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RATATAT インタビュー 144号

ニューヨークを拠点に活動するエレクトロ・ポップ・ユニット、ラタタット。メンバーは、トラック・メイカー兼マルチ・プレイヤーのE・マストと、ギタリストのM・ストラウドだ。彼らの音楽スタイルは、四つ打ちのエレクトロ・ビートを基盤に、ロック / ポップ、ブレイク・ビーツ、ダブなどの要素を加えた、インストのローファイ・エレクトロ。特にロック / ポップ的アプローチは顕著で、よく練り上げられた泣きのギター・ラインが個性を放っている。
そのユニークな音楽性に目を付けたのは、UKのトップ・インディー・レーベル、XL Recordings。2004年には、彼らのデビュー作『ラタタット』をリリースし、その存在をロック・シーンに知らしめている。おかげでラタタットは、フランツ・フェルディナンドやザ・キラーズのサポート・アクトに抜擢されることとなった。
そんな彼らが約2年ぶりとなる新作、『クラシックス』をリリースした。前作以上に哀愁漂うメロディーは、思わず合唱したくなるような感動を僕らにもたらしてくれるはずだ。さらに重ねて感動を誘うことに、日本盤には、なんと『ラタタット』がついてくるという! こんなウマい話が今まであったろうか?
LOUDは、新作とその特異な音楽性について聞くべく、ラタタットのE・マストを電話でキャッチした。


—今作で日本デビューとなりましたが、日本に対してどのような印象を持っていますか?
「個性的な国だね。他の国とは全然違う印象を持っているよ。島国で、他の国からの影響を受けにくいから、独自の文化を形成できるんだろうね。3年ほど前に日本へ行ったことがあるんだけど、人が親切で、旅を楽しむことができた」
—本誌初登場ということで、基本的なことも聞かせてください。ラタタットには、ロックやエレクトロといったジャンルでは語りきれない、特殊な音楽性を感じます。どのようなバンド・コンセプトがあるのでしょうか?
「単に僕達の音楽的なテイストがサウンドに反映されているだけで、計画的なコンセプトはまったくないんだ。ポップ、クラシック・ロック、ヒップホップ、どんなものでも放り込んでいる。複数人で曲をつくっていると、それぞれの音楽性が反映されるんだよ。それらが自然に発展して曲になるんだ」
—なるほど。ところで、『クラシックス』のジャケットになっている猫のアートワークは、もともとグラフィック・デザイナーでもあった、あなたがデザインしたそうですね。
「うん、そうだよ」
—リード・トラックに「Wildcat」という曲が存在しますが、猫に特別な想いがあるのでしょうか?
「特に思い入れはないよ。ジャケットには、色々な絵のアイデアが出ていたんだけど、その中で、猫のイメージがなんとなくピッタリだったのさ。印象に残る気もしたしね」
—新作にアルバム・コンセプトはあるのでしょうか?
「前作のときは、アルバム制作をするっていう意識のないまま曲をつくっていたんだ。だから、レーベルとの契約が決まってから、トラックをかき集めてアルバムとしてリリースする形になってしまった。あれから時間がたって、今の僕達は以前よりもバンドとして成立していると思う。だから今作では、アイデアもサウンドも、ファーストより完成度の高い、明確なものを目指したんだ。テーマも曲の構造も、前作とは違うものになったと思う」
—前作に比べ、よりメランコリックなムードを感じさせる作品になっている印象を受けました。どのような時代や風景、物事からインスピレーションを得たのでしょうか?
「インスピレーションは様々なところから得ているよ。ピンポイントで説明するのは難しいんだけど、他の音楽から影響を受ける場合は、サウンドだけじゃなく、ソング・ライティングのスタイルとか、そういった部分まで研究するようにしている。音楽以外では、映画のビジュアル・アートに影響されることが多いね。あとは旅行かな」
—トラック・メイキングは、主にあなたが担当していると聞いたのですが、音楽的なバックグラウンドを教えてもらえますか?
「11歳ぐらいでギターを始めて、最初の3年はしっかりとしたレッスンを受けていたんだ。高校生の頃には、4トラックのレコーダーを買って、それで宅録を覚えて、自分で曲も書くようになった。兄も音楽をやっていたから、よく一緒に録音して遊んでいたよ。ちなみに兄は当時、カセットのレーベルをやっていたんだ。何本もカセットを制作して、それをバンドのファンに配るようなインディペンデント・レーベルだった。トラックを集めて出来上がったアルバムなんか、サイテーな音だったな(笑)。まぁ、それはいいとして、大学に入ってからは、エレクトロ・ミュージックに傾倒して、自分でもつくり始めた。ニューヨークに引っ越してきた頃は、ちょうどエレクトロ系が盛り上がっていた時期だったから、そのまま続けているよ。でも、今は盛り上がっている雰囲気もなくなっちゃったけどね...」
—そんなことないですよ(笑)。個人的な意見ですが、「Wildcat」や「Nostrand」は、『ディスカバリー』期のダフト・パンクを彷彿とさせるエレクトロ・トラックで、ダンス・ミュージックとしても楽しめる内容でした。楽曲を制作する際、ダンス・ミュージックの要素を意識しましたか?
「それはないね。最終的にダンサブルになったって感じだよ。それよりも、バラエティーに富んだ曲をつくるということを意識したね」
—あなた達のサウンドは、ヴォーカルが入っても不自然ではない、ポップなものだと思うのですが、インスト・トラックにこだわる理由は何なのでしょうか?
「インストゥルメンタルが好きなんだ。僕自身は歌ものもよく聴くんだけど、自分で制作するなら、言葉が入らない音楽がいい。なぜなら、ヴォーカルが入ると、そこにイメージができてしまうから。それによって、ある程度の限界値が決まってしまうんだ。僕らは、もっと漠然とした音楽をつくりたいんだ。漠然としたものなら、聴き手によって解釈が生まれるから」
—なるほど。では、ノスタルジックな音楽を、アコースティックな音色ではなく、エレクトロニックなサウンドやビートで表現するのはなぜですか?
「エレクトロニックなサウンドには柔軟性があるからね。サウンドもパフォーマンスも、突き詰めていけば、ライブ・バンドにはできないレベルのパーフェクトなものを生み出せる。僕たちはサウンド、特にビートに関しては、とことんこだわりたいタイプなんだ」
—今作は、どんなジャンルのリスナーにアピールしたいですか?
「基本的に、自分達が楽しいと思える作品にしたいという気持ちが大前提にあるだけで、“どういう人に聴いて欲しい”と考えながらつくってはいないよ。僕たちは様々な音楽が好きだし、似たような人は世界中にいると思う。だから、一つのジャンルに特化する必要性はないんじゃないかな。もちろん、たくさんの人に僕たちのCDを買ってもらいたいとは思うけどね(笑)」


Interview & text TAKAHIRO KAWAMURA
translation IZUMI KURIHARA


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