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MAXIM インタビュー124号

プロディジーからの独立第二弾!


―アルバム・タイトルの『フォーリン・エンジェル』にこめられた意味を教えてください。
「収録曲に男女の人間関係、特に女の子に関することをテーマにしたものが多かったから、はじめはアルバム・タイトルを『She's Got It's』にしようかと思っていたんだ。“女の子はいろんな一面を持っている”って意味でね。その案を友達に話したら、“良いタイトルなんだけど、「She's Got Tits」って聞こえるよ”って言われちゃったんだ(笑)。そんな誤解を生みそうなタイトルじゃマズいでしょ? で、その友達は、4曲目に収録した「Fallen Angel」が アルバム・タイトルにもピッタリじゃないかって言ったんだ。この曲には、もともと良い天使が堕ちて悪魔になったという背景があるんだけど、それはアルバム全体を通してのテーマに重なるところがあるんだ。他の曲も、良いエモーション~悪いエモーション、良い考え~悪い考え、男女関係の中での良い面~悪い面など、二面性についての曲が多いから。そういう意味で、この曲名をタイトルに持ってくるのが、合ってるんじゃないかと思ったんだ」
―それが、アルバムのコンセプトにもなっているんですか?
「アルバムを完成させることだけで自分は満足だから、コンセプトに関しては聴き手側それぞれの解釈をしてもらいたいな。例えば、「Temptation」は、女性に誘惑される歌なんだけど、ストレートにとらえなければいろいろな解釈ができると思う。“人間というものは、様々な誘惑と常に戦わなければならない。その誘惑に負けるか、努力で打ち勝つかというのは、個人の問題”という深いテーマも背景にはあると思うんだ」
―歌詞はかなりセクシーで、プライベートにもとれる内容に変わりましたが、これはあなたの実体験に基づいたものですか?
「いや、曲のほとんどはフィクションなんだ。セクシーだと感じたのは「Holdin On」についてかな? 今回女性ボーカルを取り入れたのは、セクシーな印象を与えたかったからだというのはある。いろんなテーマについて歌詞を書いてるけど、それらは多面的に何度も分析し直したものなんだ。曲が持つテーマは、そのままの単純なものではない。何重もの意味合いを込めたよ。なかには、何を言ってるのかわからないという曲もあると思う。実際自分でも、何について歌ってるのかわからない曲もあるぐらいだ。これらの歌詞は、自分自身と何度も見つめ合って書いたものなんだけど、未だにわからないところも多い。でも曲づくりって、白黒つけるということではないと思う。自分でも説明するのが難しいことだけど」
―5年振りのセカンド・アルバムですが、レコーディングには、まるまる5年間を使ったのでしょうか?
「正確には、4年と4ヶ月。制作期間は全部で1年ぐらいだったよ。時間がかかったように思うかもしれないけど、2000年頃から3年間はプロディジーとしてツアーを行なっていたわけで、今作の為にスタジオ入りしたのは2003年頃からなんだ」
―4年4か月は長いと思うのですが、その間に心境の変化はありましたか?
「今後どのような方向に進みたいのか、何がしたいのかを模索していた時期だったよ。それが明確になったのは2年半ぐらい前。その答えというのは、とにかく音楽をつくり続けていきたいということ。こういうことをしていると、周りの期待に沿う為の音楽づくりをしてしまいがちなんだけど、それは音楽をつくる理由としては正しくない。曲づくりというのは、自分自身の為にしていくものだと思うんだ。だからアルバムを完成させるということで、一番の達成感が味わえる。自分の究極の目標は何百万枚もアルバムを売るということではなく、アルバムを完成させること。ラジオ・プレイされたり、売れたりということは付属してついてくるものなんだ。もちろん嬉しいことだけど、それらはオマケ的な要素なんだよ。ここ4年間は自分と見つめあって、人生における優先順位を常に考えていた。内面的な話をすると、スピリチュアルなものを求めるようになって、地に足のついた考え方ができるようになった。アルバムができたことは誇りに思うし、ラッキーだとも思ってる。ラッキーというのは正確な言い方ではないかな? 人生の選択は自分で決めていることで、運だけではないからね。プロディジーでの活動は大好きだし、プロディジーの中での自分の役割も好きなんだけど、ソロとして自分を表現できる機会を貰えたのは、本当にありがたい。だからこそ、努力を重ねてやっているんだ」
―今作をつくる上で、最も大きなインスピレーションとなったものは何ですか?
「誰もが反応する刺激的な曲をつくったというところで、ネプチューンズから受けた刺激は大きい。彼ら(N.E.R.D)が「Lapdance」を出した時のまわりのリアクションは凄かった。彼らがヒップホップ界に与えた刺激は素晴らしい。あとはプリンスからも刺激を受けたよ。シンプルな中にも力強さを感じさせる音のつくり方が素晴らしいと思う。でも基本的にインスピレーションというのは、いろんなところから受けている。例えばバンドと一緒にフェスティバルに参加した時に見た、グリーンデイやミューズのライヴには感動して、また音楽に対する意欲に火が付いたよ。その意欲を持ってスタジオ入りしたんだ」
―アルバムの中で最も思い入れの強い曲はどれですか?
「それぞれが独特のフィーリングを持っているから決めにくいんだけど、「In 2 U」のビートの力強さと「Nouveau Rice」のギター、この2曲のコンビネーションが自分にとって1番思い入れがあるかな」
―レコーディングを行なったプライヴェート・スタジオ、RED ROOMとはどういうところですか?
「自分のホーム・スタジオで本当に真っ赤な所なんだ(笑)。窓のブラインドは常に閉めていて、凄く低い天井からは、赤いライトを灯しているよ。スピーカーを埋め込んだ壁には、一面に赤い毛皮を貼付けてる。子宮の中にいるような、心地よい空間づくりをしているんだ。スピーカーが発する鼓動の中で曲づくりをしていきたいんだ。たまに友達が来ると窓を開けようとするんだけど、それはしないでもらう。わざわざ雰囲気づくりしていることだからね。この雰囲気の中で、他のバンドの曲を聴くのも好きだよ。激しい音楽を、子宮内のような真っ赤な空間で聴くのが好きなんだ。今回何故ここでレコーディングをしたかも説明するよ。最初はアメリカのプロデューサーに、できかかっていた曲を持って行って、話し合いをしたんだ。みんな興奮しながらさまざまな案を出してくれたよ。でも、彼らの案というのは、いかに彼らのクリエイティヴィティーを自分の曲に入れるかということだったんだ。そういうことじゃなくて、いかにして自分を引き立ててくれるかを聞きたかったんだけどね。たしかに、プロデュースされたアルバムは売れるのかもしれない。でも、自分にとっての最大の目的は売ることではないから、一度自分のところに戻して、もう1人の仲間(ジョン・フォーティス)と二人でプロデュースすることにしたんだ。100パーセント心地よいと思えて、コントロールできる環境の中でつくるのが良いんじゃないかなって考えたんだ」
―ほとんどの曲にジョン・フォーティスのクレジットがありますが、彼をスタジオ・パートナーに選んだ経緯を教えてください。
「彼はもともとセッション・ギタリストで、ギター・リフ担当として入ってもらったんだけど、そこから友情が芽生えたんだ。二人のコンビネーションも良かったし、一人でやるよりは、もう一人客観的な耳を持った人がいたほうが良いだろうと思って、彼に提案したんだ。自分自身、ビッグなプロデューサーじゃないし、彼もこれまで2曲しかプロデュースしたことがなかったから、2人でやるのは一種のチャレンジでもあったんだけど、アルバムづくりの醍醐味は学んでいくプロセスにもあるから、そういった意味ではアルバムを完成させた達成感は大きかったよ」
―オードラ・ニシータ、ポーシャ、サフロン、イルマトリックスというゲスト陣は、前作のスキン(スカンク・アナンシー)、ディバイン・スタイラー、スニーカー・ピンプスというメンツとくらべると、ファミリー色が増したように思います。起用の基準は、どこにおきましたか?
「前作のゲストは見てもわかるように、アーティストとしての地位を確立している人ばかりだったから、中には会ったこともない人もいたんだ。作品を送って、歌詞を乗せて返してもらったりしてたん。曲を聴いて良いなとは思ったけど、100パーセントお互いを理解しあった実感はなかった。今回は自分でプロデュースするにあたって、もう少し身近な人と仕事したいと思ったんだ。身近にいて、才能のある人に表現の場を与えてあげたいというのもあった。ポーシャなんか自分で歌詞をかいたんだよ。オードラも昔からの友達。最初「フォーリン・エンジェル」は自分で歌う予定だったんだけど、彼女は良い声の持ち主だし、ぴったりだと思ったから歌ってもらったんだ。イルマトリックスも自分にとって、良い友達だよ。今回の曲づくりには、統一感があって、タイトに仕上がっていると思う。前作はもっとバラバラな感じがあるよね? 今作を表紙、裏表紙があるちゃんとした本だとしたら、前作はルーズリーフの寄せ集めといった感じかな。それはそれで作品として認めているところはあるんだけど、『フォーリン・エンジェル』は自分が今いる位置を表している。だから次回の作品は、またその時の自分を表している作品になるよ」
―『フォーリン・エンジェル』の楽曲は、ヴァ-ス、ブリッジ、コーラスというトラディショナルな音楽の形を重視しているということですが、それはなぜですか? ダンス・ミュージックのアーティストは、あまりそういった形式にこだわらない人が多いのですが。
「それこそが前作との最大の違い。いわゆるダンス・ミュージックのように、イントロが2分あって、その後5分かけて盛り上げていって、トータル10分ぐらいあるというような曲づくりはしたくなかったんだ。それは昔やったことだから今やる必要はないと思ったんだ。今回は違ったボーカル・スタイルも取り入れた、もっとトラディショナルな音楽のつくり方をしてみたかった。自分にとっては、そっちの方がチャレンジだったよ。それに曲が短い分、聴いてる人にもダイレクトに伝わるんじゃないかなとも思った。今回のチャレンジで一歩前進できたと思うし、大きな達成感も味わえた。ただ、次はまた違うアプローチを取るだろうね。ヒップホップみたいなビート主体で、そこまでギターを強調しない曲づくりになるかな。(LOUDの表紙を見ながら)自分の音楽には、ダンスの要素ももちろんあるんだけど、CLUB & DJ CULTUREよりもRADICAL MUSICにあたるんじゃないかな。これこそスパっと自分の音楽を表す言葉だよ。一つのシーンにアピールするんじゃなくて、個人に訴えかけるような音楽に仕上がっていると思う。例えば、ヒップホップとか、ダンスホールとかエレクトロとか、そういうのが好きな人、個人に向けた音楽じゃないかな」
―今作にはリアムも参加しいてませんし、『フォーリン・エンジェル』と『Always Outnumbered Never Outgunned』の間には、もはやほとんど関連性が見出せません。でも、ツアーではプロディジーの一員としても活動していますよね。率直なところプロディジーを離れて、ソロとしてやっていこと思ったことはありませんか?
「そうだね、音楽的なところでこの二つには全く関連性はない。あるとしたら俺が両方の作品に参加していて、俺がマキシムであるってことだけ。一般的にソロ活動を始めると、抜けちゃうのかなと思われがちなんだけど、プロディジーを抜けようなんて考えたことないよ。数日後にはプロディジーのツアーで、3週間オーストラリアにも行くよ。ソロ活動は、プロディジーと並行してやっているものであって、どっちに比重を置いてるとかってものじゃないんだ」
―『The Fat Of The Land』には、かなりあなたのダークなテイストが反映されていたと思うのですが、プロディジーでそのまま自分のテイストを活かしていこうとは思いませんでしたか? リアムとの間で、そうした話し合いはなかったのでしょうか?
「自分達としては、常に進化していきたいという思いがあって、新しいスタイルをつくり続けていきたいと思っている。いろいろ影響されてきたものを出し合って、話し合いをするよ。残念ながら前作の『Always Outnumbered Never Outgunned』では自分の曲ができなかったけど、いまのプロディジーのライヴではその中の収録曲の歌詞とかに手を加えたり、少しつくり直したりして実際にライヴでやっている。たしかにダークな要素っていうのは自分の一部であり、性格の15パーセントぐらいを占めてるものだと思う。だから自然とボーカルの中に出てくるわけだし、自分のスタイルでそういったところが引き立つというのもあるんだろうけど、今後新しいことをやり続けていきたいから、あまりそこに固執したくないな」
―今後の予定は?
「プロディジーは全力投球で戻ってきたよ。数カ月のオフを過ごしたあと、去年あたりからライヴ活動を再開したんだ。ツアーを始めたことによって、一緒にいる時間も増えて、多くの意見を交わすようになった。ツアー中っていうのが一番クリエイティビティーが出てくる時だから、次の作品まで7年も待たせるってことはないよ。プロディジーの新曲「Spitfire」ももうすぐ出るし、自分のソロも日本では3月9日に出るってことで、バンドにとっても、自分にとっても忙しくなる時期に入る。バンドとしては、世界中のフェスティバルに参加する。ライヴにも今までにない新しいアイデアを投入していきたい。ソロ活動に関しては、プロディジーのライヴの合間をぬってやっていきたいと思っているよ。それと、小規模なDJツアーも考えているよ。日本でもクラブで展開できたらなぁ。一つのジャンルやスタイルにこだわらないで、自分の好きな音楽をかけたいよ。それから、ポーシャのアルバムづくりも手掛けているんだ。けっこう忙しいから、一日68時間ぐらいは必要だよ(笑)」


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Fallen Engel

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