MEXICO
MEXICO インタビュー139号
MEXICOは、山辺純によるソロ・プロジェクト。"MEXICO"の名前は、初の作品集『メキシコのひととき』に由来しているという。高校時代に、コピー・バンドのヴォーカリストとして音楽活動を開始。当時からダンス・ミュージックも好んで聴いていたため、自然な流れでハウス、テクノといったフィールドにシフトしたという。2001年、FROGMAN系列レーベル、U.S.B.のコンピレーション『U.S.B. united sounds of blue』に参加。その後、偶然ライヴを目撃したDJ MIKUの目にとまり、彼の主宰レーベルblank recordingsに参加することとなった。2004年には同レーベルより、2ndアルバム『Forgiveless』をリリースした。
そんなMEXICOが、この度3作目のアルバム『BIT SUITE』をリリースする。前作までとは趣向が変わり、テクノ色が強くなりつつも、ポップでキャッチーな要素が前面に押し出されている。ヴォーカルをフィーチャーした楽曲、MEXICO自身が歌う曲など、テクノ作品としては異色の構成だ。
これだけ説明しても、まだまだ謎だらけなMEXICO。正体を探るべく、本人を直撃した。
―クリエイターとして活動を始めたきっかけは、アンダーワールドの1stアルバム『dubnobasswithmyheadman』だそうですね。この作品や彼らには、どういった影響を受けましたか?
「僕がそのアルバムを入手したのは...確か'94年でした。元々、ダンス・ミュージックに限らず、UKの音楽シーンに注目していたんです。当時、打ち込みで音をつくっていた人って、現役世代ではなかったんですよ。ニュー・オーダーとか、デペッシュ・モードとか。“この先いよいよ、こういうことやる人はいなくなるのか...”と思っていた時に、アンダーワールドが出てきて。“その流れにいながらも、全く新しい方向を向いている”ということに非常に衝撃を受けました」
―そして、現在展開しているようなエレクトリック・ミュージックをやるようになったと。
「そうですね。当時は、聴いても何をやっているのか全くわからなかったんですが。“ひょっとしたらできるかも?!”って、うっかり思ってしまったんです( 笑 )。まあ実際、簡単にはできなかったですね。最初の何年かは、とても苦労しました」
―今作のタイトル『BIT SUITE』とは、どういう意味ですか?
「最初は"BITTER SWEET"で考えていたんです。でも、あまりにありきたりなので考え直して。コンピューター音楽は、最終的に周波数とビットレートがキモになってくるんです。どっちが無くなってもつくれない。そこで、“ビットで練られた組曲”という意味を込めて"BIT SUITE"にしました」
―今までの作品に比べ、テクノ色がさらに強くなっていますね。つくりたいもののビジョンが変わってきたということですか?
「“テクノ色を強く”ということは意識しましたけど、まあ自然の流れですね。制作環境の違いもありますし。今作のような音がつくりやすい環境になったのは、ごく最近なんですよ。1、2作目は、“ヘッド・ミュージック”の印象が強かったと思うんですが、2年前にDJを始めたこともあって、今作はある程度DJユースも念頭に置いてつくりましたね」
―M11「The Bitter End」は、ご自身で歌っていますね。元々バンドのヴォーカリストだったということですが...噂では、過去にコンテストで平井堅と決勝を争ったとか?!
「はい。でも...僕なんてみみっちいレベルですよ( 笑 )。まあそれでも、好きだって言ってくれる人もいるので。この曲は収録しないことも考えたんですが、1曲くらいあってもいいんじゃないかなって。まあ、最後の最後に“ドーン”と落とすっていう意味でもありますね」
―“歌”と“トラック”は、あなたの中でどのような位置づけなんでしょう?
「かつて、4トラックぐらいのテープ・レコーダーで曲をつくっていた頃、歌は“無いと非常に不安になる”ものでした。歌が無いと、テキトーな打ち込みっていうのがバレるような内容だったので( 笑 )。でも、今はどちらも、必要があれば出すっていう。お互いのバランスが上手く取れた状態になっていますね」
―イチオシの楽曲はどれですか?
「後半4曲は、大変な冒険をしているので気に入っていますね。M8「Grand」に至っては、一音だけで3分という内容で...。かつて、そういうものはなかったはず...と確信を持ってつくりました」
―ジャケットに登場するロボ、"ELECTRON"。これは一体...?
「僕のCDジャケットやPVを手がけている、thiyea projectの東郷くんが“今回はこれでいこう!”と、ある日ロボットを出してきたんです。“もう、まかせたよ”って感じでしたね」
「前作は、“MEXICOの音楽を聴いた時に、浮かぶ情景”そのものを形にしたんです。でもいつまでもそれじゃ、つまらないんで。今回はあえて、無表情なロボットというキャラクターを起用して、“どういう情景が浮かぶか、考えてもらおう”という意図がありますね」( 東郷 )
―ライヴではどういったパフォーマンスをしていますか?
「今は、VJのDRAW HEAD LOWっていうチームと一緒に、映像と音楽二つの要素を取り入れてやっています。音単体でライヴをする予定は多分もうないですね」
―海外だと、Ninja TuneやWarpも映像を意識した音楽づくりをしていますよね。なにかシンパシーを感じる部分はありますか?
「僕らがやっているのは、ある意味もっと"PUNK"だなと。テクニック、機材に関しては、それほどすごいというわけじゃないんですよ。今はまだ、海外の人たちと同じことをやっても、後から追従する形になってしまう。だから、できることを僕らなりに提示して、見る側、聴く側、やる側全体で一緒に上がっていくやり方のほうがいいなと思っています。海外の人たちとは違う方向性を取っていくことを考えていますね」
―なるほど。では、最後に一言お願いします。
「変わったアルバムだと思うので、一度聴いてみて、面白いと思った人は是非ライヴに遊びに来てください! 」
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MEXICO
Bit Suite
(JPN) BLANK / TKCA-73041

