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MALIBU インタビュー149号

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 米西海岸を拠点に活動している音楽プロデューサー、ロジャー・ジョセフ・マニング・Jr.。'90年代初期にブレイクしたパワー・ポップ・バンド、ジェリーフィッシュで音楽活動を始め、その後ベックやエールにキーボーディストとして参加。近年は、ソロ・プロジェクトとTVアイズといった変名プロジェクトを行き来する、多彩な才能の持ち主だ。映画監督ソフィア・コッポラとも交流が深く、映画『ロスト・イン・トランスレーション』にブライアン・レイツェルとのコラボ楽曲を提供するなど、その活動は多岐にわたっている。
そんな輝かしいキャリアを持つ彼の最新プロジェクト、マリブがこのたび本格始動、1stアルバム『ロボ・サピエンス』を発表した。この作品で彼は、これまで得意としてきたロック / パワー・ポップとは一風変わったサウンドを展開。なんと、’70sユーロ・ディスコを彷彿とさせる、近未来的エレクトロ・ディスコに挑戦している。
なぜここに来てエレクトロニック・プロジェクトなのか? その真相を探るべく、マリブことロジャー・ジョセフ・マニング・Jr.にインタビューを試みた。


――マリブの音楽性は、ジェリーフィッシュやソロ・プロジェクトで展開しているパワーポップとは異なりますね。なぜ、このプロジェクトを始めようと思ったのですか?
「ベックやジャミロクワイ、エールなどのリミックスを手がけた際、数々の面白いアイデアが浮かんだんだ。それを生かして、これまで発表してきた、いわゆるハーモニーを大切にしたポップ・ミュージックとは一線を画したアルバムをつくろうと思ったのさ」
――マリブというプロジェクト名は、ベックがつけたそうですね。
「僕が初めてベックのツアーに参加した’97年に、バンド・メンバーみんなでディズニーランドへ遊びに行ったんだ。そのとき、ベックの思いつきから“マリブ”と名づけられたんだ。南カリフォルニアにあるマリブには、ビーチ・ボーイ的なイメージがあるよね? あれをパロった冗談から付けられちまったんだ(苦笑)」
――プロジェクト名は気に入っていますか?
「うん。新プロジェクトに取り組むにあたって、“DJロジャー”なんて最悪な名前をつけるより、“マリブ”の方がずっとイイからね(笑)」
――マリブの具体的なサウンド・コンセプトを教えてください。
「ファンクやソウル、’70年代ディスコもの、’70~’80年代のジャーマン・ニュー・ウェイヴ、イギリスのシンセ・ポップといった古い音楽に、現代のテクノやハウスといったエレクトロニック・ミュージックの手法を融合することだね」
――サウンドのルーツには、どのような音楽が挙げられますか?
「ジョルジオ・モロダーやクラフトワーク、それとシック、コモドアーズ、ハービー・ハンコックなどの、’70年代ディスコ / ファンクものだね」
――ロック / ポップ・サウンドのスペシャリストでもあるあなたが、エレクトロニック・ミュージックのどんなところに魅力を感じたのでしょうか?
「僕は、シンセサイザーの奏でる音色が大好きなんだ。電子楽器や機材は表現に制限がない、人間にとって自然な、すばらしいツールだと思う。たとえば、シンセに組み込まれたヴァイオリンやトランペットが奏でる周波数は、人体にプラスの効果をもたらしてくれる。電子楽器は、そのように人間的要素とつながっているんだ。テクノは特にそこを強調しているよね。テクノの延々と続く力強いベースやドラムを笑う人もいるけれど、あれは心臓の鼓動を表現しているんだよ」
――本作のアルバム・タイトル『ロボ・サピエンス』は、半人半ロボットの生命体を指しているそうですね。タイトルに込めた意味を教えてください。
「恐ろしいスピードで技術が進化したことにより、PCや携帯は、今や人間の付属品となりつつある。今後10年間は、そんな技術の力に人間的要素を融合させた人工知能やナノ・テクノロジーが発展し、音楽、映画、テレビを含めた全芸術の世界に反映されていくだろう。タイトルは、そういったところから生まれる人間的ロボットにコントロールされる生活を送るよりも、むしろロボットと共にダンスフロアで楽しみたいという、ユーモラスなスタンスを表現しているんだ(笑)」
――なるほど(笑)。「The Bounce」は、そのテーマをよく表した楽曲ですね。エイリアンたちが銀河で開いているディスコ・パーティーの光景を描いたこの曲は、どんなインスピレーションから生まれたのですか?
「この曲はリップス・インクの「Funky Town」からインスピレーションを得たんだ。SF的な女性ロボットの歌声が楽しい曲だよね。今のダンス・ミュージックって真面目な作風のものが多いから、パーティー・ピープルが友人たちとディスコで大騒ぎしているような、おバカな楽しさを打ち出したかったんだ」
――「D.I.E.T」は、野菜を食べることでの栄養摂取がテーマという一風変わった曲ですね。このテーマには、どんな意味が込められているのでしょうか?
「“人間は、消費している食べ物から健康面での直接的影響を受けている”というメッセージを伝えたかったのさ。僕は7年前に食事内容とライフ・スタイルをガラッと変えたんだけど、それ以来、これまでとは比べものにならないくらい健康になったんだ」
――もしかして、あなたはヴィーガン(動物性食品をとらない菜食主義者)ですか?
「うん。未加工のオーガニックな野菜、フルーツ、ナッツ類しか食べないんだ。野菜は火で調理すると、有機体を破壊してしまうからね。熱を通したニンジンを100本食べるより、生のニンジンを4、5本食べるほうが身体にいいんだよ」
――そうなんですか! ちなみに、この曲のヴォーカルはあなたが入れたのですか?
「いや、ある医学博士による、糖尿病に関するスピーチを録音した古いカセット・テープを見つけて、その人のヨーロッパ訛りで邪悪な声が気に入ったから、スピーチをPCに録り込んで、伝えたい文章にカットアップしたんだ(笑)」
――なるほど。では、今作を手に取るリスナーには、どんなことを感じてもらいたいですか?
「僕は、リスナーを展開が読めないような音楽の旅に誘いたい。だから、ダンスフロアや車内だけじゃなくて、自宅で掃除するときやキッチンで料理するときにも、ぜひこのアルバムを聴いてもらいたいね」
――最後に今後の予定を教えてください。
「今は、マリブのプロモーションに力を注いでいるよ。夏に入る前には、昨年リリースした『ソリッド・ステイト・ウォリアー』に続くソロ作に着手したい。今年の秋か、2008年初頭にはリリースしたいね」


interview & text TAKAHIRO KAWAMURA
translation KEIKO YUYAMA
artwork ADAPTER


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