METALCHICKS
METALCHICKS インタビュー140号
バッファーロー・ドーターのギタリスト、シュガー吉永と、DMBQやOOIOOのメンバーとして活躍してきたドラマー、吉村由加の二名が結成したメタルチックス。“メタル・サウンドとダンス・ミュージックを融合した女性だけのバンド”というコンセプトで、国内のみならず海外でも精力的に活動している異色ユニットだ。 そんな彼女らが、昨年のデビュー作に続くセカンド・アルバム『St.Wonder』をリリースした。夏休みに公開される映画『笑う大天使(わらうミカエル)』のサウンドトラックも兼ねたこの作品では、エレクトロニック・サウンドも積極的に導入、イマジネイティヴなサウンドスケープをつくり出すことに成功している。さらに、バロック風のオルガン曲や初のヴォーカル曲など、新モードも披露している。 他に類を見ないメタルチックスのコンセプトと最新作について、二人に対面で話を聞いた。
―メタルチックスを結成した経緯を教えてください。
シュガー吉永(S)「6年くらい前の2000年に結成したんです。突然女性だけのメタル・バンドがやりたくなって、よっちゃん(吉村由加)に声をかけたんです。当初はもう一人ギターを入れて三人でやろうと思っていたんですけど、スケジュールが合わなくて、結局“じゃあ二人で始めちゃおうか”って感じでした」
―どうしてメタル・バンドをやりたくなったんでしょう?
S「まあ、メタル・バンドと言いつつも、ダンス・ミュージックに根づいた音がやりたかったんですよ。'90年代後半にダンス・ミュージックがハード化していったことや、一方でニュー・メタルみたいな音が出てきたことに触発されている部分があると思いますね」
―女性のみで結成したかった、という点に関しては?
S「メタルには“男の音楽”、“男性社会”というイメージや、“レザー・鋲・女”みたいなイメージがありますよね。だから、メタルチックスはそういったイメージだけではない、私たちなりに解釈したメタルをやりたいと思ったんです。女がメタルをやるって珍しいしカッコイイよね、っていうイメージ先行型のコンセプトですね(笑)」
―なるほど。
S「だから、音楽的にもメタルの様式美にとらわれているわけではないんです。おそらくメタル・ファンからしたらすごく邪道なアルバムだろうなって、去年アルバムをつくった後に思いました。自分たちとしては(あの音は)すごく“メタル”だったんですけど、いろんな人と話してみたら“あんまりメタルじゃないぞ”、という感じになりましたね」
―とはいえ、ザクザクのメタル系ギター・サウンドはフィーチャーされていますよね。あれは、弾いていて気持ちいいものですか?
S「チョー気持ちいい(笑)。“ザ・ザ・ザ、ザ・ザ・ザ”っていうやつね。弾くと手のココ(掌底の部分)が痛くなって、爪とかも削れちゃうけど、やるとアガるよね」
吉村由加(Y)「やっぱりそうなんだ。わりと単音でループを弾くことも多いじゃない?」
S「“パラ・パラ・パラ”ってやつ? あれはね、意外に気を使うのよ(笑)。ちゃんと流れるように弾かないといけない。メタルって、やっぱり体育会系ですよね。“おら!!よし!!”みたいな。“気合い!”みたいな」 Y「たしかに。そうか、気持ちいいのか。いいなぁ」
S「ツー・バス(ドラム)も気持ちいいんじゃない?」
Y「まだ気持ち良くないですね、今のところは」
―ツー・バスにもトライしているんですか?
Y「今回のアルバムで初チャレンジしたんです。でも、いっぱいいっぱいで、余計なことは考えられなかったですね(笑)。ツー・バスの醍醐味は、多分機械音みたいな感じで、ただただ叩いていくことにあると思いますけど」
―ダンサブルなビートに関しては、何か意識していますか?
Y「いわゆる四つ打ちは、好きな音楽ではあったんですけど演奏したことがなかったんですよ。DMBQはもっと後ろにのっかったロックだし。だから、メタルチックスでやってみて、意外に気持ちが良いということが分かって、“私、向いているかも、私のためにある”って思いましたね。常に自画自賛なんですけど(笑)」
―新作では、エレクトロニック・サウンドもふんだんに使っていますね。前作との違いを意識しましたか。 S「前作との違いは、映画『笑う大天使』のサントラという側面もある点ですね。単にメタルチックスとしてのアルバムだったら、全体にギターとドラムがしっかり入っている感じになるけど、サントラという伏線があったから、逆にいろいろと勝手なことができました。だから、ドラムもギターも入っていない、オルガンだけの曲もあるんです」
―映画のために全曲を書きおろしたんですか?
S「そうです。映画のストーリーやシーンに合わせて、勝手な“幻想”を膨らませてつくりました」
―メタルとの整合性はありましたか?
S「お嬢様学校に通っている三人が主人公なんですけど、結構バトル・シーンがある」
Y「超能力を得て悪と戦う、みたいなね。舞台となる学校もゴシック教会っぽい所なんですよ」
S「そのへんが、私たちが思う“メタル”のイメージとピッタリでした。自分たちの中には“幻想のメタル観”というものがあるんですけど、それとこの映画を結びつけるリンク探しが楽しかったですね。“あ!”という映像から、一気にイメージが膨らんでいきました」
―その“幻想のメタル観”とは、具体的にはどういったものですか?
Y「今回のアルバム・ジャケットに、象徴されていますね。“攻撃的なことばかりではないぞ”というところが大事なんです。“可愛さ”も大事にしたいんです」
S「よくあるメタルのアイテムやイメージは大切ですけど、血が出ていたりするようなグロな雰囲気は、やっぱり嫌なのよね。そっちにはいきたくないです。都合のいい解釈かもしれないけど、ピンヒールを履いて、剣を持っている、強面なオネエちゃんの手や足に鳥が止まる、それが私たちのメタル観かな。で、それが今っぽいとも思っているんです。陳腐な言い方ですけど、“エコロジカル”な感じなんですよ」
interview & text FUMINORI TANIUE
photo YOSHIMITSU UMEKAWA
metalchicks' art direction KOH CHIHARA
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St.Wonder
(JPN) HEAT CARTEL/Kotori Punk / HEAT-4

