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Mr.de' インタビュー132号

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 “ハード・ミュージック・フロム・ハード・シティ”の言葉とともに、デトロイトの地下音楽を発信しつづけるディストリビューター、サブマージ。前ページで紹介したオックス88のアルバムと同日、12月9日に、最新レーベル・ショウケースがリリースされる。右ページをご覧いただければ分かるように、収録アーティストは超豪華。デトロイト・テクノからゲットー・ベース、エレクトロまで、デトロイトのシーンを代表するアーティストたちが勢揃いしている。しかも、そのほとんどが新曲、あるいは初CD化の音源だ。
 そこでラウドでは、サブマージのプレジデントを務めるアデー・マイナーことミスター・デーを直撃。このコンピレーション・アルバムと、サブマージの理念について話を聞いた。ちなみに彼はプロデューサー/クリエイターとしても有名で、今年2月にはオリジナル・アルバム『Renaissance』を発表している。レーベル、エレクトロファンクの主宰者でもあり、B.キャロウェイを始め数々の才能を世に送り出していることでも知られている。


―まずは、サブマージ設立の経緯について教えてください。
「サブマージ・マネージメントという会社を経営していたマイク・バンクス(マッド・マイク)から、“コンピューターでロジスティックスを上手く管理したいから、ディストリビューション業務を手伝ってくれないか?”って誘われたんだ。それがキッカケだね。そこで俺は、この街にエレクトロニック・ミュージック系のレコード会社がないことに着目したんだ。デトロイトに住むプロデューサーの中には、自主レーベルを運営している人たちもいるけど、レコード会社として日々の業務をきちんとこなしている会社は見当たらなかった。そこでマイクと話し合い、'02年に俺が経営するエレクトロファンク・レコーズを親会社としたサブマージ・レコーディングスを設立したんだ。以来、これまでディストリビューションのみを行っていたアーティストも、レコーディングを含めた制作作業から宣伝、出版や法務的な管理業務、ツアーまで、全てこの会社で統括できるようになったんだ」
―どのようなポリシーのもと、設立したのですか?
「第一に、“良い音楽ありき”というポリシーのもとに設立した。というのも、あまりに多くのエレクトロニック・ミュージック系のレコード会社が、リリースする音楽ジャンルをひとつに絞り過ぎ、誤った道に進んでいたから。サブマージ・レコーディングスの場合、ジャズやファンク、ヒップホップに影響を受けたエレクトロニック・ミュージックでも、音が良ければジャンルに関わらずリリースする。重要なことは、各アーティストが持つ最大限の能力を引き出すことなんだ。レコード会社として、デトロイト・テクノのシーンを牽引していきたいね」
―サブマージ・レコーディングスというレーベル・ネームには、商業主義のシステムに組み込まれることを避け、あえてアンダーグラウンドに深く“潜行”していこうという意思が込められているのでしょうか。 「いやいや、そりゃ考え過ぎだよ(笑)。もちろん、サブマージからブリトニー・スピアーズの作品を出すなんてことはないだろうけど(笑)、きちんと売り上げのことを考えているよ。“作品重視で、売り上げ枚数は気にしない”なんてレコード会社は嫌だな。メイン・ストリーム系の作品はリリースしないけど、決して反商業主義じゃないんだ。あらゆる人たちに、サブマージの作品を聴いて欲しいと思っている」
―オーナーとして、具体的にどのような仕事をしているのですか?
「制作を行うスタジオと、管理業務とディストリビューションを兼ねたオフィスを行き来している。音楽制作やミュージシャンとしての仕事が4割、ビジネス面は6割といった感じだね」
―楽曲制作やDJ活動と並行することで、苦労はありませんか?
「ああ、苦労は尽きない(笑)。社長業を誰かが引き受けてくれたら、スタジオ・ワークに専念できるんだけどね。週に3、4回は会社に出勤して、クリエイティヴ面とビジネス面のバランスを上手く取りながら両立しているよ」
―では、副社長のマッド・マイクは、サブマージにおいてどんな存在ですか? 精神的支柱、といったところでしょうか。
「彼はサブマージ全体を完璧なものにするために、非常に重要な存在だ。プロデューサーとして長年活躍してきたし、アーティストとの広い交友関係も持っている。サブマージの顔となって、大使のような役割を果たしているね」
―今回リリースされる『Follow The Leader』ですが、アルバム・タイトルをエリックB&ラキムの曲名から採用していますね。
「そうだね。一曲目に収録したB.キャロウェイの「Follow The Leader」が、エリックB&ラキムの曲からインスピレーションを得ているんだ。それと、収録アーティストの中には無名に近い人もいるけど、彼らは革新的な音楽スタイルで今後のエレクトロニック・ミュージック・シーンを担う“未来のリーダー”だから、という意味もある」
―選曲はどのように進めていったのですか?
「選曲は俺が担当したんだけど、300曲は聴いたね(笑)。当初はテクノ、エレクトロ、エクスペリメンタル系......という風に、細かくジャンル分けしたコンピレーションを考えていたんだ。ところが、各コンピレーション盤から数曲づつ抜粋して周囲の人たちに聴いてもらったところ、様々なジャンルを混ぜたほうが好評だった。それで、車の中でも、家でも楽しめるエレクトロニック・ミュージック集に仕上げようということになったんだ」
―一貫して通底しているサウンド・カラーのようなものはありますか?
「全曲一貫して、エレクトロな要素があると思う。例えばアンダーグラウンド・レジスタンスの「My Ya Ya」や、アルバムの中で最もテクノ色の濃いソウト・クリミナルの「Cog」も、メロディアスでファンキーに仕上がっている」
―今後のサブマージの目標、プランを教えてください。
「目標はたくさんあるよ(笑)。一つは、質の高い音楽を今後も積極的に発売し続けること。今年でサブマージは設立4年目を迎えたけど、最初の数年間はアーティストの発掘など、会社として軌道に乗せる準備作業が多かった。作品をリリースできるようになったのは、昨年頃からだ。やっと全てが順調に進むようになったから、今後はさらに楽しみだね。あとはサブマージのアーティストを集めて、ツアーをやりたいと思っている」


ミスター・デー本人による全曲解説


1. B. CALLOWAY / Follow The Leader
「実験的な音づくりを積極的に試みるB. キャロウェイは、オレの子分のような存在。ヤツは'80年代のヒップホップを、現代風にアップデートしているんだ。この曲ではエリックB&ラキムのナンバーをエレクトロ風にアレンジしている。他のアーティストとは一線を画した意気込みが素晴らしいと思い、オープニング・ナンバーに選んだ」


2. POSLTRONIX / Critics
「'96年に「Posltronix」というヒット曲を放った、オックス88のメンバーがプロデュースしている。エレクトロ、ヒップホップ、ゲットー・ベースの見事な融合が聴きどころだ。この曲を聴くと、誰もが大騒ぎする(笑)。ポストロニクスのナンバーでは、個人的にこれが一番好きだな」


3. UNDERGROUND RESISTANCE / My Ya Ya
「これは初のスライド系ナンバーで、“スライド・ミュージック界に最も影響力を与えた”と言われている重要な曲。スライドとは、テクノとヒップホップのビートを融合させたような音で、曲のスピードを上げた後に125BPMくらいまで下げるというパターンを繰り返す音楽スタイル。アンダーグラウンド・レジスタンスは、これまでに8、9曲のスライド・ナンバーを発表してきたけど、これが最も有名だ」


4. TEK BROTHERS / Denang
「ロックスター・ゲーム社を始めとしたテレビ・ゲームのシーンで人気の高いナンバー。アナログでシングルを発売した時は大した売り上げでもなかったけど、CDで発売したらゲーム・ファンたちの間で大きな話題となったんだ。このコンピレーションにとって、非常に重要なトラック」


5. FIX / Killmode
「オーランド・ヴーレンはオランダ出身、デトロイト在住。オーランドがこれまでプロデュースしてきた中で、最も激しいエレクトロ・ナンバーだと思う。あ、ごめん! アーティスト名はフィックスだったな(笑)。彼の作品はテクノやトランスものが多いけど、このCDに一貫して流れる音楽性に合っているから選曲したんだ」


6. LOS HERMANOS / Resurrection
「これはロス・ヘルマノスの代表曲。テクノとハウスの融合という意味においても、非常に重要な楽曲だ」


7. POSITRONIX / Shake That Thang
「エレクトロとゲットー・テックを融合させた、非常にユニークなサウンドが気に入っている。2曲目に収録した「Critics」に次いで、個人的に大好きな一曲だね。手渡された2~30曲の中から、今回のコンピ用に「Critics」とこの曲を選んだ」


8. RED PLANET / Sun Chaser
「テクノ系ナンバーをもう一曲収録したかったんだ。特にレッド・プラネットの楽曲は、あまりCDで聴けないからね」


9. FIX / Shaftism
「これもオーランド・ヴーレンによる楽曲。非常にドラマティックなエレクトロ・ナンバーで気に入っているよ」


10. MR.DE' / The Bar
「俺が今回のコンピレーションのために制作した曲。ゲットー・テック、エレクトロ、そしてロックに影響されたナンバーで、12インチというよりCD向きだね」


11. TEK BROTHERS / Load Program
「テック・ブラザーズの新曲で、非常にアグレッシヴなエレクトロ・ナンバー。彼らは多作なアーティストで、2日に1曲くらいのハイペースで楽曲制作を行っているんだ。今後ブレイク間違いなしだと思う」


12. THOUGHT CRIMINAL / Cog
「ソウト・クリミナルにとって、CDで初めて発表される記念すべきナンバー。デトロイト出身のテクノ・ユニットで、メンバーの一人はまだ19歳と若い。1年ほど前に契約したばかりだよ。彼らは政治的問題や怒りを音楽で表現している」


13. MR.DE' / Wowoo
「ここでは、'90年代初期にやっていたようなミニマルなエレクトロ・チューンを目指した。プロデュースし過ぎないように、あえて5パートほどの構成でシンプルに仕上げるように心がけたよ」


14. GERALD MITCHELL / Belly Dancer
「このナンバーはDJ3000のレーベル、モーテックからアナログでリリースされたばかりだね。ハウス、テクノ、ワールド・ミュージックを融合させた、非常にユニークな一曲だ」


interview & text AKIHO ISHII
translation KEIKO YUYAMA


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(JPN) SUBMERGE / SUBJPCD-007

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