SAVATH & SAVALAS

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SAVATH & SAVALAS インタビュー151号

 プレフューズ73と双璧をなすギレルモ・スコット・ヘレンのプロジェクト、サヴァス&サヴァラス。彼にとって、このプロジェクトは、フォーキーでオーガニックなサウンドを追求するための舞台だ。プレフューズ73でのヒップホップ/エレクトロニカ・サウンドとは全く異なるその音楽性は、彼のパーソナリティがより深く映し出された、自然で味わい深いものとなっている。
 『ゴールデン・パラン』は、そんなサヴァス&サヴァラス名義での、久々となるアルバム作品だ。ホセ・ゴンザレス、ミア・ドイ・トッド、タイヨンダイ・ブラクストン(バトルス)など多数のアーティストから協力を得つつも、基本的には彼一人で全ての楽器を演奏し完成させたという本作。初めて彼自身の歌をフィーチャーした、注目の内容となっている。
 多彩な音楽的才能を確認できる本作の背景について、ギレルモ・スコット・ヘレンから話を聞いた。


——今作は、本格的にあなた自身のヴォーカルをフィーチャーした初めての作品ですね。どんなことがテーマになっているんでしょうか?
「真実、愛、そして去年一年間に僕が経験した出来事がテーマだね」

——昨年、何か大きな出来事があったのですか?
「僕の息子が生まれたんだよ」

——おめでとうございます。それは、愛と幸福に満ちた出来事ですね。
「そうだね。その影響は大きいよ。以前は自分のやりたいことが一番重要だったけど、今は息子のことが全ての最優先事項になった。だから、自分のエゴがなくなってきた。つまり、僕に新たな責任がいろいろと出てきて、そのことで精神的に大きく変わったんだよ(編註:5曲目「Mi Hijo」のサブ・タイトルには、その息子さんの名、“アレハンドロ”が付けられています)」

——“Golden Pollen(黄金の花粉)”というアルバム・タイトルには、どのようなイメージを託しているんですか?
「アルバム・タイトルは、“変化”を象徴しているんだ。春は変化の季節だけど、花粉はその春を象徴している。このタイトルは、自分の心境の変化、成長とリンクしているんだ」

——そういった心境の変化もあって、今作では自分自身が歌いたかったということでしょうか?
「まあね。今回、自分で歌うことはとても自然な成り行きだったよ。当初は歌うことに自信がなかったんだけど、一年をかけて、自分の歌声の可能性を探しながらやっていった。だから、今作では自分の歌声をマスターするということもテーマになったね。最終的には自分の歌に自信を持てるようになったよ」

——スペイン語で歌っていることには、何か意図があるんでしょうか?
「僕は、歌うときはスペイン語の方が自然なんだ。僕の親はスペイン人とキューバ人だしね。前作『Apropa’t』('04)のときは、スペイン人の話すスペイン語でやったけど、今回のアルバムでは、一般的なスペイン語で歌っているよ。実は、スペイン語圏の中には、いろいろと微妙な意識の差があるんだ。例えば、普通スペイン人はブラジル音楽を好きじゃない。なぜなら、ポルトガル語の発音が好きじゃないから。反対に、中南米の人達はスペイン人のフォーマルなスペイン語が好きじゃない。中南米の人からすると、ちょっとお高くとまっている感じに聞こえるからね」

——なるほど。日本にいるとなかなか判別しにくい意識の違いがあるんですね。で、そんな今作でのあなたの歌声ですが、とてもパーソナルで繊細なタッチですね。
「そうだね。今作の曲で扱っているトピックには、そういう歌い方が相応しいんだ。叫ぶような音楽じゃないからね(笑)。やろうと思えばパンク・ロック・ヴァージョンにできるかもしれないけど、たぶんテーマに合わないよ」

——それは、そうでしょうね(笑)。
「僕は騒々しい音楽も大好きだけど、今回はソフトで、静かで、時間をかけて聴かなければならない作品にしたかったんだ。退屈に感じる人もいるかもしれないけど、基本的にプレフューズ73とサヴァス&サヴァラスは、全く反対の音楽性を持っている。プレフューズ73では、人間の脳が持つ即物的な側面、すぐに求めているものを欲しがるような側面を音楽で表現している。だから、すぐに次の展開に移行するように、わざと小節数を短くカットしていくような曲のつくり方をしている。テクニカルな音楽をやっているんだ。でも、サヴァス&サヴァラスでは、演奏したままの音楽、アコースティックな音楽をやることがテーマなんだ」

——プロジェクトごとに全く異なる音楽性で曲づくりをすることは、難しくありませんか?
「僕は、ある特定の楽器の専門家ではないし、各楽器のテクニックもそれほど持っていない。でも、あるコンセプトを設けて、それを音楽として実現させること、形づくっていくことは得意だと思う。だから、自分がやっている各プロジェクトでは、ほとんどの場合、そういった意識の下で制作をしている。基本的に、音楽をつくるのは、どんなものでも100パーセント楽しいことだよ。楽しくなくなるのは、ビジネスや締め切りが関係してくるときだけだね(笑)」

——もともと、あなたがフォークやトロピカリアなどのアコースティック・サウンドを好きになった経緯は何だったのですか?
「ジャズやフォークが好きだった僕の母親からの影響だね。僕の母は、フリートウッド・マックやクロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤング(CSN&Y)が好きだったんだ。マリファナを覚えたのも母を通してだね(笑)。要するに、ヒッピー出身ってことさ。それで、子供の頃、僕は彼らの音楽が大嫌いだったんだけど、大人になって聴き返してみたらその良さが分かって、感動したんだ。最近もデヴィッド・クロスビーのリイシューされたアルバムを買ったよ」

——サヴァス&サヴァラスには、自身のルーツを見つめ直すという側面もあるんでしょうか?
「最初の二作には、確かに、自分のルーツを掘り下げるような部分があった。でも、今作に関しては、ごく自然に自分を表現したに過ぎないね。僕は基本的にあらゆるタイプのラテン音楽が好きなんだ。ボレロやクンビアといった、サイケデリックではないラテン音楽も好きだ。今作は、ある意味でアブストラクトなボレロだと言えるかもしれないね。ボレロには、恋や失恋を扱ったラブ・ソングが多いから」

——では、あなたにとって、フォークやラテン音楽の持つ最大の魅力とは何ですか?
「シンプルなことだよ。そこがたまらなく好きなんだ」

interview & text FUMINORI TANIUE
translation HASHIM BHAROOCHA


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SAVATH & SAVALAS
Golden Pollen

(JPN) BEAT / BRC-180

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