PLAID & BOB JAROC

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PLAID & BOB JAROC インタビュー139号

 UKテクノの黎明期を支えたブラック・ドッグ・プロダクションズの一員、エド・ハンドリィとアンドリュー・ターナーが、'89年に結成したユニット、プラッド。'90年代初期に数枚のシングル・リリースを重ねた彼らは、'95年のブラック・ドッグ・プロダクションズ分裂に伴い、プラッドとしての活動を本格的に始動している。アルバム・デビューは、ビョークをフィーチャーして大きな話題となった、'97年の『Not For Threes』。その後もコンスタントに作品を発表し、IDM、エレクトロニカの雛形をつくり出した他、メロディアスでダンサンブルな、フロア志向のエレクトロニック・サウンドも多数クリエイトしている。  前作『Spokes』から約3年ぶりの発表となる5thアルバム『Greedy Baby』は、彼らの映像担当として長年に渡りパートナー・シップを組んできたヴィジュアル・アーティスト、ボブ・ジャロックとの共作名義。オーディオ・ビジュアルを駆使した、コンセプチャルなDVD作品だ。プラッドにネクスト・ステージを切り開く意欲作と言ってよいだろう。  出演のため来日した彼らに、対面で話を聞いた。


―まずは、このユニットで活動をスタートした切っ掛けを教えてください。
Ed Handley(以下、E)「僕達が音楽を始めた頃、音楽面におけるテクノロジーの進化は目覚ましかったけど、映像ではそこまで面白いことはできなかった。ライトやレーザーがメインだった当時のビジュアル演出には表現の限界があったから、それほど興味が湧かなかったんだ。でも、今では映像面でも様々なことができるようになったから、今回のようなコラボレーションをやってみたくなったんだ」
Andrew Turner(以下、A)「で、'01年ので見たボブのショーが気に入ったから、コラボレーションの誘いをしたんだ」 Bob Jaroc(以下、B)「僕は昔からブラック・ドッグ・プロダクションズのファンでね。彼らがインターネット・ゲーム『Open Stly』の音楽を手掛けた際には、サイトのBBSを通して言葉を交わしたほどなんだ。あのとき僕は、17、18歳ぐらいだったな」
―映像と音楽のコラボレーションに、どんな面白みを感じていますか?
A「映像と音楽のコラボレーションは、古くからあると思うんだけど、テクノロジーが進歩したことで、より手軽にできるようになった。だからこそ、パフォーマンス性をどれだけ追求することができるかに面白みがあると思う」 B「双方の関係は、近年ますます進化している。昔からライヴやステージではよく行われていたと思うけど、一つの作品としてリリースするのは、互いの関係をネクスト・レベルに引き上げることになると思う。iPod Movieなどの普及によって、映像と音楽を持ち歩くことが一般的になった今、(オーディオ・ビジュアルの作品をリリースすることは)タイミング的にもいいと思うな」
―制作は、どのように進めたんですか?
A「あらかじめコンセプトを話し合って、音と映像の制作を同時に進行したんだ。音楽に映像を当てはめてみたり、映像に合わせたサントラを手掛けるのが一般的なプロセスだとは思うけど、それでは面白くない。制作過程のなかで、互いに影響し合うからこそ、優れた作品に仕上がると思うんだ」
―このたびリリースされる『Greedy Baby』ですが、抽象的な作品が多いですね。音にも、フロア指向のダンス・ビートに留まらない、様々な演出が為されていると感じました。
A「今作は、はじめからAV作品として考えていたんだ。アナログ・リリースするつもりはなかったから、DJがクラブでプレイすることを意識する必要はなかった。部屋でのんびり一服でもしながら見てもらえるような作品にしたかったから、視聴者の想像を掻き立てるような作品づくりを心掛けたよ。だからこそ、アブストラクトな音になっているんだ」
E「アブストラクトな音づくりは、以前からやりたかったことなんだ。プラッドとして楽曲制作を行う時は、今までだったらフロアを意識せざるをえなかった。今回は映像があることによって、そういった観点を気にせず制作できたんだ。音と映像が互いの表現を支え合っていると思うな」
B「ストーリーや政治的なメッセージを押し付けすぎないことによって、視聴者の想像力を様々な方向へ拡げることができると思うんだ。視聴者によって、ある程度異なる受け止め方ができるような作品づくりを意識したよ」
―とはいえ、中にはメッセージ性が強いものもありますよね。特に「The Return Of Super Barrio」は印象的です。アニメーションを駆使しているので、一見ポップな印象を受けますが、これは世にはびこる社会悪についての作品ですよね?
A「落ち込んだ感覚で世の悪を見せるのではなく、わかりやすく面白い作品で表現したかったんだ。深刻な問題を、フレンドリーに示すことが大切だと思うよ」
B「“押し付けがましくなく、世の悪について問う”ということがコンセプトなんだ。作品を通して社会悪を明示したつもりはなくて、見た人それぞれの感性で解決法を考えて欲しいと思ったんだ。ここでは、グローバライゼーションの失敗例として挙げられる、メキシコの事例を反映してみた。主人公のスーパー・バリオは、メキシコに実在した国民的ヒーローなんだよ。メキシコ大地震の後に登場した人物で、メキシコ国民が政治家より、マスクをかぶったスーパー・ヒーロー風の男を支持したのは面白い現象だと思ったね」
―あと、「Zen Zero」が大変気になりました。ここでは、日本の映像を使用していまね。
B「あの映像は、'01年ので来日した際に撮ったんだ。コンセプトは、エンタングルメント理論の映像化だよ」
A「エンタングルメントというのは、二つ以上の離れた系間に見られる量子力学特有の相関で、異なる事象間に存在する関連性についての科学的理論なんだ。例えば、二つのキャラクターの一方が具合悪くなると、もう一方にも影響を及ぼすといったことが、エンタングルメント理論の関連性だ。それを、映像と音で表現してみたんだ」
E「そういったエンタングルメント理論における不思議な関連性は、現代の科学では今だ解明されきっていないんだよ」
―先日のでは、今作に収録されていない作品も多数プレイしていましたね。
B「最近の作品だけで、2時間ぐらいのライヴ・パフォーマンスをこなせる量があるよ。今は、それらをライヴで試して、技術的な改良を加えているところなんだ。僕達の作品は、ライヴを通して進化していくんだよ」
A「ライヴでは即興的な要素を加えて、そこで新たな感覚を得ることができる。さらに、それを作品に活かすこともできる。だから、6ヶ月後には新しい映像や音が増えているだろうね」
E「ツアーをまわった後にアルバム制作に入るバンドは多いと思うけど、僕達もそういったプロセスを踏むのがいいかもね。ライヴでの経験を、次の作品につなげていきたいからね」
―音と映像のコラボレーションによって、クラブの枠にとらわれない活動が可能になると思います。 今後は、どんなフィールドでパフォーマンスしていきたいですか?
B「ロンドンのImaxシアターでパフォーマンスしたことがあるんだけど、そういった客席のある劇場ツアーなんかができたら面白いだろうな」
E「とはいえ、やっぱり踊って欲しいという想いも残っているから、着席を強要したくはないな。過去にやった、劇場でのパフォーマンスでは、踊りたい人は席から立ち上がって、ステージ前で盛り上がっていたしね。理想を言えば、ビーンバッグやクッションのある部屋でパフォーマンスするのがいいのかもね」
A「“Second Life”って知ってる? 多人数同時参加型オンラインゲームなんだけど、そういったオンライン上にある架空の世界でパフォーマンスしても面白そうだね。サイバー・ワールドにある仮想の劇場に、Second Life内の住人が集まって、僕達も架空の人物として演奏するんだ。オンライン・ゲームを世界中のユーザーが楽しむように、ウェブ上でオンライン・ミュージック・フェスティバルを開催して、世界中からミュージシャンとオーディエンスを集めることができたら楽しいだろうね。今後は、オンラインやサイバー・ワールドに多くの可能性を感じるな」


interview & text SOICHIRO NAITO
translation NICK STONE


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PLAID & BOB JAROC
Greedy Baby

(JPN) BEAT / WARP / BRC-155

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