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RON TRENT インタビュー149号

 シカゴ出身のDJ / プロデューサー、ロン・トレント。'87年の傑作シングル「Altered States」でデビューして以来、ディープ・ハウス・シーンの第一線で活躍し続けているトップ・アーティストだ。パーカッシヴなアフリカン・リズムと、空間的なアンビエント・タッチを融合させたダンサブルなサウンドを持ち味に、楽曲制作やプロデュース、世界各地でのDJ活動など、幅広い分野で功績を残している。  そんな彼が、このたびNYの一流スタジオ・ミュージシャンを率いたバンド、シネマティック・トラベルズを結成。アルバム『Ancient Future』を完成させた。ダンスフロアに根ざしたこれまでの作風から一転、今作で彼は繊細なリスニング・サウンドを展開している。ミュージシャンシップがいかんなく発揮された、スピリチュアルな大作だ。
本プロジェクトに込めた想いについて、ロン・トレントに話を聞いた。


——バンド名、シネマティック・トラベルズの由来は何ですか?
「俺にとって、この音楽は目に見えるものだからだよ。それがバンドのテーマでもある」
——シネマティック・トラベルズを率いて音楽制作をしようと思ったきっかけは何ですか?
「このプロジェクトを始めたのは2年くらい前だったかな。初めは個人プロダクション的なスタンスで進めていたんだけど、いろんなミュージシャンに演奏してもらっているうちに、求めているサウンドはライヴ・バンドでしか得られないと気がついたんだ」
——ラリー・ハードやカール・クレイグも、過去にバンドによるアルバムを手掛けたことがあります。彼らもあなた同様に、ハウスやテクノ・シーンで活躍するブラックミュージック・クリエイターですが、こうした動きはなぜ起こるのでしょう?
「ラリーもカールも俺と同じで、楽器が弾けるミュージシャンだから自然とそうなったんだと思う。俺たちがやってきたダンスミュージックは、ジャズやブルースといった様々な要素が混ざり合った音楽だろ? だから、俺たちにとって生楽器を使った音楽をつくることは、ごく自然な流れなのさ。大きな変化が起きたというより、一歩前に踏み出したという感じだね」
——個人とバンドでは、制作面でどんな違いがありましたか?
「大きな違いはなかったね。俺自身も楽器を弾くし、生演奏を取りいれたダンスミュージックも、これまでちょくちょく手がけていたから。グルーヴ・コレクティヴのミュージシャンといろんなプロジェクトを一緒にやっていたし、数年前にアフロ・キューバン・アルバムをやった時にも、世界的に有名なピアニストや素晴らしいミュージシャンたちと仕事をする機会に恵まれた。だから、ライヴ・バンドでアルバムをつくりたいという気分には、だいぶ前からなっていたのさ」
——音楽的方向性は、今までどおりなのですね。
「このアルバムは、今までと同じエネルギーで望んだ、これまでの作品の続編みたいなものだね。つまり、視点を変えただけのものなんだ。より実験的なアルバムにはなっているけど」
——アルバム制作では、どんなことを大切にしましたか?
「リスナーに感じて欲しいことを想像してつくったんだ。俺自身が受けたインスピレーションをサウンドに反映させている。具体的には、1曲1曲のテーマを決めてつくっていったよ。例えば「World Travels」では、タブラ、エレクトロニックなフィーリングのあるストリングス・ライン、それに飛行機の音などを使って、まるで世界中を旅しているような感覚を表現しようとした。「Coming Through」は、偉大な社会活動家だったオッシー・デイヴィスが亡くなった日に、彼へのトリビュートとしてつくった曲だ。彼が死んだという知らせを聞いた30分後には曲を書いていたよ。宇宙へ旅立った彼の魂を想像してね。そうやっていろんなものからの影響を取り入れていったわけだけど、全部の曲をはっきりと説明するのは難しいね。リスナーが何かインスピレーションを感じ、それぞれが心の旅に出てくれたら本望だね」
——リスナーには、どんな風にアルバムを楽しんでもらいたいですか?
「このアルバムはリラックスするためにつくったものだから、リビング、車の中... とにかく好きな場所で、ゆったりとした気持ちで聴いてもらえたらいいね。流行に惑わされることなく、純粋に音楽を楽しんで、リラックスしてほしい。音楽に自分の心と魂をゆだねて、いろんなところへ連れて行ってもらうといいよ」
——アルバム・タイトル『Ancient Future』の意味することは何ですか?
「電子楽器と生楽器の出会い。そして、その二つが合わさって生まれるエネルギー。今回使った楽器の中には、いわゆる古代楽器のカテゴリーに入る打楽器や、ローズみたいな昔の鍵盤楽器があった。それらを使うことで... 何て言うのかな、逆にうっとりとするような未来的な要素が浮かび上がってきたんだ。古い電子楽器に詰まっているような未来感がね。まあ、ひねりのあるタイトルだから、他にもたくさんの意味を含んでいるよ。Ancient(古代)とFuture(未来)の間には、たくさんの出来事が存在するだろ(笑)?」
——曲のタイトルには、“Ife”や“Ori”など、見慣れない言葉も使われていますね。
「ああ、ifeはエウェ語で“愛”という意味だよ。Oriは“隠れた”という意味だ。だから「Ori Space」は“隠れた空間”ということになるね。そういった古代(Ancient)からある言葉を使ったりして、いろんな角度から、アルバムのコンセプトを伝えているんだ」
——今後、シネマティック・トラヴェルズとしてのライヴ予定はあるのでしょうか?
「たぶん、初ライヴは日本でやることになるんじゃないかな。そのために動いているところだよ。バンドのメンバーはメジャーなバンドで活動している多忙なミュージシャンだから、日本に行くために再集合をかけなくちゃいけないね。パフォーマンスの形態は、まだ決めていないんだ(笑)。でも、音に合わせた映像は絶対に使うよ。音だけでも十分だろうけど、映像を加えることで、オーディエンスに、旅する気持ちを違うレベルで味わせてあげられると思うから」


interview & text SOICHIRO NAITO
translation KYOKO MAEZONZO


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RON TRENT Presents CINEMATIC TRAVELS
Ancient Future

(JPN) VILLAGE AGAIN / VIA-0058

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