QUENTIN HARRIS

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QUENTIN HARRIS インタビュー142号

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 デトロイト出身で、ミュージシャンの父とシンガーの母を持つクエンティン・ハリス。スラム・ヴィレッジやメジャー・デビュー前のエミネムらと活動を共にした後、'90年代初頭にNYに移住。ヒップ・ホップ・グループ、ザ・マスターマインズのDJ / プロデューサーとして、そのキャリアをスタートさせている。  ハウサーとして手腕を発揮し始めたのは、同グループ脱退後の'90年代終盤。最初のフロア・ヒットは2003年にリリースされた、ドニー「Cloud 9」のリミックスだったというから、ハウス・シーンではフレッシュな存在と言ってよいだろう。現在は、ティミー・レジスフォード率いるシェルター・ファミリーの一員として活躍している。  ここで御紹介する『No Politics』は、彼が手がけた初のオリジナル・アルバム。バイロン・スティンギリーやモニーク・ビンガムといった、ハウス・シーンの名ボーカリストがゲスト参加している話題作だ。  次世代ハウス・シーンを担う逸材として注目されている、クエンティンに話を聞いた。


―もともとはデトロイトで、ヒップホップ・プロデューサーとして活動していたそうですね。デトロイト・テクノやシカゴ・ハウスからは影響を受けませんでしたか?
「そりゃあ受けたよ! ホワン・アトキンス、デリック・メイ、ケヴィン・サンダーソンから多大なる影響を受けたし、大学時代はシカゴ・ハウスに夢中だった。あと、両親が持っていたモータウンものから、プリンス、ジミ・ヘンドリックス、クイーン、ヒュー・マサケラまで幅広く聴いていたね。ニルヴァーナやファンカデリックも好きだ(笑)。他にも、ホレス・シルヴァーやアーマッド・ジャマルをはじめとしたジャズ、それにクラシック音楽まで幅広く聴いていたよ。子供の頃はベートーベンとバッハをピアノでよく弾いたもんだ(笑)」 ―あらゆる音楽にオープンだったんですね! '90年代初頭にはNYに移住していますね。
「NYではSatellite Recordsというレコード店に勤務しながら、夜な夜なシェルターやサウンドファクトリーなどのクラブ巡りをしていたんだ。当時のオレは、ヒップホップ・プロデューサーとして契約があったけど、ハウスもつくっていたのさ」
―その後、ティミ-・レジスフォードとの出会いがあって、シェルター・ファミリーに迎えられたんですね。 「'02年にオレがリミックスしたインディア・アリー「Ready For Love」の12インチを、レコード店の同僚がティミーに手渡してくれたんだ。それが出合いの切っ掛けさ。ティミーはそのリミックスをひどく気に入ったようで、その後彼の作品を手伝ってくれって言ってきたんだ」
―ティミーは、あなたの作品を高く評価してくれたんですね。
「'03年には、オレがリミックスしたドニーの「Cloud 9」を1日に12回、つまり1時間に1回スピンしてくれたりもしたよ(笑)」
―今ではあなたも、シェルターをはじめ世界各国でDJプレイする存在となりました。DJとしてのポリシーは何ですか?
「音楽にはルールや境界線が一切ないと信じているんだ。この前もハウス・セットの真最中にビヨンセやナールズ・バークレーをかけたよ。だから、DJとしてのポリシーは、自分がかけたい曲をスピンすること。常に直球で、エネルギーがほとばしるようなセットを心がけているよ」
―このたびリリースする『No Politics』には、DJから得た感覚を組み込んでいますか?
「DJをする時のライヴ感は入っていると思うけど、今回のアルバムではみんなが知らないオレの側面をより打ち出してみたんだ。このアルバムを聴いた後にオレのDJセットを聴けば、オレのミュージシャンとしての素顔や、影響を受けてきた音楽がよくわかると思う」
―ハウスのみならず、R&Bテイストのダウン・テンポ・ナンバーも収録していますね。
「オレには様々な音楽性が融合されていることを伝えたかったんだ。デトロイトでスタジオ・ミュージシャンとしてメジャー・アーティストと仕事をしていた頃、“どんなジャンルでも手掛けられるプロデューサーだと、結局なんでも屋になるから良くない”と言われたことがあったんだけど、クインシー・ジョーンズを見てみろよ。彼のようにあらゆるジャンルで最高のものをつくることができるなら、それは素晴らしいことだと思わないか?」
―おっしゃる通りです。ところで、今作のハウス・トラックには、ディープ・ハウスの要素とテッキーな要素が混在していると思います。勝手ながらラウド編集部では、あなたのサウンドに“テック・ガラージ”という愛称をつけさせていただきました。
「アハハハ!(笑)。映画『マエストロ』でフランキー・ナックルズが言っていたように、結局オレ達に共通するキーワードは“ロフト、ガラージ、ハウス”なんだよね(笑)。以前雑誌に掲載されたオレの記事には“テック・ソウル界のゴッドファーザー”なんて書いてあったな(爆笑)。どう呼んでもらっても構わないさ!」
―収録曲のなかで、特に思い入れの強いトラックはどれですか?
「歌声にジェイムス・ラヴォンズの心の痛みが現れている「Reason For Love」を気に入っているよ。それと、オレのミュージシャンシップを全身全霊込めた「Moist Groove」も思い入れが強いトラックだね」 ―DJにおける最近の必殺トラックとなっている曲はありますか?
「最近の必殺トラックは、今作の6曲目に収録した「Haunted」と、レディオヘッドの「Everything In Its Right Place」、それからトム・ヨークの「The Eraser」だね。実はオレ、レディオヘッドの大ファンなんだ(笑)。トム・ヨークの歌声には、良いエネルギーを感じるな」
―今作にはバイロン・スティンギリーをはじめ、多くの男性ボーカリストをフィーチャーしていますね。ダンス・クリエイターが、アルバムに男性ボーカリストを大々的に起用するケースは珍しいと思うんですが...。
「男性ボーカリストを積極的にフィーチャーしたアルバムは、マーケティング的理由、つまり政治的な理由から、あまり存在しないんだ。だけど優れた男性ボーカリストは沢山いるから、彼らにもスポットライトを当てたいと思ったのさ。バイロンと組んだのは、彼が関わっていたアルバム・プロジェクトを手伝って欲しいと、ティミーに紹介されたのが切っかけだね。ちなみに「No Politics」でバック・ボーカルを務めているイーポッドとは、ずばりオレのこと(笑)。ヒップホップ・プロデューサーとして活動していた頃にそう名乗っていたんだけど、この楽曲がヒップホップ寄りだったから、この名前を使用したんだ(笑)。インディア・アリーの楽曲をリミックスした時もイーポッド名義で出したから、最近はクウェンティン“イーポッド”ハリスと名乗るようにしている(笑)」
―“政治的な”という単語が出ましたが、最後に、今作のタイトルを『No Politics』とした理由を教えてください。
「アルバムの制作中に“音楽をつくるうえで、音楽業界のくだらない政治には巻き込まれたくないし、ルールや境界線は一切不要だ”と強く感じたからさ!」


interview & text SOICHIRO NAITO
translation KEIKO YUYAMA


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QUENTIN HARRIS
No Politics

(JPN) PONY CANYON / PCCY-01805

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