JAPANESE SYNCHRO SYSTEM
JAPANESE SYNCHRO SYSTEM インタビュー143号
JAPANESE SYNCHRO SYSTEMとは、CALMことFARRとTHA BLUE HERBのMC、ILL-BOSSTINOによる新たなプロジェクト。彼らが考える“最高のダンス・ミュージック”を示すべく、立ち上げられたシステムだ。二人の持つ、“いい音楽をつくりたいという純粋な想い”と“音楽に対する情熱”によって、“音楽に対する高い理想を達成する”という目的を持っている。
この二人の出会いは'99年、福岡のライブ会場でだったという。その後、コンピレーションCD『響現』の収録曲「Creator's Delight」で、はじめて共同作業に至っている。
そんな彼らが、ファースト・アルバム『The Elaboration』をリリースする。自然な話から4日間でできた骨組みを、1年間かけてゆるやかに磨きつづけた結果、完成した作品だ。ここにはハウス、テクノ、ファンク、アンビエント...様々なタイプの楽曲が収録されているが、そんな音楽を区別する既存の記号は、彼らにとって意味をなさないだろう。
二人にとって新たな門出となるこのアルバムについて、話を聞いてみた。
-まずは、このユニットがどのようにして始まったのかを教えてください。
CALM(以下・C)「二人で、“なにか一緒にやるのもいいね”という話は前からしていたんだけど、何回か出てはなくなってという具合で。で、去年ぐらいに“こういう機会じゃないと実現しないから、そろそろやっておこうか?”と、ボス君(ILL-BOSSTINO)から言われて。でも急にやり始めた、という感じではなかったね。その頃には、“そろそろ機が熟した”と感じていたかな」
-このユニットは最初から、アルバムまでつくろうという構想でした?
C「最初はそこまでがっちりとは考えてなかったけど、“つくるならアルバム”とは思っていたね。1曲とかじゃなくて、できるだけまとめてつくろうかなと」
-“二人でなにかをやろう”と決めた時に、どういう作品になるか想像できていましたか?
ILL-BOSSTINO(以下・I)「どういう作品ができるかは、全くわからなかったね。ユニットの話をしていた時期は、オレがHERBEST MOON、CALMさんはK.F.をやっていて、二人ともダンス・ミュージックをつくっていたから、自然に“ダンス・ミュージックの作品になるだろうな”ぐらいのことは思ってたけど」
-二人で作品をつくることに対して、不安はありましたか?
I「いや、不安は一切なくて。絶対にすごいものができると感じていた」
-アルバム、シングル合わせて全12曲の骨組みを、4日間でつくったそうですね。
C「そう。その時は、“オレたちは天才だな”と思ったね(笑)。“1 + 1が10になる瞬間”、それはこういうことを言うんだなって」
-1 + 1が"2"ではなく、この二人でやったことによって、"10"に感じたと。
C「"2"だったら当たり前だからね」
I「以前にオレとCALMさんがやった共作曲は、限りなく"2"に近かったと思う。1曲だと広がりに限界があるし、どうしても“コラボレーション”で終わってしまう。でも、アルバムまでいくと、ぶつかり合いながらお互いの底力が出てくる。骨組みをつくった時は、初期衝動だけでやっていたね。1日3曲づつ、4日間で12曲。しかも、1曲に対して3時間ぐらいしかかけなかった」
C「“あれをやらなくてはならない”、という制約がないからさ。もう、出てくるモノそのままをつくっていく感じだったしね」
-なるほど。制作の出だしは好調だったんですね。それ以降はどうでした? 最終的に制作には1年間かけたわけで、かなりつくり込まれた印象を強く受けたのですが。
I「理想も高かったし、何から何まで異常なほどにこだわったからね。実際、そこからが長かった。全てのことに対して、意見を出し合ったね。一度やってみて、ダメだったらやり直し。納得いくまで、それの繰り返しだった。あとは、単純に距離の問題もあった。オレが東京に行くか、CALMさんが札幌に来た時にしか、音を聴きながら一緒に作業はできないからね」
C「時間がかかったのは、間を空けることも必要だったから。一つのアレンジを終えたら、一回クールダウンさせて聴き直してみる時間も必要だと思ったからね」
I「今回は“作品が完成したから終わり”というよりも、“修正するものがなくなったから終わり”という感じだったね。もちろん今聴いても、直したいところは全くない」
-今回のアルバムにおいて、目指したものは何ですか?
I「純粋に本気で、“昔のすごい曲の数々に並びたい”と思ったね。オレたちみたいなヤツが、こだわらないで手クセとかでつくったって、その地点には絶対に到達できないとも思った。今までにダンスフロアで得たあらゆるアイディアを、すべてこのプロジェクトで実現したいと考えたよ」
C「“昔のすごい曲”という競争相手みたいなものが周りに見えてるから、“他の人が聴いて、どっちが良いか”は関係ない。でも自分の中で、“そこに並ぶか、越えるものをつくらないと”という想いはあったね」
-“ダンス・ミュージック”というものに、すごくこだわっているように感じたのですが。
I「一口に“ダンス・ミュージック”といっても...アンビエントでさえも、ダンスフロアではかかるからね。“ダンス・ミュージック”は、“ダンスフロアでかかる音楽”、もしくは“ダンスフロアを基本に据えた音楽”ともいえるのかな。ラジオやライブハウスではなく、DJがいてその人がかけるもの。このアルバムは、“ダンス・ミュージックはこうあるべき”なんてことは考えずにつくった。“オレはダンスフロアに遊びに行っているから、ただそこで聴きたい”というだけ。オレの家にあるレコード棚にはテクノ、ハウス、ソウル、ファンクとか....いろんなものがあるけど、それらと並べても、遜色がないものをつくりたいと思ったんだ。最初の4日間で様々な曲が出来たのは、お互いの引き出しが多かったからだよ。作為的に、無理矢理つくったわけではないね。“どういう音楽をつくろうか?”という話は、本当にしなかった」
-二人による単なる“コラボレーション”ではなく、二つのアーティストが融合した“新たなるユニット”が生んだ作品なんですね。
I「“エラボレーション”(=労作、力作)だったからね。だから、今作のタイトルも“コラボレーション”ではなく、"The Elaboratiion"なんだ」
interview & text YOSHIAKI IKEDA
photo SUSIE
HMVで購入↓
JAPANESE SYNCHRO SYSTEM
The Elaboration
(JPN) LIFE LINE / LLCD-1016

