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HOPEWELL インタビュー143号

 ホープウェルは、ニューヨークを拠点に活動する五人組のサイケデリック・ロック・バンドだ。2001年にリリースされたセカンド・アルバム、『ザ・カーブド・グラス』が、英NME誌や米CMJ誌で高評価を獲得、一躍知られる存在となっている。フロントマンを務めるジェイソン・ルッソは、USオルタナティヴ・ロックの雄、マーキュリー・レヴのツアー・ベーシストとして活動していたというから、その実力はお墨つきだ。
 そんな彼らが、『ザ・カーブド・グラス』に続く3作目、『ザ・バーズ・オブ・アペタイト』で、日本デビューする。ミドル・テンポでケイオティックな轟音が絡み合うそのサウンドは、幻想的かつサイケデリック。フィールド・レコーディングで獲得した細やかな音の粒を伴って、よりいっそう妖しく響いている。プロデュースを手掛けているのは、ザ・フレーミング・リップスやマーキュリー・レヴの名作を生み出した巨匠、デイヴ・フリッドマンだ。
近年は、アメリカNo.1の音楽市、など著名フェスに出演、さらに注目を集めているホープウェルのジェイソン・ルッソに話を聞いた。


―まず気になったことを聞かせてください。あなたは19歳のとき既に、マーキュリー・レヴのツアーに参加していたそうですね。なぜ19歳という若さで、そのような貴重な経験ができたのでしょうか?
「マーキュリー・レヴは僕が10代後半だった頃に、ニューヨーク中心部から、ニューヨーク北部にあるホープウェル・ジャンクションへ引っ越してきたんだ。当時、その町に音楽好きが集まるバーは一軒しかなかったから、僕らは即座に知り合いになった。そのバーで彼らに、“君は大学へ進学するの?”と聞かれたのを今でも鮮明に覚えているよ。僕は“マーキュリー・レヴの今後のプランによって(僕が新ベーシストとしてツアーに参加できなければ)考えるつもり”って答えて、さりげなくアピールしたんだ(笑)。ちょうどその時、彼らのベーシストだったデイヴ・フリッドマンは、子供が生まれたことをきっかけにマーキュリー・レヴを脱退していたんだ。おかげで僕は、彼の後釜としてツアー・ベーシストになれた。ラッキーだったね(笑)」
―強運の持ち主ですね(笑)。その経験から得たものは、『ザ・バーズ・オブ・アペタイト』に表現されていますか?
「マーキュリー・レヴのツアー・メンバーとして7年間活動したけど、良いことも悪いことも学んだよ。ロック・バンドで活動していると、ロックンロールなライフ・スタイルになるから、聖人になれないことも多々あってね...(苦笑)。本作では、そういった派手な生活でダメにならないよう渡り合いながら生きていく、僕らの姿を描いているんだ」
―なるほど(笑)。このアルバムでは、ダークなムードを持った、ドラマティックなメロディーが印象的ですね。
「このアルバムの制作期間は、ホープウェルにとって暗い時代だったからね。僕らは解散の危機に瀕していたんだ。でも、最終的にはそんな悪いエネルギーを良いものに変えることができたし、バンドもこれまで以上に強固になった。そういった一連の出来事が、アルバムのドラマティックなムードにつながっているんじゃないかな」
― それは聞き捨てならないですね。いったい何があったのですか?
「前作『ザ・カーブド・グラス』がイギリスでヒットしたこともあって、メンバーそれぞれの考え方やライフ・スタイルがバラバラになってしまったんだ。メディアからもてはやされてエゴが強くなるヤツや、音楽よりパーティに夢中になるヤツが出てきてね...。結束力を固めてアルバムを仕上げるのに努力を要したよ。新作をつくる上でのプレッシャーも感じていた」
―大変だったんですね。今作には、そこから得た想いが込められているのでしょうか?
「そうだね。人間は、日々の生活でダークな面に向き合うことがあるだろ? 悲しい気分に陥ったり、ガッカリしたり、環境によってダメになったり、誰かを愛せなくなったり、人づき合いから遠ざかってしまったり...。それでも、“逃げずに頑張れば、辛いことも乗り越えられる”ということをリスナーに伝えたかったんだ。僕らだって、このアルバムを制作することで、バラバラに解体しそうだったバンドが、困難を乗り越えて強固になったわけだから」
―サウンド面では、サイケデリックでノイジーな轟音が強調されていますよね。このようなサウンドにたどり着いた経緯を教えてください。
「僕らはレコーディングする時、“車が崖から落ちていくようなサウンドにしてみよう”とか、“動物園にいるゴリラが怒って檻を壊し、街へと逃走する姿を描こう”って感じに、映像的な光景を互いに伝えながら楽曲を形どっていくんだ。そんな激しいイメージが、サウンドで表現されているんだよ。あと、メンバー全員がニューヨーク出身ということも大きいね。ニューヨークはアイルランド、イタリア、南米からの移民が多いこともあり、騒々しくてドラマティックな街なんだ。交通渋滞で怒鳴りあってるヤツもいるし、自分の所持品はスられないように注意してなきゃいけない。いろいろと大変な感じなんだ(笑)」
―サイケデリックな雰囲気は、どのようにして生み出しているのですか?
「本作ではフィールド・レコーディングを積極的に取り入れているんだ。車の音や、ニューヨーク州北部の森林に生息する鳥たちの声を、録音して使っているよ」
―プロデュースはデイヴ・フリッドマンですが、彼のアイディアや力も投入されているのでしょうか?
「もちろんだよ。フィールド・レコーディングも彼のアイディアだ。あらゆる場所で録音したものが、デイヴの手にかかると、あたかも全て1ヶ所で録ったように、一貫した音に仕上がるから不思議だったね。1曲に20ヴォーカル分の多重録音をしたり、3つのドラムキットを駆使したり、他にも彼のアイディアは採用されているよ。デイヴは天才プロデューサーだ」
―なぜ彼がプロデュースを手掛けることになったのでしょうか?
「マーキュリー・レヴのメンバーからデイヴの住所をもらって、この新作のデモを送ったんだ。彼はそれを非常に気に入ってくれて、破格の値段でプロデュースを引き受けてくれたのさ」
―あなた達のサウンドには最適の人選でしたね! 最後に今後の予定を聞かせてください。
「ここ数年のツアーの合間にレコーディングした楽曲をまとめて、『ザ・バーズ・オブ・アペタイト』のエピローグとしてEPで発売するんだ。年末には日本でも発売されると思う。実は新しいアルバムも、すでにレコーディングが終了しているんだ。これからマスタリングに入るところ。2007年の春には発売できると思う。今から楽しみだね!」


interview & text TAKAHIRO KAWAMURA
translation KEIKO YUYAMA


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HOPE WELL
The Birds Of Appetite

(JPN) STAR MOLE / STMR1