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JAMIROQUAI インタビュー126号



―最新アルバム『DYNAMITE』からは、2001年の前作『A FUNK ODYSSEY』と違う印象を受けます。よりハードで、新しいサウンドですね。
「今回はロブ(ロブ・ハリス。前作『A FUNK ODYSSEY』からジャミロクワイのギタリストとして加わった)のギターで曲づくりを主に進めたんだ。俺たちも何か違ったことをやってみたかったし、今までやっていなかったという点からも自然な流れだったんじゃないかな」
―それはレコーディングにも影響しましたか?
「今回はよりソニックな鋭さをつけたかったから、従来のライブでレコーディングする手法をやめて、ほとんどの素材をプロトゥールスへ直接入れたんだ。プロトゥールスによってサウンドはより引き締まったね。コンピューター上の方が遊べるし、アレンジ作業もやりやすかったよ。今回一緒にプロデュースをしたマイク・スペンサーが、そういったエディットに関しては天才的でね。基本的に手を加える時は、彼に数時間任せて魔法を掛けてもらった。それをみんなで一緒に聴く。そういった作業が続いたよ。バンドとしては今まで“おー、ホルンね、いいじゃんホルンを加えよう”とか“アルト・フルートを入れてみようぜ”という進め方だったんだけど、今回は音を削り、小休止を持たせることを重視した。おかげで、より音の深みや層を出せたと思う。歌を前面に出し過ぎないようにも注意したよ。また、ほとんどの曲は真ん中にクライマックスを置いて、その後は徐々に終わりに向かう感じにした」
―アルバムはどこでレコーディングしたのですか? 以前は自宅スタジオで行われていたようですが。
「ほとんどの作業は自宅スタジオで行ったんだけど、もう2枚もあそこで書いてるし、同じ環境にずっといるのも退屈だから、今回は世界中で曲を書いた。イタリアやコスタリカで曲を書いたり、スコットランドにある小屋にも行ったよ。その小屋は何もないところのド真ん中にポツンとあって、電話も通じないから気が散らないんだ。あるのはキーボード、ギター、そして小さなドラム・マシーンのみ。たったそれだけの機材と声を使って良い音楽を生み出せれば、もう準備万端!って感じさ。心掛けたのはレコーディング作業に入る前に曲の構造をきっちり決めることだったね。あと、アメリカにも色々やりに行ったよ。ロスには1ヶ月滞在して、ストリング・アレンジをするベンジャミン・ライトや才能あるバッキング・シンガー達を雇った。それから、ニューヨークでも1か月かけて、レコーディングとミキシングをした」
―自宅スタジオではない他のスタジオで作業することで、時間的束縛はありませんでしたか?
「時間制限に関してはあまり関係なかったと思うけど、以前とは異なるメンバーで制作を進めていたんで、新しいフォーカスは必要だったと思う。マット(マット・ジョンソン。ジャミロクワイの新しいキーボード・プレイヤー)とはキーボードで何曲か一緒に書いたんだけど、奴はトビー(トビー・スミス。前作『A FUNK ODYSSEY』後、できたばかりの家族と時間を過ごすために脱退)と比べると、また違う男だった。10年間も一緒に仕事をした者と別れ、全く新しい人間と仕事をしたから、異なったパラメーターが設定されたね。 」
―今作はキーボード兼共作者、トビーがいないところで制作した初めてのアルバムになりますが、気が遠くなるような感覚でした? このアルバムで多くのことを証明しなきゃいけないと感じましたか?
「うーん、そうだな。トビーがいないことでは別に悩まないし、ウマが合えば誰とだって仕事はできる。求めているもの、目指しているものを理解してくれる人であればね。初めはヤツがいなくなって苦労したよ。ヤツがいないことによって、またスタート地点に戻っちゃったと感じた時もあった。でも、特に気が遠くなる感じではなかったよ。慣れ親しんだものが無くなった感じかな。“お前がいてもいなくても物事はまわっているし、前にも進めているんだ”と言いたかったし、最終的にはそれが出来た。なんとなく喜びを感じたよ」
―ファースト・シングル「Feels Just like It Should」は、新しいサウンドの典型になると思うのですが、何について歌っているのですか?
「自分の自由を捜し求めている若い男のことなんだ。外に出て広い世界を見たいと思ういたずらなティーンエイジャーのように、彼は輝かしい世界を探究したいと思い、冒険の旅に出る。ビデオを見るとわかりやすいと思うけど、マジメ君から突然クールな奴に変身する大冒険なんだ。で、自分よりも経験がある女をモノにするんだけど、もちろんヤツはちょっとビビっている。“こういうものなのか? 何をやってるのかわからないけど、こういうものなのか?”って考えるわけ。で、彼女の方は“心配しないで、想像通りのものだから”って言うんだ」
―ハード・エッジで極太なベース・ラインが印象的ですね。
「実はあの音はベースじゃないんだ。俺の声なんだ。前のアルバム制作中、終盤によく遊んでいたヘリコンっていう小さなボイス・シンセみたいな物があってね。いじると声がバリー・ホワイトになったり、三声ハーモニーになったりする。それで遊んでいる時、ビートボックスみたいなことをやって素材を取っておいたんだ。ビートを被せたらカッコイイだろうなって思った箇所があったから、今回それを取り出して切り抜いてみた。それにデレック(デレック・マッケンジー。ドラマー)がビートを上から叩いてくれたんだけど、そのうちすごいヘビーなものが見えてきてね。最初はいつも通りに歌ってみたんだけど、なんだかピンと来なかったから、いつもと全く違う感じで歌ってみたんだ。ファルセットでカーティス・メイフィールド的なファンクを加えてみたんだよ。まるでワイルド・マグノリアスのようなフレイバーをね」
―ファースト・シングルとして注目を集めそうですね。
「そうだね。レコード会社は、いつもやってるようなものを欲しがってたんだけど、俺はそうしたくなくてね。ラジオにのったら、カッコイイし、他の曲と違って聞こえると思ったんだ。他に誰がヒューマン・ビート・ボックスをベースに使ってた? こんなの今までなかったし、コイツにはギターのヘヴィーな要素もある。ヒップホップ・フィールでかなりダーティーなところもある。そう、ちょっとだけ変化球なんだよ」
―ビデオも凄いですね! 誰が監督したんですか?
「今まで死ぬほどカッコイイものをつくってきたジョセフ・カーン。一番最近で話題になったのは、たしかブリトニー・スピアーズの「Toxic」だな」
―あなたは常に驚くようなビデオを届けてくれることで有名ですが、監督選びは大変ですか?
「そうだね。監督はいつも膨大なリストの中からチョイスするんだ。レコード会社はオンエアを意識して特定の監督を使いたがるんだけど、俺はそうじゃない。ただ納得できて、俺に合ったビデオが欲しいだけ。俺たちはオーディオ・ビジュアルなバンドだしね。ビデオの良い評判があって、その上過去にMTVアワードを5回も受賞していたら、それを裏切らないものをつくらないといけない。その点で、ジョセフ・カーンは最高だったな。仕事もしやすかった。“ジャミロクワイのビデオだったら喜んでやるよ。早速そっちに飛ぶよ”って、すぐに駆け付けてくれたんだ。それから家の居間で“これが起きて、あれが起きて、そしてそこに俺が飛んできて......”って一緒に飛び回りながら案を出し合った(笑)。その後、俺がロスに飛んで撮影したんだ」
―では、ビデオのコンセプトはあなたのアイデアだったのですか?
「そう。一人四役をやってみたかったんだ。共演する“ソレイユ”という女の子と同じドレスを着る場面では、胸毛を剃らなきゃいけなくてね。“足も剃る?”って言われたんだけど、“いや、それはないでしょ。ちょっとレンズ見させて。どれくらい写るの、写らないでしょ!?”とかやり取りしたよ」
―なんだか楽しそうですね(笑)。
「すごく楽しかった。ロスにある12年くらい使っていない『NYPD Blue(アメリカの刑事ドラマ)』のセットを借りたんだよ」
―撮影中かなり危険だったのでは? と思う箇所が多々ありました。スタントは自分でやったんですか? 「そうだね。スタントは沢山あった。俺が車の後ろをつかんで道路を滑るシーンは、セットを離れてダウンタウンへ行って撮影したんだ。あれは時速25マイル(約20キロ)で走っていて、そんなに速いスピードじゃないと思うかもしれないけど、キャデラックの後ろにつかまっていると、速く感じるんだよ。溝やデコボコがあったらもう終わり。“ヘルメット被るか?”って聞かれたけど、ヘルメットなんか被ったら絵にならないだろ? “じゃあ安全ベルト付けるか?”って聞かれたけど、“俺が転んだときに引っ張りあげるためだったら、いらない”って断ったんだ。“スタントのスピード感を味わうために、ここまで飛行機に乗って来たんだ”と自分を説得してね。俺はスピード感を味わうことが大好きだし、普通スタントマンにお願いするような危険なスタントを体験するのも好きなんだ」
―タイトル曲「Dynamite」にはグレートなディスコ・グルーヴと気持ち良い陽気なヴァイヴがありますね。

「ロスから多大な影響を受けたんだ。可愛い子がサングラス掛けて、目立つ車を乗り回して、髪の毛が風になびく...。いつもと違う環境が良い刺激になったね。曲のイメージは、グルーヴ感とクラブでかかるような飛び跳ねたベース感があるもので、ニューヨークのクラブに何軒か行って、こっそりDJに渡してテストしてもらったら、反応は凄く良かったよ」
―「Black Devil Car」は、あなたの所有する一億円フェラーリ、エンゾにインスパイヤーされたとか?
「そうだね。驚くかもしれないけど、数え切れないほどの女の子が“あれを運転させてもらったら、もう返さないかも”と言ったよ。ほとんどの女の子は車なんかに興味ないけど、あれだけは別なようだね。セックスと車の歌詞だったろ? 車とセックス、二つは親密な関係にあるんだ、ジャガー E・タイプが流行った頃からね。セクシーな車はセクシーな女を引き寄せる。昔からその二つは相性がいいんだ。それと“彼女は俺の黒いデヴィル・カーを運転するのが好きなのさ”というコンセプトがなんとなく可愛いと思ってね。黒皮的キャット・ウーマンが男の車をすごいスピードで乗り回してて、男は家でご飯をつくって彼女の帰りを待つ、というのがね。“今日はいい一日だった? 犬に餌食べさせたよ。車の調子はどう?”みたいなね」
―「Black Devil Car」や「Dynamite」の収録は、アルバムにポジティブ感を持たせていますね。でも同時に、今作にはダークな面もあります。乱れた世の中について歌っている「Give Hate A Chance」とか。
「......今世の中でどれだけの闘争が起きてるかわからないけど...。85件~90件くらいの、なんらかの闘争があるように思う。それらのほとんどが宗教関連だし、平和にチャンスを与えることは不可能に思える。 みんなタイトルを聞いてショックを受けて、“Give Hate A Chance(憎しみへチャンスを)ってどういうこと? 間違ったメッセージを広めてしまうかもしれないよ”って言うんだけど、間違ったメッセージって言われてもね。 毎日、毎週、毎年、この世が出来てからみんながしてきたことじゃないか。“平和へチャンスを与えられないんだったら、憎しみへ与えたら? 今までもそうしてきたんだから”ということさ。“俺は世の人々に疲れた”という曲なんだよ。軽くてフワフワしているように聞こえるけど、内容は結構ダーク。書いている通りのもので、そこから「World That He Wants」へと進むんだ」
―それはアルバムの中で最も政治的な曲ですよね?
「この曲は独裁者に向けられている。現在の状況で、それはジョージ・ブッシュ。奴は戦争で金儲けをしている。奴は兵器メーカーの株式を所有していて、あそこ(イラク)に駐留している限り兵器を使うためのオイルも確保できる。当たり前だけど、闘争が続けば続くほど、より多くの人員が現地に行く。人員には何が必要か? 人員の運搬機だよ。それで、奴は制限された空路を確保したがってるんだ。パキスタン、アフガニスタン、イラク...そのうちイランとも交渉し始めるだろう。みんながみんなアメリカみたいに暮らしたいなんて思ってないということに奴は気が付かないといけない。政府全体が危険な状態にある、それについて書きたかったんだ」
―このアルバムには二面性がありますね。
「うん、時々自分のなかに二人、全く別の人間が存在しているのではないかと思う時がある。片方は気難しくて静か、もう片方はただ笑って楽しみたいだけ。それは音楽にも現れる」
―このアルバムでツアーに出ると思うんですが、どこを訪れるのが楽しみですか?
「実はロシアに行くのが楽しみなんだ。まだ演奏したことがないから。それと、ブラジル、チリ、アルゼンチンとか南米に行くのも楽しみだね。素晴らしい街だし、女性も最高だ。新しい曲とともに旅に出るツアー全てが楽しみだよ! 有名曲だからといって、それらをずっと演奏していたら飽きてしまうじゃない。だから、新しいレパートリーから選んでセットをつくるのは楽しいんだ。前回のツアーでは、あまりにも長くやっていた「Virtual Insanity」をもうやらなかったん。でも、そろそろまたやっても良い時期だと思う。みんなが知っている曲を、もう一度思い出させるというのもクールだよね」
―これから先の未来はどうなりそうですか?
「わからないな...。俺はいつも一歩づつ進んでいるんだ。なんとなく反対してるんだけど、いつかは必然的にベスト盤も出すだろう。もう機は熟しているかもしれない。アメリカ人は「Virtual Insanity」と「Cosmic Girl」しか聴いていなかったりするからね。この前17歳の子に出逢ったんだけど、俺たちがファーストをリリースした時、彼は5歳だったんだ。そう考えるとサード・アルバムでジャミロクワイを好きになってくれた人も沢山いるということになる。だから、良い曲をまとめてベスト盤として出すのも良いかもしれない。でも、単に二度同じものを与えているとは思われたくないんだ。まあ、 音楽ができる間はずっとやるよ。楽しいと思える間は続けていきたい。今は本当に楽しんでるからね」


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Dynamite

(JPN) エピックソニー / EICP450

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