JOCELYN BROWN インタビュー146号
ジョセリン・ブラウンはダンス・ミュージック・ヒストリーにその名を刻む大御所ヴォーカリストだ。伝説のディスコ・バンド、インナー・ライフのリード・シンガーとして'79年にデビュー。ハウス・ミュージックのルーツに数えられるこのサルソウル・バンドでは、「Ain't No Mountain High Enough」など、多くのガラージ・クラシックを世に残している。やがてソロ活動を活発化させた彼女は、'84年に「Somebody Else's Guy」をリリース。この曲を、全米R&Bチャートの2位に送り込んでいる。'90年代に入ってからは、インコグニート「Always There」や、ニューヨリカン・ソウル「It's Alright, I Feel It」といったクラブ・ヒットで、その歌声を披露しているので、ハウス / クロスオーヴァー・ファンにもおなじみだろう。 そんな彼女が、このたび待望のニュー・アルバム『Circles』を完成させた。トラック・メイカーには、UKダンスホールの若き才能、カーティス・リンチ・ジュニアをはじめ、ドラムンベース界の奇才ロニ・サイズ、トップ・ハウス・プロデューサーのジョン・カトラーなどが名を連ねている。様々なトラックにのせて、ジョセリンがソウルフルに歌い上げる意欲作だ。 この新作について聞くべく、LOUDは電話インタビューを試みた。そこから伝わってくる彼女の人柄は、ヴォーカル同様、パワーみなぎる温かなものだった。
—長きに渡ってパワフルな音楽活動を続けていますね。そのための秘訣はありますか?
「秘訣なんてないわよー、ベイビー(笑)。アタシはただ、神様から恵んでいただいたこの歌声を、みんなに聴いてもらうために歌っているの」
—声量を維持するべく努力していることはありますか?
「漢方薬を飲み、神様にお祈りすることかしら!?」
—現在はイギリス在住なんですよね。渡英を決意したのは、どんな想いからなんでしょう?
「'89年にレコーディングで渡英した際に、2週間のUKツアーの話をもらったの。気づいたらアメリカへ帰国せずに、そのまま住み着いてたわ(笑)。今はウェンブリーの近くに住んでるんだけど、北ロンドンの美しい雰囲気がとっても好きなの」
—あなたは“ディーヴァ”と呼ばれるのが好きではないそうですね。
「その通りよ。ディーヴァっていうのは、すでにこの世を去ったアイコン的な女性歌手を指すの。アタシは、まだ生きてるわよ(笑)。ディーヴァを使っていいのは、私がこの仕事を始めるずっと前から頑張ってきた、音楽シーンのパイオニア的存在の女性歌手にだけ。そうね...すし職人の世界と同じよ。長い時間かけて、尊敬される域に到達するものなのよ。まぁ、アタシはシェフじゃないけど! ガハハハハー(爆笑)。アタシのことは、ただ“ジョセリン”って呼んでもらえればいいわ(笑)」
—では、あなたの思うディーヴァとは?
「アレサ・フランクリン、グラディス・ナイト、サラ・ヴォーン、エラ・フィッツジェラルド、ナンシー・ウィルソン、ナタリー・コール、マヘリア・ジャクソン...。彼女たちはディーヴァと呼ぶに値するわね」
—このたびリリースされる『Circles』は、あなた自身のオリジナル・アルバムとしては、'87年の『One From The Heart』以来、約20年ぶりの作品ですよね?
「違う、違う! 実は今年の5月に、自主インディー・レーベルDigiSoul からセカンド・アルバム『JOCELYN BROWN / UNRELEASED』を出したの。輸入盤ではまだ買えないから、アタシのMySpace.comをチェックしてね」
—そうだったんですか?! これは失礼しました。では、今作『Circles』は、どんな想いのもと制作を進めたんですか?
「アタシ一人のアルバムというより、カーティス(・リンチ・ジュニア)と一緒につくった作品という印象ね。カーティスが書いた曲で気に入ったものに、うちの次女と二人で歌詞をのせていったの。冗談を言い合いながら、楽しい雰囲気の中で制作を進めたわ。ちなみに、アタシたちが歌詞を書いたのは「Sing」、「What I Wouldn't Do」、「80's Party」、「Blessings」、それから... うーん... 忘れちゃった。ガハハハハー(爆笑)」
—豪快ですねー(笑)。制作はいつ頃行ったんですか?
「ロニ・サイズと組んだ曲は、数年前につくったものよ。カーリーン(・アンダーソン)と歌ったクリスマス・ソングも、昨年制作した曲ね。カーティスと作業した曲は、今年の夏にスタジオで制作したの」
—カーリーン・アンダーソンと共演した「Silent Night」は、今作の大きな目玉ですね。“USA、UKの女性ヴォーカリスト二大巨頭、 夢の共演が実現!”といった印象です。彼女とは普段から仲が良いんですか?
「カーリーンとは仲良しよー(笑)。彼女もロンドンに住んでいるから」
—トラック・メイカー達とは、どのように知り合ったんですか?
「カーティスは娘の友達でね。“つくった曲を聴いて欲しい”って娘から紹介されたの。彼はシンガーでもあるから、いいメロディーをつくるのよね。他のプロデューサーは、全員知り合いから紹介されたの。“一緒に曲を書かない?”って話を持ちかけられたので、うちの娘と二人で歌詞を書いたわ」
—アルバム・タイトルの『Circles』に込めた意味はありますか?
「“人生は年を重ねながら、円を描くように回り続ける”という意味を込めたの。歌詞の内容とは、あまり関係ないわね」 —歌詞の内容は、主にどんなテーマなんですか?
「恋愛、友情、家族、神様、そして音楽。そんな普遍的なテーマ。政治に関連した曲なんて、1曲もないからね」
—あなたのヒット曲には、パーティー・シーンから愛され、人気に火のついたものが多いと思います。今作も、パーティー・ピープルにアピールしたいですか?
「誰にアピールしたいかなんて、全く意識してないわ。誰であろうと、気に入った人に聴いてもらえれば嬉しいから」
—現在のパーティー・シーンについては、どう思いますか?
「基本的には、昔と変わらないと思うけど?!」
—ノスタルジーはないのかなと思いまして。「80's Party」という収録曲もありますし...。
「カーティスが制作の終盤に“'80年代っぽい曲も入れたら?”って提案してきたから、アタシがよく知ってるあの頃の雰囲気を持つ「80's Party」をつくっただけよ」
—なるほど。では、今後の予定を聞かせてください。
「4年前に立ち上げた私のインディー・レーベル、Digisoulで発表する楽曲を制作するつもり。早く日本ツアーもしたいわね。次回行く時は、アタシの家族をみんな連れて行くの(笑)。うちの二人の娘たちは背が低いから、日本でショッピングするのが大好きなのよ(笑)」
—ファンにメッセージをお願いします。
「みんなのことを愛してるわ。長年ずっとアタシを応援してくれてどうもありがとう。新作を楽しんでもらえると嬉しいわ。これからも応援よろしくねー!」
interview & text SOICHIRO NAITO
HMVで購入↓
JOCELYN BROWN
Circles
(JPN) PONY CANYON / PCCY-01818


