JIMMY EDGAR

iLOUD > JIMMY EDGAR > JIMMY EDGAR インタビュー135号

JIMMY EDGAR インタビュー135号

 はてなブックマークに登録

 デトロイト出身、弱冠21歳のジミー・エドガーは、ロック・フィールドに押されがちな昨今のダンス・ミュージック・シーン期待のホープ。これからのデトロイト・エレクトロニック・シーンにおけるニュー・リーダーとして、ホアン・アトキンス、カール・クレイグ、デリック・メイ、ドップラーエフェクト、ドレクシアといったビッグ・ネームと比較される存在だ。実際に彼らのうち数名とは、歴史的なウェアハウス・レイヴでの共演も果たしている。クリストゥート・サル&モリス・ナイチンゲール名義では、MERCKからアルバムも発表しているので、その音を知っている人もいるかもしれない。
 そんな彼が、ジミー・エドガー名義としては初のフル・アルバム『Color Strip』を、2枚のEPに引き続きWARPからリリースすることとなった。過去の作品では、エレクトロニカとヒップホップの要素を含んだ音から“ポスト・プレフューズ73”と評されていた彼だが、今作では自身のバックボーンであるデトロイト・テイストを前面に押し出し、オリジナリティー溢れるエレクトロイド・ミュージックを展開している。
 フォトグラファーやグラフィック・デザイナーとしても活躍する多才なジミーを、LOUDは電話でキャッチ! 話を聞いてみた。ルックスと楽曲から受けるシャープな印象とは裏腹に、インタビューでの彼は非常にユルやかな好青年だった。


―まだ21歳ですが、何歳で音楽に興味を持ちはじめたんですか!?
「6歳の時にジャズ・ドラムに惹かれたのが、音楽に興味を抱くようになった切っ掛けだね。ドラムの演奏から生まれるリズムやビートに夢中になり、後に音楽構成や技術にも開眼したんだ。ドラムはほとんど独学で習得したよ。子供の頃に最も情熱を傾けていたのは、実は音楽よりアートやファッションだったな。イラストや絵画、洋服づくり、写真、グラフィック・デザイン、映像制作まで、あらゆることに夢中になったよ。デトロイトには質屋や中古品店が沢山あって、機材を安く手に入れることができたから、ファッションやデザインに対する興味が音楽制作へと発展したんだ。だからオレにとっての音楽制作は、洋服づくりやグラフィック・デザインのアプローチに似ている」
―影響を受けたアーティストはいますか?
「特に好きだったアーティストはいないけど、母親の影響でファンクやダンス・ミュージックはよく聴いていたね。ファッションやデザインは美術系学校でも勉強したけど、学費を払っているのに、クラスで教えてくれるスピードが遅かったから、結局退学したんだ。時間を有効に使って、音楽制作にも取り組みたかったからね」
―ホアン・アトキンスやカール・クレイグ、デリック・メイとの共演経験もあるそうですが、一体いくつの時だったんですか? かなり若い頃の話だと思うんですが、いくらデトロイトとはいえ珍しいケースですよね?
「15、6歳の頃の話だけど、確かに珍しいケースだったと思う。地元のDJだから、当時は彼らがそんなに有名だなんて全く知らなかった(笑)。ツアーで他の国や都市を訪れるようになって、初めて彼らの認知度や、多くの音楽ファンに尊敬されているという事実を知ったんだ」
―彼らとの共演で、思い出深いことはありますか?
「ぶっトび過ぎのホアンが、突然ターンテーブル上で気を失ったのを覚えているよ。まぁ、デトロイトらしい話だよね(笑)」
―テクノ、ヒップホップ、ジャズと、デトロイトは音楽が盛んな街でもあると思うのですが、あなたから見たデトロイトの印象は?
「実は他の街を旅するようになるまで、生まれ育ったデトロイトが他の都市とは違うことに全く気づかなかったんだ。デトロイトは貧しさにあえぐ寂れた街で、人々は悲観的。“I vacationed in Detoroit!(デトロイトで休暇を過ごしました!)”なんて笑えるTシャツを売っているくらい、誰も住みたがらない所なんだよ(苦笑)。まぁ、オレはデトロイトで生まれ育ったからそこまでヒドいとは思わないけど、確かに暗い雰囲気が漂う街だね」
―アルバムの話に入りますが、クリストゥート・サル&モリス・ナイチンゲール名義での『My Mines I』はマイアミのMERCKからのリリースでした。今作『Color Strip』はUKのWARPからとなっています。WARPからリリースするに至った経緯について聞かせてください。
「WARPのスタッフが『My Mines I』を発売した1年後位に、アルバム収録曲を無作為に聴いて“この曲に似た方向性のものは他にもある?”と問い合わせてきたんだ。デモを送ったら気に入ってくれたみたいで、すぐに契約書が届いたよ。昔からWARP作品のファンだったから、彼らから連絡がきたことはエキサイティングで嬉しい出来事だったね! WARPの所属アーティストの中では、偶然にも同じデトロイト出身のジャクソンなんかがいいね」
―WARPのイメージは?
「神秘的で面白いレーベルかな。新しいサウンドづくりを試みているけど、常に音楽に対するヴィジョンが明確な姿勢が好きだなぁ。レーベル内には様々な音楽スタイルのアーティストが所属しているしね。でも、WARPから発売されるからといって特に意識はせず、自分らしさを正直に打ち出した作品づくりを心がけたよ」
―今作の『Color Strip』というタイトルに込めた、特別な意味はありますか? それは、アルバムのコンセプトにも通じるものですか?
「このアルバムは非常にパーソナルでコンセプチュアルだから、もちろんタイトルはアルバム・コンセプトに深く関係している。でも、タイトルの意味やコンセプトはリスナーの想像に任せたいな。ひとりひとりが違う解釈でいいと思うから。今のところ耳にした解釈は全て興味深いものだったね!」
―エレクトロニカの要素を含んだヒップホップ的アプローチを見せた『My Mines I』に対して、今作『Color Strip』には、シンセの音色がデトロイト・テイストを感じさせるエレクトロが多いですね。これは、名義による音楽性の違いですか? それとも、何か大きな心境の変化があったのでしょうか?
「ジミー・エドガー名義で発表している作品は、僕にとって最も重要かつパーソナル。他にも20以上の別名義で活動しているけど、これは契約上の理由だね(笑)」
―ラップやヴォーカルもフィーチャ-していますが、、メッセージとサウンド、どちらを重視していますか?
「ヴォーカルを入れることによって、音楽内の空間デザインができるんだ。でも、メッセージも重要だった。大半はフリースタイルで音楽について歌っている。キマった状態で楽曲をつくっているから、その場の思いつきで出来上がったものが多いよ(笑)」
―アルバム終了5分後に隠しトラックがあったのですが、ディープな他の収録曲とは若干異なる、明るくポップな曲ですね。不思議な二面性を垣間見たのですが、この違いで何を表現したかったんですか? 「アレは昔からオレの頭の中で流れていた楽曲で、当初は発売する予定はなかったんだ。でも、制作終了寸前に、今回のアルバムには不可欠だと思い、隠しトラックとして収録することにしたんだ。たしかに明るさがあるね。常に神秘的な存在でいながら最後にちょこっとだけ顔を出す、そんなオレ自身の姿を投影させたのさ(笑)」
―楽曲制作を進めるうえでの大きなインスピレーション源は何ですか?
「デザイン、ファッション、写真、映画と、あらゆることからインスピレーションを得ている。特に好きなのはファッション・フォト。二日前もロレアル社の依頼で、ヘア・スタイルの写真撮影をしたばかりなんだ。アルバム制作中は、自宅で、しかも一人っきりで進めていたから、自分自身を探索したね。自分の世界をつくり上げることに専念しているから、音楽をつくる上で他のアーティストからは一切インスピレーションを受けないな。常に新しいことに挑戦したいしね。機材はガラクタ同然の楽器や、中古楽器店で購入したものを使用しているよ」
―フォトグラファーとしても活動しているんですね。
「うん。写真は8年程続けている。フォトグラファーの友人がいて、彼から影響を受けたことが大きいね。長いことフィルムのみを使用してきたけど、最近はデジタル・カメラでも撮影するようになった。写真から発展して、ファッションにも興味を持つようになったんだ」
―グラフィック・デザインもやるようですが、これまでにどのような作品を手掛けてきましたか?
「数年間グラフィック・デザイナーとして自動車業界やファッション関係のもの、それと編集を手掛けていたんだ。大企業との仕事はクリエイティヴ面での自由が許されなかったから、“早くイラストや映像グラフィックを含めた自分の作品を発表したい!”とずっと願っていたよ」
―音楽制作、写真、グラフィック・デザインは、いずれもア-ティスティックな作業ですが、共通するポリシーやキーワードはありますか?
「最小限の神秘性とセクシャルな音色かな。まるで蜘蛛の巣のように、音楽制作、グラフィック・デザイン、ファッション、写真、映像制作の全ては繋がっているんだ。写真と音楽は、グラフィック・デザインをはじめとした他の芸術形式よりテーマ性やシネマ性が強いと思う。空間作りや照明の当て方、それから色彩面でも、写真と音楽は共通しているね」
―他にも何か興味をもっている分野はありますか?
「今後はファッション・フォトから発展させた、テーマ性のある映画を制作してみたい」
―俳優としての映画出演なんてどうでしょう?
「それも将来的にはアリだね(笑)」
―今回のリリースで、ツアーは行うんですか?
「うん。まだ詳細は未決定だけど、早くツアーに出たいね」
―すでに来日経験もありますよね? 日本の印象はいかがでしたか?
「カルチャー・ショックだったよ(笑)。17か18歳の時、日本に初めて行って、東名阪の3都市でライヴを演ったんだけど、初めて行った外国が日本だったからね。オフを利用して車で富士山に行った時は、田舎の景色が楽しめて良かったなぁ。和食も大好きだから、ホントに楽しい滞在だった。また日本へ行きたいよー!」
―今後の予定と展望を聞かせてください。
「やっと新譜が出来上がったから、次はクチュール系の洋服デザインを発表する予定なんだ。現在'06年秋シーズンものをデザイン中だよ。それからDVD作品も制作したい!」

interview & text SOICHIRO NAITO
translation KEIKO YUYAMA


HMVで購入↓
JIMMY EDGAR
Color Strip

(JPN) BEAT / WARP / BRC-144

JIMMY EDGAR インタビュー135号

JIMMY EDGAR トピックス一覧