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KOOP インタビュー142号

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 スウェーデン出身のマグナス・ジングマークとオスカー・シモンソンからなるデュオ、クープ。スウェーデン語で“協力、協調”を意味するユニット名が示す通り、ジャズDJとして活動してきたマグナスと、ピアニストとして活動してきたオスカーの感性を融合させた、繊細なエレクトロニック・ジャズを展開している。  '97年のデビュー・アルバム『Sons Of Koop』のリリースによって、北欧諸国での知名度を高めた彼ら。2000年には、ジャイルス・ピーターソン監修のコンピレーション『Worldwide』に、彼らの楽曲「Waltz For Koop」が収録され、世界規模での注目を集めることとなった。'02年には、セカンド・アルバム『Waltz For Koop』を発表。この作品は全世界で20万枚近いヒットを記録し、北欧ジャズ・ブームの切っかけをつくっている。  あれから4年。待望のサード・アルバム『Koop Islands』が完成した。新作では、彼らならではの緻密なリズムとスウィートなメロディー、洗練されたサウンド・スケープを存分に味わうことができる。ノルウェーのグラミー賞に輝いた女性シンガー、アーネ・ブルンの参加も話題だ。もちろん、ユキミ・ナガノ、アール・ジンガー(元ガリアーノのフロントマン、ロブ・ギャガーの別名義)、ミカエル・サンドリンといった、前作に起用されたボーカリスト達も、その力量をいかんなく発揮している。  独自の音楽性をさらに進化させた新作について、クープのオスカー・シモンソンに話を聞いた。


―クラブにおけるジャズのシーンは、ここ十数年で様々な変化を遂げています。アシッド・ジャズ、ニュー・ジャズ、フュ-チャ-・ジャズなど、さまざまな呼び名も生まれました。そんな中、あなた達はワルツやスウィングを基軸に、一環した音楽性を提示していますね。
「テクノをはじめとする他の音楽ジャンルでは、僕とマグナスは全く趣味が合わないのに(苦笑)、ジャズでだけは不思議なことにピタッと一致するんだ。今名前が挙がったクラブ・ジャズには、ソウルやファンクといった要素の濃いものが多いけど、僕らはジャズそのものから多大なる影響を受けている。その点で、クープは彼らとは異なると思う。僕らにとってのジャズとは、スウィングのリズムなんだ」
―あなたたちのバックグラウンドはジャズなんですね。
「僕は13歳の時に、父が持っていた『History Of Jazz』というジャズ名曲集のボックス・セットを聴いたのが切っかけで、ジャズの虜になった。特にチャーリー・パーカーのバラード曲「Parker's Mood」を聴いた時は、大きな衝撃を受けて、繰り返し聴いたもんだなぁ。家にあったピアノを5歳の頃から独学で弾いていたけど、ジャズと出会ってからはジャズを多く演奏するようになったね。僕は現在32歳なんだけど、マグナスは僕より少し年上で、ランDMCやパブリック・エナミーなどの'80sヒップホップからジャズを聴くようになったんだ」
―あなた達が目指している音楽は、どのようなものですか?
「メロディーやヴォーカルが美しい、聴き手がハッピーになれるような素晴らしい曲をつくりたいね」
―前作『Waltz For Koop』は全世界で大ヒットとなりましたが、これによって生活は何か変わりましたか?
「生活はあまり変わらないかな。でも、マンションは購入したよ(笑)」
―それでは、新作『Koop Islands』について聞かせてください。1stアルバム『Sons Of Koop』、2ndアルバム『Waltz For Koop』、そして今作と、4年おきのリリースになっています。これには、何か理由があるのでしょうか?
「それは偶然(笑)。2作目はもっと早く出したかったけど、レーベル側と契約上の問題があって、なかなか発売できなかったんだ。音が仕上がってから1年半も待たされたんだよ。『Waltz For Koop』発表後は、ツアーで世界中をまわっていたから、この新作の楽曲を書き始めたのはちょうど2年前だね」
―今作全体の収録時間は30分強でした。前作も同様だったと思うんですが、タイトにまとめている理由を教えてください。
「2、3分の短い曲の方が、飽きずに楽しめると考えているんだ。1曲の中に沢山のサンプルを使用しているから、実は見かけより入り組んでいる作品なんだよ。だから、何度も繰り返して聴いて欲しいな」
―今作のアート・ワークですが、これは強烈ですね! あなた達のオフィシャル・サイトにも、同様の女装写真がアップされていました。その狙いは何ですか?
「普通の宣伝素材的なアーティスト写真なんてつまんないだろ(笑)。クープの音は非常にエモーショナルで女性的な音だから、それをビジュアル面で表現してみたんだ。それから、新作では1920~1950年代の音楽を意識しているから、その時代を彷彿とさせるメイクや衣装も取り入れてみた。前作『Waltz For Koop』でも、アルバムの音楽性に合わせて、ジャケット写真に'60年代の女性ファッションを取り入れていたよ」
―あの... 女装趣味があるんですか? ひょっとして、女性よりも男性の方が......。
「僕もマグナスにも女装趣味はないよ(笑)。僕のガールフレンドが自信を持って保証してくれるはずだ(爆笑)」
―失礼しました(笑)。今作には哀愁漂う暗めな印象の楽曲も収録されていますね。そこには、20世紀初頭に流行していたキャバレーの世界観を見ることができると思います。今作で表現したかった世界観はどんなものですか?
「キャバレーではなくて、20世紀初頭のスウィングだね。前作は1960年代のジャズから影響を受けた内容だったけど、新作では更にさかのぼって、エラ・フィッツジェラルドやビリー・ホリデイが活躍していた1920~50年代の、ジャズやスウィングの世界を表現しようとしたんだ。暗めだと思った? 昔の音源をサンプリングしているから、前作より賑やかな音に仕上がっていると思うけどなぁ。まあ、感じた通りに受け取ってもらえればそれでいいよ」
―アルバム・タイトルの『Koop Islands』に込めた意味を教えてください。
「今回はスティールパンのようなカリブの楽器も使用しているんだ。だから、カリブ諸島に浮かぶ島々を想像して名づけたんだ」
―新作は全て生演奏に聞こえるんですが、実際はプログラミングも多用しているんですよね?
「アルバムの6割以上がプログラミングした音だよ。でも、ライヴ感を出すよう心がけている。映画の中で使用される、セットの家は本物に見えるだろ? 僕らはサンプリングを駆使して、そんなイリュージョンをつくり上げているんだ」
―楽曲制作は、どのように進めているんですか?
「最初に、ひとつのサンプルからインスピレーションを得る。それに合わせてメロディーを書き、リズムを決め、1曲の中で次々と新たな展開を繰り広げていくんだ。歌詞は最後に書いて、ゲストのボーカリストに歌ってもらっている」
―制作で心がけていることはありますか?
「クープの作品で最大の鍵となっているのはボーカル部分なんだ。だから、ボーカルを際立たせるために、ドラムやその他の音は繊細に仕上げている。あと、サンプルをできるだけ使うようにしているし、どの楽曲にもクラリネット、トロンボーン、ヴィブラフォンなど、一つの楽器による生演奏のソロを必ずフィーチャーしている」
―ふたりの間に役割分担はあるんですか?
「結成当初は、僕がピアノで曲を書き、マグナスはサンプルを制作するDJを担当していた。でも、最近は明確な役割分担はないね。二人ともメロディーや歌詞を書くし、プロデュースも担当している」
―今作には、4名のボーカリストが参加していますね。まずは前作に引き続いて参加した、ユキミ・ナガノ、アール・ジンガー、ミカエル・サンドリンについて聞かせてください。彼らを再び今作に起用しようと思ったのはなぜですか?
「3人とも素晴らしいボーカリストだから、再び参加してもらったんだよ。いつも曲が出来上がった後に、曲の特徴を踏まえてシンガーを決めているんだ」
―クープにとって、彼らのポジションはどのようなものですか?
「ボーカルはクープの音楽には欠かせない重要な要素だけど、メンバーは僕とマグナスだから、4人のボーカリスト達はゲスト・シンガーという位置づけだね。でも、ユキミ・ナガノは僕らのツアーにも参加しているボーカリストだから、クープにとっては非常に特別な存在だ」
―ユキミ・ナガノはクープとの活動を通して成長したボーカリストだと思います。今では多方面で大活躍ですよね。彼女の成長を見つめてきて、何か感じることはありますか?
「ユキミが初めてクープに参加した時、彼女まだ18歳だった。ツアーを経験したことで自信がつき、今ではステージで自然に振るまえるようになったと思う。もうこれ以上学ぶことがないほどの素晴らしい歌手に育ったと思うよ」
―アーネ・ブルンは、今回が初参加ですね。彼女とのコラボレーションが実現した経緯を聞かせてください。
「彼女は母国ノルウェーでは有名なフォーク・シンガーで、現在はスウェーデンに住んでいるんだ。で、僕がたまにピアノを弾いている友人のバーに彼女が歌いに来た。それが切っ掛けで、「Koop Island Blues」に参加してもらうことになったんだ。彼女は出会った1週間後にスタジオに来てくれたよ。実に素晴らしい歌唱力だったね。ワン・テイクで録ったから、1日でレコーディングは終わったよ(笑)」
―今後一緒に曲をつくってみたいと思うアーティストはいますか? また、どんなアーティストに共感を覚えますか?
「ソングライティングは僕とマグナスで十分だから、一緒に曲をつくりたいと思うアーティストは特にいないけど、今後も素晴らしいボーカリストに参加して欲しいと考えているよ。共感を覚えるアーティストは、日本のジャズ・トリオ、UNITED FUTURE ORGANIZATION(UFO)だね。彼らは僕の10代における偉大なヒーローだった。僕は13歳からジャズを聴き始めたけど、それ以降に初めて夢中になった新しい音楽がUFOだったのさ。当時住んでいた田舎街で、彼らのアルバムを持っていたのは僕だけだった(笑)。18歳の頃の話だね。とにかくあの頃は、UFOが僕の全てだった」
―前作にはリミックス・アルバムもあって、そちらもヒットしましたね。今回もリミックス盤を出す予定はありますか?
「うん。すでに10曲ほどのリミックス・バージョンがあるけど、詳細はまだ話せないんだ(苦笑)。それらは、シングルに収録するかもしれない」
―今作のリリース後には、ライヴ・ツアーを行いますよね。ライヴはどのような形態で行うんですか? 来日予定もありますか?
「来日公演の話は進んでいると思うよ。これまでにも日本のブルーノートで演奏してきたからね。ライヴは7人編成になる予定。僕はピアノを、マグナスはプログラミングを担当する。他にはドラムス、ダブル・ベース、ヴィブラフォン兼マリンバ、トロンボーンもしくはクラリネット、そしてユキミ・ナガノかな」
―今から楽しみですね! それでは最後に、メッセージをお願いします。
「日本のみんな、大好きだよ! 11月か12月には日本へ行けると思うから、楽しみにしていてね!」


interview & text SOICHIRO NAITO
translation KEIKO YUYAMA


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(JPN) VILLAGE AGAIN ASSOCIATION / VIA-0049

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