JACKSOUL
JACKSOUL インタビュー153号
ソウルの真実を歌う男
ヴォーカリストのヘイデン・ニール率いる、カナダのトップ・ソウル・バンド、ジャックソウル。'96年のデビュー以来、カナダのグラミー賞にあたるジュノ・アワードに何度もノミネートされてきた実力派だ。ジェイムス・ブラウン最後のカナダ・ツアーをサポートしたという経歴の持ち主でもある。 ここに御紹介する『My Soul』は、そんな彼らの4枚目となるアルバム。'07年のジュノ・アワードにて、ベストR&B / ソウル部門賞を勝ち取った話題作だ。今作にて彼らは、数々の名曲カバーを手がけている。カーティス・メイフィールド、エディ・フロイドらによるソウル・クラシックはもちろんのこと、レディオヘッド、デヴィッド・ボウイといった、ロックのヒット・ナンバーまでをも果敢にリメイクし、魂からの歌は何もソウル・アーティストのものだけではないと示しているのだ。 異色のカバー・アルバムを発表したヘイデン・ニールに、彼の考えるソウル・ミュージックについて聞いてみた。
——今作ではソウルからロックまで幅広いジャンルのカバー曲を手がけていますね。
「どの曲も、僕らが演奏することでジャックソウルの音楽になっているでしょ。余談になるけど、カナダにはロック、クラシック、ヒップホップ、カントリーなど、ジャンルに固執した専門のラジオ局はなく、言うならばヒット・ラジオと呼ぶべき総合局しかないんだ。ラジオ・ステーションからは、常にいろいろなジャンルの音楽が流れている。だから、自然にいろいろな音楽に触れるチャンスがあるのさ。事実僕らのバンドも、そういったことがきっかけとなって、ソウル以外の曲からも、オープンマインドに新しいアイデアを得ることができているよ」
——アルバム制作は、どのように進めたんですか?
「バンドのメンバー全員で好きな曲を持ち寄り、100曲のリストをつくることからスタートしたんだ。その100曲の中から、まずは40曲ほどレコーディングしたよ。それらの中から、僕らがカバーすることでオリジナルとは違った良さを上手く表現できたと感じられたものを、最終的に選んだのさ」
——原曲に忠実なものから、斬新なアレンジが施されているものまで、様々なカバーを今作では楽しむことができました。歌い直すうえで大切にしたのは、どんなことですか?
「歌の真実を自分なりに歌うこと。どの曲にもエモーションがあるからね。どんな国の、どんな言語で歌われている曲にも、曲にはそれぞれの感情があるものなんだ。そういった本質の部分を探り出したうえで、自分の気持ちを乗せて歌うよう心がけたよ。カーティス・メイフィールドやレディオヘッドを歌うのではなく、曲の真実をつかんで自分なりに歌ったんだ。曲の問いかけに耳を傾けた際、僕に真実を話しかけてくれた曲のみを歌ったよ。収録曲は、僕がオリジナルを書けていたらよかったのにと思うほど深く理解できた曲ばかりなんだ」
——曲の持っている本質やエモーションを、いろいろなジャンルの音楽に、同じように感じているんですね。
「ロックであろうが、カントリーであろうが、カーティスやレディオヘッド、アシュリー・シンプソン、スマッシング・パンプキンズであろうが、どの収録曲も僕にとってはソウルフルなもので、ジャンルによる違いは全く感じないね。ソウル・ミュージックだけでなく、ロック・チューンにもソウルフルな要素を感じとることはできるんだ。例えば「High & Dry」というレディオヘッドの歌を選んだのは、メロディーやメッセージに魅了されたと同時に、曲に漂う寂し気な雰囲気にソウルを感じたからだよ。レディオヘッドの曲には、他にも素晴らしい曲がたくさんある。そんな中でも「High & Dry」にはソウルフルなエモーションを特に感じるよ」
——カバーは、あなたにとってどんなチャレンジとなりましたか?
「カバーは決して難しいチャレンジではないんだ。そうだな...例えば僕の曲がラジオで流れ、それをリスナーが聴いたとしよう。そうすると曲は僕の手から離れ、リスナーのものになる。そこで、曲の中にある真実が、リスナーそれぞれの感情に変わる。曲や歌詞の印象は、このようにリスナーが自身の経験を重ねることによって完成されるものなんだ。リスナーが自分の経験を曲のストーリーに投影させることで、はじめて曲の魅力は開花するんだ。カバー曲をつくるうえでも同じことが言えるね。原曲者がどんな経験を元に曲を書いたのかを知らなくとも、曲や詞に自身の経験をシンクロさせられるものはあるから。そんな共感できるストーリーに、自分の経験を付け加える作業をしただけだよ」
——今作にはオリジナル曲の「oneSONG」も収録していますね。この曲では、どんなことを伝えたかったんですか?
「一曲くらい自分達の曲をいれて、ジャックソウルがどんなバンドなのかを明確に表現してみようと思ったんだ。「oneSONG」では、未来が子供達にとって素晴らしい世の中になっていますようにという想いを込めて歌ったよ。他の収録曲がクラシックとして知られているように、僕らの歌もいつか名曲と呼ばれるようになって欲しいという希望も込めているね」
——今作を聴いていると、あなたがジャンル分け隔てなく音楽を楽しんできた様子が伝わってきます。そんなあなたからリスナーへメッセージをお願いします。
「いつも同じタイプの音楽ばかり聴いているのは、あまりカッコイイことではないよ。自分のお気に入りを見つけることは大事だけどね。オープンマインドに音楽を愛し続けて欲しいな」
——様々な音楽を楽しんできた中でも、特にソウル・ミュージックへの想いは特別なものと思います。あなたにとってのソウルとは何でしょうか?
「身近な日常を素材にして歌うソウルは、僕にとって一番のコミュニケーション・ツールだよ。ポジティブなことを歌ったり、セクシーなことを歌ったりといろいろだけど、根本に温かなメッセージが込められているのがソウルだと思っている。日々の生活を送るうえで、友達と喧嘩したり、仕事で失敗したりと、問題を抱えることも時としてあるだろう。そんな問題を解決する糸口になるような、人々を助けてあげられるような歌が、真のソウルなんじゃないかと僕は思っている。僕はそんな歌を歌い続けたいな」
interview & text SOICHIRO NAITO
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JACKSOUL/My Soul
(JPN) VAA URBAN / VAUR-0002

