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KARMA インタビュー143号

 ラース・ヴェガスとモージョー・トムから成るドイツ人デュオ、カーマ。'93年リリースのデビュー・シングル「High Priestess」が、ブラジリアン・クロスオーバー・ハウスの先駆けとなり、王道ガラージ・コンピ『Loft Classics』にも収録されるほどのヒットを記録。一躍注目されるようになっている。アルバムとしては、これまでに『Pad Sounds』('97年)と『Thrillseeekers』('99年)の2枚を発表。ハウス、ドラムンベース、フューチャー・ジャズ、アンビエントなど、様々なグルーヴを駆使して、ジャズ・クロスオーバー・シーンをリードしてきた。  ここに御紹介する『Latenight Daydreaming』は、約7年のインターバルをもってリリースされる、ファン待望のサード・アルバム。驚いたことに、今作ではゼロ7やマッシヴ・アタックにも通じる、アコースティック・テイストの穏やかなサウンドを展開している。  音楽的方向性を変え、新境地を開拓したカーマ。その真意に迫るべく、ラース・ヴェガスに電話インタビューを試みた。  


—ニュー・アルバムの完成、おめでとうございます。本当に久々のリリースですね。
「僕とトムには、この7年間に、プライベートでたくさんの変化があったんだ。僕は耳のダメージを受けて、DJを辞めた...。ここ数年でレコードのセールスが落ちて、たくさんのレーベルがなくなっていく中、自分のレーベル運営もやめざるを得なくなってしまった...」
—そんな大変な状況を乗り越えての制作となったわけですね。
「起きたのは、悲しい出来事ばかりじゃないけどね。僕に関して言えば、'01年に父親になったんだ」
—様々な想いが交差するなか、今作の制作意欲を掻き立てたものは何ですか?
「7年前までは、ジャズやブレイク・ビーツに影響された音をつくっていたけど、今言った個人的な変化もあって、僕らの目標は“クリスマス・ツリーの下で、母親と一緒に聴ける音づくり ”に変わったんだ。父親にならなかったら、こんなことも考えなかっただろうな。そんな考えから、今作ではジャンルレスな表現をしている。時代に関係なく愛される、ディープなポップ・ミュージックをつくるよう意識したよ。とはいえ、いまだ存在しないような新しい音楽をつくろうという精神も忘れてはいない。一つのスタイルに固執しないで音楽をつくり続けたいという想いも強いね」
—“ポップ・ミュージック”という言葉が出ましたが、それにはどんなイメージを持っていますか?
「ポップ・ミュージックには、まるで音楽を理解していない人のためにつくられているというような、悪いイメージがあるよね。でも、ザ・ビートルズも、ザ・ビーチ・ボーイズも、すごく進化したポップ・ミュージックをやっていたじゃないか。彼らの音楽は、現代のポップ・ミュージックとは全く違うように扱われていた。僕がポップ・ミュージックと言うときは、そういった素晴らしい時代のポップ・ミュージックを指しているんだ。現代の認識とは違うのさ。つまり、僕にとってのポップ・ミュージックは、決して悪いイメージではないんだ。 現在ポップミュージックを悪く言う人は、かつての素晴らしいポップ・ミュージックを知らないんだろうな。今は最悪の音楽が、最高の成功をおさめたりするだろ? まずは、そういった現状を変えたいね。ポップ・ミュージックという言葉を使う時、センシティブにならなくてもいいような、あの時代を取り戻したい。ポップ・ミュージックのイメージを改善させたいという想いが今作にはあるね」
—アルバム・タイトルの『Latenight Daydreaming』には、どんな意味があるんですか?
「眠りと目覚めのちょうど中間。インスパイアされる暖かくて心地いいもの。そんな意味だよ。タイトルには、“様々なシチュエーションで聴けるように”という願いが込められているんだ」
—これまでの作品はインスト中心でしたが、今作では大々的にヴォーカルをフィーチャーしていますね。 「“クリスマス・ツリーの下で、母親と一緒に聴ける音づくり ”というコンセプトにふさわしい、聴きやすい作品をつくろうとしたんだ。歌詞は、リスペクトしているシンガー達に全てゆだねたよ。プロデューサーとしては、彼らが枠にはまってしまうのを避けたかったからね」
—ヴォーカリストの選出は、どのようにして行ったのですか?
「ほとんど全員が友人だね。僕らがリスペクトしている人たちでもある。自由な発想を持っているヴォーカリストたちを今回は集めたんだ。シンガーには、僕らの曲を好きに解釈して歌ってもらいたかったからね」
—制作面での変化は何かありましたか?
「今回はライヴ感を持たせるようにしたんだ。その場でトムと話しながら演奏したりもしたよ。プログラミングよりも、そういったセッションの時間が多かったな」
—制作中に起きた、印象深い出来事について教えてください。
「今作は、家族同然の仲間たちと制作したんだけど、アズレムというヴォーカリストには、今回の制作を通して初めて会ったんだ。彼女はモデルのような美人でね。ドイツの映画にも出演しているんだ。で、これは彼女を迎えにいった初対面時の話なんだけど、すごく天気が良くて暑いぐらいの気候だったにも関わらず、彼女はすごく厚着をしていた。それで、初対面の挨拶をしているときにいきなり“暑い!”と言って車の中で着替え始めたんだ(笑)。大きな駅の前に止めた車の中で、突然服を脱ぎ始めたのさ。そうしたら、通行人が写真を撮り出してね。彼女は女優をしているくらいだから、人前での着替えには慣れていたのかもしれないけど、まだ出会って2分くらいしかたっていないときの出来事だっただけに笑えたよ。ヴォーカリストとしては素晴らしくプロだったけど、そのクレイジーさは忘れられないね(笑)」
—リスナーに期待することはありますか?
「曲を聴いて、数分間の愛や、スピリチュアルなものを感じてもらえたら嬉しいな。やさしい気持ちや、思いやりの心について、音楽を通してコミュニケーションを取りたい。ソフトなものをオープンに受け入れるのは大変なことかもしれないけど、現代に欠けている、そういった心を思い出して欲しいんだ。毎日の生活に新しいバランスを見い出して欲しいのさ。日本人は音楽に対してとても良い耳を持っていると思うから、そんな日本のみんなに、今作のユニークさを感じてもらえたら嬉しいね。世界で一番大きいセレクションを持っている、日本のみんなにこそ感じて欲しいんだ」


interview & text SOICHIRO NAITO
translation MIMI SHIMADA


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KARMA
Latenight Daydreaming

(JPN) VILLAGE AGAIN / VIA-0046

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