JULIUS PAPP
JULIUS PAPP インタビュー137号
サンフランシスコを拠点に、'80年代から音楽活動を続けているベテランDJ/プロデューサー、ジュリアス・パップ。ベイ・エリア、ウエスト・コーストのハウス・シーンを牽引してきた人物だ。MUSHROOM JAZZ、OM、LOVESLAPといった地元レーベルはもちろん、YELLOW、ESTEREO、NERVOUSなど世界各地のレーベルから作品をリリースしている。 そんな彼が、KING STREET SOUNDSの新ミックスCD・シリーズで『Abstract Latin Journey / Mixed by Julius Papp』を手掛けた。今作は、ロン・トレントによる『Abstract Afro Journey』、ライナー・トゥルービーによる『Abstract Jazz Journey』に続く作品で、テーマは“ラテン”。ジュリアスならではのスムースなミックスと、ホットなヴァイブが堪能できる。スティング「A Thousand Years」、808 STATE「Pacific State」のカヴァー・トラックも聴きどころの一つだ。 今作の内容について、またジュリアスのダンス・ミュージック観について、話を聞いた。
―サンフランシスコで過ごしているあなたにとって、ニューヨークに拠点のあるKING STREET SOUNDSレーベルの印象は、どのようなものですか?
「ご存知の通りKING STREETは10年以上も続いているレーベルだ。彼らの業績は素晴らしいよ! コンスタントに素晴らしいハウス・ミュージックをリリースしている。このレーベルからリリースするのは、僕のゴールの一つでもあったんだ。5枚の12インチ、そして新しいミックスCDを出したから、これでもう僕もKING STREETファミリーの一員だと言ってもいいよね?」
―その新しいミックスCDは、どういう経緯で手掛けることになったのでしょう?
「去年、レーベル・オーナーのHISAから“『Abstract Latin Journey』を作らないか”って話をもらったんだ。それで、一緒に収録曲のコンパイルをしたのさ。このCDはクラシックスと最近のクラブ・ヒットが両方聴ける、良い内容になった思う」
―いわゆるKING STREETレーベルのイメージだけでなく、あなたの個性も際立っている仕上がりだと感じました。選曲では、どのような点を意識しましたか?
「ラテン・パーカッションでも、ラテン風のヴォーカルでも、ラテンの雰囲気を大事にすることだね」
―ルイ・ヴェガ、フランキー・フェリシアノ、アナンダ・プロジェクトの楽曲を複数収録しているせいか、全体に統一感のある美しい流れができていると思いました。
「“統一感のある美しい仕上がり”という点は、僕も同感だ。それがゴールでもあった。それでいて、エネルギーが感じられて、リスニング時にも音楽的に楽しめるもの、そういう内容にしたかったんだ」
―ミックスで心がけたことはありますか?
「トラックどうしを上手くブレンドすることだね。トラックとトラックの間に少し隙間を残して、音楽が喧嘩しないようにした。もし音楽が重なる場合は、お互いを引き立てる重ね方にした。これは、キーが同じだとやりやすいんだ」
―あなたが制作したカヴァー・トラック、「A Thousand Years」と「Pacific State」は、今作品の中で特に印象的な曲だと思います。それぞれの曲をピックアップした理由や、プロタクションのポイントを教えてください。
「リメイクする場合は、オリジナルに忠実に、それでいてダンスフロアとリスニングの両方に対応できるようにモダンに仕上げる、ということを常に意識しているんだ。オリジナルをリスペクトして、オリジナル・アーティストにも気に入ってもらえるようなヴァージョンにすることが大事だと思う。「A Thousand Years」に関しては、美しい歌と歌詞だったから選んだんだ。ダンスフロア向けのヴァージョンをつくることができると思ったしね。ジーナ・レネに歌ったもらったけど、彼女の力は大きかったな。このプロジェクトの結果には満足しているよ。「Pacific State」は'90年代初期のクラシックで、僕のフェイヴァリットでもある。“初期シカゴ・ハウス・ミーツ・初期デトロイト・テクノ・プラス・イギリス風プロダクション”という感じが凄く好きだ。エッジがあって、しかもソウルフルだ」
―あなたは20年近いキャリアを持っていますが、そこで培われた“ダンス・ミュージック観”を教えてください。
「20年ダンス・ミュージックをやってきて感じているのは、いまだに大好きだってことだね! 最初は、ディスコからの影響が強かったな。ディスコを知った'70年代中期から後期にかけては、僕にとって大切な時期でもあった。もちろん常にオープン・マインドで、様々な音楽から影響は受けてきたよ。ロックンロール、ジャズ、R&Bなどからもね。でも、音楽的にハングリーでいて、自分のキャパシティを広げたいという気持ちのルーツには、常にディスコがあるんだ」
―ハウス・ミュージックについては、どのように考えていますか?
「今日のハウスは、ダイレクトにディスコの流れをくんでいるよね。最近聴くトラックの多くは、まるで'70年代サウンドのようだ。'80年代のニューウェイブ、初期シカゴ・ハウス、デトロイト・テクノでさえ、ルーツはディスコにあると思う。それと、ジョルジオ・モロダーやクラフトワークの音楽が、21世紀のダンス・ミュージックに影響を与えていると思う」 ―制作現場で感じていることはありますか?
「テクノロジーによって、ダンス・ミュージックは、これまでになく良いサウンドになってきたね。コンピュータのソフトを使って、フル・オーケストラでスタジオ録音したかのようなプロダクションまでできるんだから。サンプリングも、ものすごいクオリティに到達している。音楽をつくるプロデューサーと、ダンスしたいオーディエンスがいる限り、ダンス・ミュージックはこれからも進化し、ミュージック・カルチャーの重要な一部であり続けると思うよ」
―今後の予定や目標を教えてください。
「ハウス・ミュージック・シーンを、これからも盛り上げていくことが一番の目標だね。僕のプロダクションとDJで、サウンドを進化させることができたらいいな。ダンスフロアでは、お客さんを楽しませるのと同時に、その育成もできたらいいと思っているよ。それ以外では、自分のレパートリーをもっと増やしたい。特にダウンテンポのサウンドをレコーディングしたいと思っているんだ。チルアウトするのに最適なヤツをね!」
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VARIOUS ARTISTS
Abstract Latin Journey
Mixed by Julius Papp
(JPN) KING STREET SOUNDS / KCD-248

