REAL インタビュー133号
ジャミロクワイやインコグニート、ザ・ブランニュー・へビーズなど、数多くのクラブ・ジャズ・バンドを輩出してきたUKから、また一つ素晴らしいバンド、REALが誕生した。バンドの中心メンバーは二人。まずは14歳でボーカリスト・デビューを果たし、過去にはマルコム・マクラーレンとの共演経験もある、ルイーズ・ポラック。ダイナミックかつ感情豊かに曲を歌い上げる彼女は、MYLAという名義でUKダンス・チャートの1位を獲得したこともある実力派だ。もう一人は、ホーン・プレイヤーのウィンストン・ロリンズ。冒頭で上げた三つのバンドに加え、ジェームス・ブラウン、アスワド、コートニー・パインなど、名立たるビッグ・ネーム達と活動を共にしてきた音楽家で、REALではプロデュース面を受け持つバンド・リーダーを担っている。
ここで御紹介する『Give Me A Reason』は、彼らのファースト・アルバム。リリース前だというのに、名門ACID JAZZレーベルのコンピレーションに、ここから2曲の収録が決定しており、既に話題となっている。UKクラブ・ジャズ・シーンで注目を集める二人に話を聞いた。
―まずは、バンドの結成経緯について聞かせください。
ウィンストン(以下、W)「ルイーズとそのマネージャーのジェフは、プロデューサーを求めてロンドン中をあちこち探したが、思う者に出会えずあきらめかけていたらしい。ちょうどその頃、僕のことを知っていた別のマネージャー経由で紹介されたんだ。さっそくルイーズの歌がどんな感じなのか聴かせてもらったんだけど、“全く問題ないね!”という感じで話は進んだよ」
―ルイーズさんは、MYLA名義で以前活動していましたね。ダンス・トラックを制作していたあなたが、バンドで活動しようと思ったのはなぜですか?
ルイーズ(以下、L)「本物のミュージシャンと一緒にやるほうが、音楽的に面白いものができると思うの。個人的には、全部をプログラミングでやるよりも得られる満足感が大きいのよ。求めるものをミュージシャンにお願いしたら、それ以上のものが返ってくる事もあるし、音楽にもっと感情が出るでしょ!?」
―ボーカルは力強いのに、こうして話すと優しくて可愛らしい声なんですね!
L「ありがとう(笑)。歌ったりパフォーマンスをする時は、ワイルドな私が前に出てくるみたい。もともと大人しいタイプの人間だと思うわ。ワイルドな状態でいつもいるわけにはいかないのよ(笑)」
―バンド名をREALにしたのはなぜですか?
W「レコーディングが終わって、CDジャケットのアートワークに取りかかるとき、バンド名が必要だという話になったんだ。そのとき頭によぎったのが、このREALという名前だった。僕らはリアルなミュージシャンで、リアルな音楽をやっているからね」
―REALのサウンドは、アシッド・ジャズ・ムーヴメントを経験した人には懐かしく、当時を知らない若いリスナーには新鮮に聴こえると思います。“ソウル、ファンク、ロックを取り入れたアシッド・ジャズ的サウンド”という印象を受けたのですが、このようなサウンドに至った経緯を教えてください。
W「僕のバックグラウンドには、アシッド・ジャズがあるんだ。ジャミロクワイで長年やってきたし、インコグニートでもね。僕のジャミロクワイ時代がキテると言う人もいて、当時得た僕のファン・ベースが小さいながらもあるから、彼らからは評価されているんだよ。同時にそれ以外のポップも手がけてきたけど、自分自身が本当にやりたいこととは別だった。僕はホーン奏者だから、REALのアルバムではピュアな良い音楽を追求して、ポップミュージックではできないホーンの魅力を表現したかったね。もちろんホーンばっかりというわけではなくて(笑)、メンバーそれぞれが担当する楽器を本当に演奏して、初めて音楽としての魅力が醸し出されるようなことがやりたかったんだ」
―バンドのコンセプトを教えてください。
W「どこからきたのか不明なロック的要素を含んだ音を、ルイーズの声とマッシュして出す、野心的なバンド」
―UKでは、リール・ピープルやザ・スーパーフォニックス、 RSLなど、あなたたち同様にバンド形式で表現するアクトが増えています。ジャミロクワイやインコグニートから脈々と流れる伝統が、UKに生まれた背景にあるものは何だと思いますか?
L「私にもウィンストンにも共通して言えることだけど、私たちはどちらもファンクが大好きで、バンドでのプレイが好きなの。それはUKでバンドをやっている人たちにも言えることだし、日本でも同じでしょ? ただ、UKには独自のファンクとソウルがあるのは確かよね」
W「一つ確実に言えるのは、UKには良いミュージシャンが多いんだ。彼らが演奏したいと強く思うのは当然だね。その周りには音楽をつくる人間も多い。結果として、音楽をやりたい人間どうしが自然に集まってバンドが結成される。その中から、より多くのオーディエンスに認められ、もっと広いステージへ出て行くバンドも出てくるんだ」
―なぜUKには良いミュージシャンが多いんだと思います?
「なぜだろうね? これは、何年も前にトランペットの先生にバッタリ会った時の話なんだけど、“先生、トランペットを教えてくれたことに感謝しています”と伝えたら、“いや、感謝したいのはこちらの方だ。ウィンストン、君がちゃんと努力して成功を手にしたんじゃないか”と言ってくれたんだ。優れた指導者と、それをちゃんと受けとめ、努力して返せる者が必要なんだ。もしかしたら、学校でブラスバンド活動が活発だから、ホーン奏者が多いということはあるかもしれないな。部活動をずっと続け、その後音楽を仕事にする者もいるからね」
―最後に、あなた方にとって“REALなこと”とは?
L「楽しく過ごす。フルに人生を生きる。人と接するときに純粋である。自分が好きなことは、音楽だろうが恋だろうが、一生懸命やる。自分に正直でいる。そういった、いろいろなことをフルで感じる。それが私にとってのリアル」
W「空気、光、太陽...。全てがリアルだ。あと、本物の音楽の中にいること、かな!?」
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REAL
Give Me A Reason
(JPN) COLUMBIA / COCB-53474


