KENTARO TAKIZAWA
KENTARO TAKIZAWA インタビュー154号
次世代のハウス・シーンを担う、実力派クリエイター
日本のハウス・シーンで注目を集める若手DJ/クリエイター、KENTARO TAKIZAWA。19歳で本格的にDJ活動をスタートした彼だが、実は幼い頃からダンス・ミュージックに慣れ親しんできたという。'03年からは、福富幸宏のレジデント・パーティーにも参加。その後もメキメキと力を付け、シーンの有望株として評価されるほどになった。'07年1月に開催された、セカンド・アルバム『Gradual Life』のリリース・パーティーでは、club asiaの動員記録を更新している。 『Heart to Heart』は、そんなKENTARO TAKIZAWAの最新アルバム。トラックのみならず、メロディー、アレンジ全てを彼自身で手がけたという本作では、前回よりハウス色を強めた、よりフロアを意識したサウンドが表現されている。仲間と共につくり上げたという本作からは、彼の温かい人間性も感じることができるだろう。 ニュー・アルバムに込められた想いを探るべく、KENTARO TAKIZAWAに話を聞いた。
——瀧澤さんは、幼い頃からハウス・ミュージックに触れていたそうですね。ハウスを聴くようになったきっかけは、何だったのですか? 「小学校6年生の時に、ピチカート・ファイブ「東京は夜の七時」を聴いたことがきっかけでした。あの曲はハウスというジャンルにはくくられていませんが、自分としてはすごくハウス的なフィーリングを感じた曲だったんです」
——楽曲制作を始めた時期も早かったそうですが、最初はどんな方法で楽曲をつくっていたのですか?
「打ち込みでの楽曲制作を始めたのは、中学2年生の頃でした。音楽雑誌でシンセとシーケンサーがあれば曲をつくることができるっていうのを知り、まずはシーケンサーを買ったんです。シンセはお金がなくて買えなかったんですが、“シンセ欲しいな〜”って毎日思って歩いていたら、粗大ゴミで捨てられているのを見つけたんですよ(笑)」
——それは、ストリート感あふれるエピソードですね(笑)。このたび、三作目となるニュー・アルバム『Heart To Heart』がリリースされますが、今回はどんなテーマで制作をしましたか? 「前作の『Gradual Life』をすごく気に入っていたので、その延長のようなものをつくりたいと考えました。でも延長とはいえ、ただのマネでは意味がないじゃないですか。なので今回は、今までよりも参加アーティストと密にコミュニケーションを取って、自分の描くイメージを明確に伝えられるように意識したんです」 ——参加アーティストと意思疎通を図るために、どんなことを心がけましたか? 「プログラミングだけでなく、メロディー制作やアレンジを含め、全てをまずは自分一人で組み立てました。トラックだけつくってシンガーに投げて、メロディーも向こうにおまかせ...という形ではなく、自分のやりたいことを最初から形にして、参加アーティストに伝えたんです」 ——その結果、どんな手応えが得られましたか? 「向こうにも意図がちゃんと伝わったので、僕がイメージしたもの以上に素晴らしいものを返してもらえました。「Can't Stop」は特にそうでしたね。この曲では、歌い上げ系ハウスがやりたかったので、メロディーをシンセでつくりこんでいったんです。そうしたら、ボーカルのリサ・ショウに、“あなたのメロディーは、まだ歌えないかも”ってダメ出しされたんですよ(笑)。でも、そのおかげで自分の意図が伝わったので、結果的には最初に描いていた以上に良い曲に仕上がったんです。リサに限らず、今回はいろんな人と気持ちが通じ合ったことが実感できました」 ——そんな今作には、これまで以上に多くのアーティストが参加していますね。 「はい。arvin homa ayaちゃん、JABBERLOOP、raythoughtさん、Karinちゃんは、クラブでの遊び仲間です。Ryoheiさんとは、先日リリースされた彼のアルバム『Caravan』に参加したことがきっかけで、つながりができました」
——前作には、ハウスに限らずダブ、ブラジリアンなど様々な要素が含まれていましたが、今回は特にハウスにフォーカスした音づくになっていますね。
「前作には“Gradual(=ゆるやかな) Life”というコンセプトが第一にあったので、ハウスに限らず様々な曲があってもいいのかな? と考えていました。今回は、前作でできなかったこともやりたいと思ったので、自然とハウス的なアプローチが多くなったのかもしれません」
——でき上がった新曲を実験的にDJでプレイすることも多いそうですが、今作の曲はフロアで試してみましたか? 「もちろんです。でも正直な話、初めてプレイする時はどんな反応がくるか怖いんですよ(笑)。最近よくかけているのは、「Can't Stop」、「Your Song」、「Power Of Love」です。お客さんによって感じることは異なると思いますが、それぞれの曲で盛り上がるポイントがありましたね」
——オーディエンスからの反応で、印象深いエピソードはありましたか? 「「Power Of Love」は結構前に完成していたので、1月に『Gradual Life』のリリース・パーティーで、初お披露目をしたんです。ayaちゃんに参加してもらったライブでこの曲をプレイしたんですが、初めて聴く曲だったせいか、お客さんは少し戸惑っている様子だったんですよ。でも、その1時間後ぐらいに僕のDJで再びプレイしたら、フロアがドカンと盛り上がったんです。曲は自分が育てるだけじゃなく、お客さんからも育てられるんだなと実感した瞬間でしたね」
——「Relation」は、かなり斬新なヒップ・ハウス・ナンバーですね。トラックからは、「I Feel Love」を彷彿とさせる雰囲気も感じられました。 「この曲には、韓国のRomantic CouchというユニットからJadeさんにボーカル参加してもらったんですが、歌録りを何テイクも重ねていくうちに、“「I Feel Love」っぽくしたら面白いかも”とひらめいたんです(笑)」 ——そうだったんですか(笑)。ところで今作では、JABBERLOOP、Trans Of Lifeといったバンドともコラボレーションをしていますね。 「はい。「The Youth Theme」は、JABBERLOOPと自分の音楽が交差したらどんなものができるだろう? と、とことん考えて制作しました。作曲に重点を置きたかったので、まず始めに曲のテーマ・メロディーをつくって、それを彼らなりにアレンジしてもらったんです」
——では、Trans Of Lifeが参加した「Five Years Circle」は?
「Trans Of Lifeとは、僕のファースト・アルバム『Impressive Time』でも、一緒に楽曲制作をしているんです。今回はより密に制作を進めたかったので、週に1回は必ず瀧澤家に来てもらい、制作を進めていきました(笑)。昔は、自分のイメージを彼らに消化してもらうのに10分ぐらいかかったんですが、今はもう1分かからないぐらいです。気持ちの通い合いが、5年前とは大きく違いましたね」
——まさに、アルバム・タイトルの『Heart to Heart』にピッタリなエピソードですね。今後も、人とのつながりや出会いを大切にしていきたいと考えていますか?
「そうですね。出会いは一期一会だと思うので、これからも大事にしていきたいと思います」
interview & text EMIKO URUSHIBATA
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KENTARO TAKIZAWA
Heart to Heart
(JPN) Flower / FLRC-055

