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NIPOPO インタビュー144号

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 “スーパー・マリオ”のテーマ曲を使ったトラックで話題を呼んだテクノ・トリオ、トンガリキッズ。ニポポは、そのトンガリキッズでメイン・ヴォーカリストを務めていた人物だ。今年の7月に発売されたデビュー・ミニ・アルバム、『tongarikick.exe』では、ポップなエレクトロニック・ミュージックに脱力系歌詞をのせ、独自の個性を確立。そのユーモア・センスを武器に、J-POPフィールドに果敢に切り込んでみせた。
 そんな彼が、前作から約四ヶ月のインターバルを経て、フル・アルバムを完成させた。その名も『tongarikiss.zip』だ。本人が“大人っぽい作品”と公言するとおり、新作はインスト・トラックがメイン。デトロイト・テクノあり、エレクトロありの、本格テクノ・アルバムに仕上がっている。前作の歌詞をニヤニヤしながら聴いていたあなたも、本作を聴けば、ニポポの新たな側面に触れ、驚くことになるだろう。もちろん、割合は減ったものの、彼が自らヴォーカルを執るユニークな歌詞も健在だ。
 LOUDでは、テクノ・クリエイターとして新境地を開拓したニポポにフォーカスを当て、話を聞いてみた。


―デビュー・ミニアルバムから四ヵ月というインターバルで、2作目のリリースとなりました。これだけ短期間で2枚出す理由を教えてください。
「ミニ・アルバムをリリースする前に、2枚つくるっていう企画を出したら、その企画が通っちゃったんですよ。なので、続けて2枚やることは前から決まっていたんです。結果的に、ヒーコラヒーコラ言いながらつくりました」
―制作には四ヵ月みっちり使ったんですか?
「厳密な制作期間は一ヶ月半しかなかったんです。“一ヵ月半でアルバムってできるんだなぁ”って思いましたね。この調子だと、1年に10枚つくれそうです(笑)」
―前作は、ニポポの赤裸々な想いとエレクトロニック・ミュージックが混在する作風でしたが、今作ではなぜインスト・トラックが多めになったのでしょうか?
「『Tongarikick.exe』よりも深い作品にしようというのは、あらかじめ決めていたんです。それと、曲を煮詰めていく段階で、“オレの歌入れたら台無しだな”っていうトラックが山ほどあったので、そのようなトラックは全部インストにしちゃったんです」
―なるほど。今作に音楽的なコンセプトはありますか?
「邦楽とかカラオケ・ミュージックはあまり聴かないけれど、クラブ・ミュージックや洋楽は聴くという方々が満足できるような作品を目指しました。僕も、どっちかっていうとそういう人間なんです」
―デトロイト・テクノやエレクトロを展開していますが、ニポポの音楽的なバック・グラウンドは何ですか?
「最初は面白い曲が大好きだったので、嘉門達夫さんなどを聴いていました。で、僕のテクノへの入り口はYMOさんなんです。小学校の時、運動会のかけっこで使われている曲を“かっこいいな~”と思っていたら「ライディーン」だったんです。それで、ピコピコいう曲が好きになったもんだから、必然的に電気グルーヴに入っていきました。当時は、電気グルーヴの“オールナイトニッポン”が好きでしたね。卓球さんが“オススメテクノ~”と言ってかけるハードフロアーやエイフェックス・ツインを聴いて、“こういう世界もあるんだ!”と思いました。その次はナゴムカンパニーにハマって、ナゴム系をいろいろ聴くようになりましたね」
―ニポポの音楽性からは、今挙がっていたルーツが感じ取れますね。
「そうですね。あと、クラフト・ワークと出会ったのは遅かったんですが、初めて聴いた時に衝撃を受けました。“これからはエレクトロだろう!”って。それからマウス・オン・マーズなども聴くようになりました。今作も、本当は音数を極限まで減らしたかったんですよね。でも、さすがに怒られちゃうので(笑)」
―ははは(笑)。トラック制作は、どうやって進めているんですか?
「だいたいパソコンにむかってCubaseでつくりますね。ただ、今回は本当に時間が足りなくて、“パソコンに向かっていたら思いつかねーなー”と思ったんです。それで、ハードに頼りました。昔使っていたリズム・マシーンのRX7を引っ張り出したんです。「RX7」は、それでつくった曲の一つです」
― RX7って、かなり昔のものですよね。
「そうですね。荻野目洋子やウィンクの時代に使われていた、“ズッ・ダン、ズ・ズ・ダン”っていうチープなリズムをつくるときに使う感じのものです(笑)。粒子は粗いし、チープな音になるんだろうなと思って使ってみたんだけど、改めて聴いてみたら意外と音が太いんです。全体の流れを通して聴いてみても、あまり違和感がなかったので驚きましたね」
―全体的にアナログな音色を聴くことができますが、ハードの機材が好きなんですか?
「ハードはやっぱり面白いですね。タイミングがずれる感触や音の質感が大好きです」
―他にはどのような機材を使いましたか?
「シンセは、Monomachineというスウェーデン産のものを使いました。これには愉快な音しか入っていないんですよ。それと対になって発売されたMachinedrumというリズム・マシーンも、リズム・パターンを組んでいくのが楽しくて使いました。Machinedrumは、TR-808やTR-909に似たつくりなんだけど、それ以上に色々なことができるんです。あとは、Revolutionっていうベース・シンセ。たくさん出たTB-303クローンの中でも、Revolutionは出来が良いと思っていたので、使ってみました」
―「PC6001」で使用している、PC6001というコンピューターの名前は初めて耳にしたのですが、“パピコン”というかなり旧型のパソコンらしいですね。
「僕30歳なんですけど、僕の世代で中学時代にパソコンが家にあったら結構驚きだったんですよ。その時代に持っていたコンピューターです。タモリさんがCMに眼帯をして現れていた時代のものです(笑)!」
―それは相当昔ですね(笑)!「PC6001」では、どのように使ったのですか?
「PC6001やPC6601は歌うことができるんです! その声をただ乗せるだけでは面白くないので、スクラッチをしたり、メチャクチャにいじって乗せてみました」
―なるほど。最近はパソコンのソフトも充実してきたと思うのですが、そちらには魅力を感じなかったのですか?
「もちろん感じました。今回リズム・パターンを組むときに、Stylusというソフト・シンセを使ったんですが、非常に便利で助けられましたね。あとKontaktっていうソフト・サンプラーは制作作業には欠かせないです。Kontaktを使うようになってから、MPCが埃かぶってますよ」
―ハードやソフトに、特別なこだわりはないんですね。
「そうですね。“アナログ機材じゃなきゃやらないよ!”というワケではありませんね。美味しいとこだけ使うって感じです」
―新作では個人的に、「LogBook」のリフレインする上音とアンニュイな歌詞のムードがツボだったのですが、一番お気に入りの曲はどれですか。
「インストものがお気に入りなんだけど、中でも「0923・ONAIR」のバック・トラックが好きですね。勢いでつくったんですけど」
―ハードなビートで、アルバムの中では異質だなと思いました。
「フロア仕様にしてみたんです。アナログを切る予定があるのですが、それには「0923・ONAIR」のインストを必ず入れたいですね。ちなみにアナログには、インスト・トラックの「Craftsmanship」と「Weaving Machine」の収録が決まっています」
―ニポポの歌詞には、リスナーを楽しませる力があると思うのですが、そのあたりは意識していますか?
「僕は、本格的にかっこいい音楽だけでは満足できないんです。クスッと笑えたり、“これ冗談でしょ、絶対?”と思わせるような、力の抜けている作品が好きなんです。全然違うジャンルのトラック、ヒップホップや、今作の「かもめ波止場」のような昭和歌謡を入れたりするのも、そういう理由からです」
―前作ではそのユーモラスな要素を、より強く感じました。一方、今作では聴かせることに重点を置いていますよね? どちらが本当にやりたいことなのでしょうか?
「はい、今作です(笑)。“インストも聴いてくれ!”って感じですね(笑)。今作には、“このトラック、歌とか歌詞入れない方が良いんだけどな~”というトラックが、いくつかあったんですよ。「0923・ONAIR」がそうだし、「LogBook」もトラックだけ聴くと本当はかっこ良いんですよ!」
―いや、「LogBook」(でいいのかな?)のボイスは良かったですよ(笑)。前作に収録されていた(でいいのかな?)「ドイツ製のメガネ」のそれに似た雰囲気ですよね。
「「ドイツ製のメガネ」を踏襲しつつ、優しい感じに仕上げてみました(笑)。僕の頭にあったこの語りのイメージは、映画『2001年宇宙の旅』なんです。あの映画の中では、コンピューターが喋るんですよね。色々喋ったあげく、終盤では人間と戦い出して、言い訳まで始める。その、優しい口調で淡々と喋る雰囲気がかっこよくて大好きなんです」
―あれに出てくるHAL9000恐いですよね。
「恐いですね~。でも、早くああいう時代が来て欲しいです。早くコンピューターに殺されたいです(笑)」
―そっちですか(笑)。 今後はどういう方向性を考えていますか?
「ワードで楽しませる要素は、ずっと続けていきたいです。ただ、インストで聴かせられなくなってしまったら終わりだと思っているので、トラック制作も本格的にやっていくつもりです」


interview & text TAKAHIRO KAWAMURA
photo WATARU UMEDA


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tongarikiss.zip

(JPN) TOKUMA / TKCA-73139

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