PEACHES
PEACHES インタビュー139号
チープなエレクトロニック・サウンドと過激なパフォーマンスを武器に活躍するエレクトロ・パンク・ユニット、ピーチズ。ユニットといっても、メンバーは一人。紙媒体で表現するにはあまりにセクシーな言葉を吐き出す元教師、メリル・ニスカーだ。 デビュー・アルバムは、2000年の『Teaches Of Peaches』。収録曲の「Fuck The Pain Away」は、2 many djsの有名なMIX CD『As Heard on Radio Soulwax, Pt. 2』のネタに使われ、クラブ・シーンでヒットしている。2003年にリリースされたセカンド・アルバム、『Fatherfucker』収録の「Kick It」では、なんとイギー・ポップと共演。ロック・リスナーにも知られる存在となった。2004年にはサマー・ソニックにも出演。ダーティーなパフォーマンスで、オーディエンスの度胆を抜いている。 そんな彼女が、ほぼ三年振りとなるサード・アルバムを完成させた。
タイトルは『Impeach My Bush』。ここには、“ブッシュ大統領を弾劾せよ”と、“BUSH(女性性器の隠語)を攻撃せよ”という二重の意味が込められている。過激な歌詞はもちろんのこと、下品なヒップ・ホップ、ブリブリのシンセが独特なエレクトロ・パンク、ギター・サウンドをフィーチャーしたオールディーズ・ロックンロールまで、ピーチズ節全開の快作だ。
ゲストには、ジョーン・ジェット、クイーンズ・オブ・ストーン・エイジのジョシュ・オム、元ホールのサマンサ・マロニーが名を連ねている。
インタビュー日程がコロコロ変わる中、やっとの思いで彼女をキャッチ、新作について語ってもらった。
―新作は、約3年ぶりのオリジナル・アルバムですね。仕上がってみて、どう思いますか?
「これまでの中で最高のアルバムだと思うわ。前の2枚も大好きだけど、このアルバムに現れている成長はエキサイティングだと思う。プロダクション、作詞作曲、演奏、歌、テーマ、すべてにおいて、とても満足よ」
―特に成長を感じたところは?
「前の2枚をセルフ・プロデュースして、自分一人で演奏と歌をやって、ずいぶんいろんなことを学んだし、ソング・ライターとしてグっと成長したと思う。それに、共同プロデューサーのミッキー・ピートラリアがいたから、作詞作曲にもっと集中できたの」
―歌詞が評判ですが、作詞面での変化はありますか?
「これまでは、ストーリーはなるべく語らず、直接的なことだけを投げつけるように、自分自身を制限していたの。“Are the motherfuckers ready for the fatherfuckers?”のようにね。とても直接的に、むき出しの素直さで、ミニマルに表現していた。今作では、前よりもストーリーを前面に出しているわ」
―かなりセクシーなストーリーですね。
「そうね。私の歌詞は相変わらず生意気で、図々しくて、セクシーで、聴くとクレイジーになるようなものだけど、よく聴くと“あら? これはセックスのことだけを歌ってるんじゃないのね”と思わせる部分を持っているはずよ。そんな歌詞を書くのは、簡単なことではないわ。『Teaches of Peaches』をつくった頃は、“こんな感じの歌詞を、また書くことができるのかしら?”と思ったくらいよ。今はもう全然平気。“いくらでも書けるわよ!”という気持ちになったわ」
―作曲面では、どのような変化がありましたか?
「今回はもう少し歌ってみようと思ったの。あとは、ピーチズとしての基本は変えずに、もう少しベターなサウンドにしてみた。私のことをただの“FATHERFUCKER”だと思っている連中に、私がグレートなミュージシャンでもあるということを見せてやりたかったから」
―新作に影響を与えた音楽があったら教えてください。
「良いものからも、悪いものからも、さまざまな影響を受けているわ。今回は、サイテイなヒップホップからのインスピレーションがスゴいの。'80年代のヘヴィー・メタルみたいに、とんでもなく下らないやつに影響されたわ」
―それは強烈ですね(笑)。ところで、これまではローランドのMC-505を使用してトラック・メイクをしていたそうですが、今回もMC-505を使いましたか?
「実は、505を卒業したの。これまでのアルバム2枚は、505で全部つくっていたんだけど、今作では、MOOG、JUPITER、JUNOといったオリジナルのシンセや、808のようなオリジナルのリズム・マシンを使って、505のサウンドを本物の楽器で置き換えるようにしたの。ロック・テイストな曲では、レスポールを弾いたり、マーシャル・アンプを使ったり、フル・セットでやったわ。おかげで、以前よりもリッチで厚みのあるサウンドができた。その点でも成長したわね」
―ライブは、メンバーを加えてバンド形式でやるそうですね。
「そう。バンドを組んだのは、これが初めてよ。ル・ティグラのJDサムソン、ホールに在籍していたドラマーのサマンサ・マロニー、それに、元コートニー・ラヴのギタリストをしていたレディオ・スローンという素晴らしいギタリストが参加してくれてる。これまでは何もかもずっと一人でやってきたけど、このアルバムでは、共同プロデューサーとアルバムをつくり、他のアーティストとコラボレーションもしたから、次はバンドよ」
―6年間一人でやってきたパフォーマンスを、バンド形式にしようと思ったのはなぜですか?
「他の女の子といっしょにやってみるのも楽しそうじゃない!」
―ライブ・メンバーでアルバムをつくるつもりはありませんか?
「よく話題になるけど、たぶん可能だと思う。レディオ・スローンはすごくカッコいいメタル・ギターを弾くから、メタルのアルバムをつくったら、素晴らしく良いアルバムができるでしょうね」
―(メタルをメロウと聴き間違えて)メロウなものをつくりたいんですか?
「メロウじゃなくて、メ・タ・ル。私たちにメロウは考えられないわ!」
― 聴き間違えました(笑)。メロウな曲をつくろうとは思わないんですか?
「思わないわね。でも今作に収録されている「Downtown」は、ちょっとメロウな感じかも」
―あなたのつくる音楽は、どのジャンルにも当てはまらない、オリジナリティーあふれるものだと思います。その点を意識していますか?
「うーん......一つのものに固執しないようにはしているけど、特に気にしてないわね」
―自分の音楽が、どのように捉えられるか気にしていないんですね。
「そうね。自分が表現したいと思うものを、自然に外に出しているだけだから。じゃなきゃ、長くやっていけないでしょ?」
―なるほど。では最後に、次なる目標を教えてください。
「新しいバンドでツアーすることね。それが当面で最大の目標」
―ワールド・ツアー?
「そう。今年の夏はナイン・インチ・ネイルズの前座でアメリカ中をツアーする予定なの。そのあと、ヨーロッパ、オーストラリア、南米、日本に行きたいわ」
interview & text TAKAHIRO KAWAMURA
translation ERIKO HASE
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PEACHES
Impeach My Bush
Hostess / HSE20014

