。アルバムをつくり終えたっていう達成感は、あっという間に吹き飛んだね(苦笑)」
——これまでの作品では、映像から音をサンプリングして楽曲に反映させていたヘクスタティックですが、今作にも何か面白いサンプリングネタはありますか?
「いや、今回サンプルはほとんど使ってなくて、ほとんどの曲でシンセを使っているんだ。あえてサンプリングを避けて、自分たちの音づくりをするのが長年の夢だったからね。おかげで、今までの作品の中でも最高のものになったと思うな」
——現在エレクトロ・ムーヴメントが巻き起こっていますが、今作にもエレクトロ・テイストは色濃くありますね。制作ではシーンの潮流を意識した部分が大きいのでしょうか?
「間違いなく意識したね。そもそも、僕は初期のアシッド・ハウスに夢中だった人間だし、僕ら二人ともレイヴ・カルチャーの影響を受けている。だから、ヘクスタティックの原点であるエレクトロを取り入れるには、今がいいタイミングだと思ったんだ。そこに、家でいつも聴いているギターやインディー・ロックの影響も反映させたイメージだね」
——前作『Master View』リリース時のインタビューでは、“いつもコンセプトをもってプロジェクトに取り組む”と言っていましたが、今作には具体的なコンセプトを持たせましたか?
「今言ってきたこと以外にはないかも(笑)。いや、まだあるな。このアルバムをよく聴いてもらったらわかると思うけど、今作には歌をベースにしたスローな曲が多いんだ。ちまたでプロデュースされているエレクトロ・ダンスのアルバムには、フロア向けのものが多いけど、僕らは家でも聴けるアルバムを目指したのさ」
——今作にフィーチャーしたヴォーカリストとは、どんな経緯で共同制作を進めることになったんですか? 「B+は共通の友達に紹介してもらったんだ。彼女はオーストラリア人で、今までにいくつか作品を出していてね。それを聴いて惚れこんだのさ。彼女、普段はMCっぽいラッピング・スタイルで歌っているけど、今回はあえてストレートに歌ってもらったよ。彼女の声質が生きた、良い曲になったね。サビラジェイドは、僕がたまたま遊びに行ったクラブに出演していたんだ。彼女の姿が見えないところに僕はいたんだけど、声だけは聞こえて、その声がスゴかったんだよ。それで彼女にアプローチしたら、二つ返事でOKしてくれたってわけ。他の人が彼女の才能に目をつける前に仕事ができてラッキーだったよ! プロフィシーとは2年くらい前にグラスゴーのライヴで知り合ったんだ。その時に彼のMCに対するアプローチがすごく気に入って、後で彼のマイスペースを見てみたら、グレイト・エスケープというグループでも活動していると分かったんだ。イギリスのヒップホップにはアメリカのモノマネが多いけど、彼らのサウンドは一線を画していたから誘ってみたのさ」
——ヴォーカリストのほうから売り込みされることもありますか?
「ははは(笑)。マイスペースによくメッセージがくるよ。マイスペースって便利だよね。相手がイマイチな感じだったら無視するか、“現在は募集しておりません”って言えばいいだけだから。マイスペースは、コラボレーションのパートナーを探すには素晴らしいツールだよ。相手の作品がすぐ聴けるからね」
——収録曲で特に思い入れのあるものはありますか?
「「TLC」。僕の奥さんと娘について書いた曲なんだ。“TLC”は“Tender Loving Care(優しく愛情を持って相手を想う)”の略語なんだよ。ははは(照笑)。ずっとうちの奥さんのために曲を書きたいなと思っていたんだ...。でも、普通のラブ・ソングとは言えないね。ドラムンベースからインスピレーションをもらった曲だし(笑)」
——あなたの話を聞いていると、楽しみながら自由にアルバム制作を進めているヘクスタティックの姿が想像できます(笑)。
「ははは(笑)。そうだね。レーベルに感謝しないと。実際僕らは、いかにもニンジャ・チューンという音のアルバムは、つくりたくないと考えるようになっていたんだ。今までのニンジャのアーティストって、サウンドのタイプは分かれていても、どこか共通性を持っていたよね。でも最近は、レーベルの成長に伴ってそんな状況も変わりつつある。みんないろんな作風にチャレンジするようになったんだ。すごく良いことだと思う。このアルバムだって、昔の僕らだったらつくるのを躊躇するような内容だし(笑)。今のニンジャは、そういう意味でオープンなレーベルになっているから、いろんなことをやりやすいね」
——今作をライヴでパフォーマンスするとしたら、どんなステージになるのでしょうか?
「ヴォーカリストを入れたライヴになるよ。バックには映像を流す予定。とはいえ、映像でステージに立つヴォーカリストを邪魔するようなことはしないから安心して(笑)。ライヴで歌っている人に、お客さんが集中できるようなセッティングにするよ。日本行きはまだはっきりしていないけど、そのときはヴォーカリストを連れて行くだろうね。そうなったら、2タイプのステージをやると思う。一つはヴォーカリスト抜きの、ダンス・フロア向けにリミックスした曲を披露するクラブ・バージョン。もうひとつはフルのライヴ・ショーだ。お楽しみに!」
interview & text SOICHIRO NAITO
translation KEIKO YUYAMA
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HEXSTATIC
When Robots Go Bad
(JPN) BEAT / NINJA TUNE / BRC-179

