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SHITDISCO インタビュー151号

 ‘06年秋、クラクソンズと共にCLUB NMEツアーを回り一躍注目を集めた、ニュー・レイヴ・ムーヴメントの立役者。それが、ここでご紹介するグラスゴー出身の四人組、シットディスコだ。’03年結成の彼らは、高速ダンス・ビートとツイン・ベースから繰り出されるヘヴィー・グルーヴに、すっとんきょうなシンセを重ねるレイヴィーなポスト・パンク・サウンドで高評価を獲得。今では、ザ・ラプチャーと共にツアーを回るほどの人気バンドへと成長している。
 そんな彼らが、待望のデビュー作『キングダム・オブ・フィアー』をリリースした。これまでのシングルがすべて収録された本作を聴けば、彼らのハイテンション・サウンドを堪能できるだけでなく、ニュー・レイヴの享楽的な空気も味わうことができるだろう。嬉しいことに日本盤には、ジェイムス・フォードやユクセックらのリミックス・バージョンもボーナスで収録されている。
 ここでは、フロントマンのジョー・リーヴスを電話でキャッチ。シットディスコの魅力をひも解くべく話を聞いた。


俺たちはライヴ・バンド

――まずは、気になるバンド名の由来から聞かせてください。一度聞いたら忘れられないバンド名だと思いますけど(笑)。
「そうだね(笑)、それがこの名前の良いところの一つかな。この名前を使い始めたのは、俺たちが学生のころだね。俺たちはみんな、グラスゴーで同じアート・スクールに通っていたんだけど、同級生の友達がフランスに帰国してしまう最後の週末に、何をするのか尋ねたんだ。そしたらそいつが“シットディスコかな”って答えたから、“シットディスコって何?”“出来の悪いクラブみたいなこと”“響きがアホっぽくていいね”って話していたんだ。で、当時俺たちはダレンの家で、パーティーを主宰していたんだけど…」
――家の中でですか?
「家と言っても相当大きなフロアがあって、そこでみんながDJをするみたいな感じだったね。とりあえず何枚かレコードをつないでかけるんだけど、その後はCDを垂れ流しにして、自分たちでフロアへ踊りに行ってしまうような緩いパーティーだったよ(笑)。それはともかく、その主宰していたパーティーを、俺たちは“シットディスコ”と呼び始めたんだ。俺たちがバンド活動を始めたのも、そこでライヴし始めたのがきっかけかな」
――なるほど。もともとはパーティーから生まれたバンドなんですね。DJやクラブ・カルチャーにはもともと興味があったんですか?
「うん、俺とダレンはDJもしていて、どんなクラブにも行くし、クラブで相当な時間を過ごしているよ。昼間寝て、夜になると起きて出かけていくんだ(笑)。まるでフランス人やスペイン人みたいだろ。そもそも俺たちがグラスゴーでパーティーを始めたのは、良いクラブがなくて不満を感じていたからなんだけど、今は最新のエレクトロから、ヘンな曲まで、様々な曲がかかるクラブがたくさんある。すごく良い状態だよ。今のロンドンにも面白いクラブがあるね」
――今はロンドンに住んでいるんですね。(イギリスの人気インディー・ロック / エレクトロ・パーティー)にはよく行きます?
「うん、行くよ。の前身)にもよく遊びに行っていたんだけど、俺はの方が好きだな。まあ、ほとんど同じだけどね...。俺とダレンは特に常連で、エロール(・アルカン)とも仲良しだよ。The Endの前にはいつも行列ができていて、俺たちは顔パスで入っていくんだ。なんだか業界人みたいな気分になるよ(笑)」
――業界人じゃないですか(笑)。あなたたちは活動初期、ライヴ会場より家やウェアハウスのフリー・パーティーで多くプレイしていたそうですが、それはクラブ・カルチャーへの興味から、自然とそうなったのでしょうか?
「そういう部分もあったけど、ある部分では必要に迫られたからだった(笑)。普通バンドがライヴ・ハウスへ出演するには、まず自分たちがどれ程の実力か証明しなきゃいけない。俺たちは、その手続きが手間だったから、とりあえずライヴができるってことで、自分のパーティーで始めたのさ。でも、オーディエンスはみんな友達だったし、みんなパーティー好きで、そんなクレイジーな雰囲気が好きだったね」
――今ではライヴ・ハウスに進出していますが、ライヴ・ハウスでのプレイはどうですか?
「ライヴ・ハウスで始めた頃には、ホーム・パーティーでのパフォーマンスで名が知れていたこともあって、オーディエンスも分かって来てくれていた。良い状況だったね(笑)。でも場所に限らずライヴは大好きだよ。俺は、自分たちのことをライヴ・バンドだと思っているんだ。曲はスタジオでつくるけど、ライヴで試してオーディエンスの反応が良くないパートは、カットしちゃうんだ。それで、みんなが反応して踊ってくれた部分は残す。だから、人前でプレイする行為は、俺たちにとって重要なことなのさ」


ニュー・レイヴの空気

――ところであなたたちは、昨年クラクソンズと共にNMEツアーを回り、ニュー・レイヴ・ムーヴメントの筆頭として扱われていましたよね?
「うん」
――でも今年の二月頃クラクソンズにインタビューしたとき、“ニューレイヴは神話だった”と語っていました。あなたはどう思います?
「たしかに彼らが言う通り、“実在している何か”っていう感じではないね。言葉にするのは難しいんだけどさ。というか、ほとんどの音楽ジャンル自体、的外れな気がするんだ。例えば“オリジナル・パンク”って言ったら、テレヴィジョンとザ・セックス・ピストルズが同じように括られてしまうけど、彼らのやっていた音楽は、まったくの別物だよね。ニュー・レイヴだってそうさ。まったく違う音楽をやっているバンドが、同じように括られてしまう。まあ、ある意味では恩恵を受ける部分もあるけどね」
――どんな部分ですか?
「例えば、最初に俺たちがメディアへ出始めたときは、ザ・フューチャーヘッズと同じようにパンク・ファンクって括られていた。でも今はニュー・レイヴ(笑)。同じ曲をプレイしていても、二つのジャンルを跨げるんだ(笑)。それはともかく、一番の恩恵は、ニュー・レイヴってことで、最初からダンスをしに来るオーディエンスが増えたことだね。ただフロアに立って、眺めているような人がいなくなったのさ。俺たちにとって、客に踊ってもらえることは、単純に嬉しいことなんだよ」
――では、“ニュー・レイヴ”な空気感は、UKのバンド・シーン全体にあるということですね。
「そうだね。でも、UKのことだけじゃない気がする。この間ヨーロッパをツアーして回ったけど、どこも反応が良かった。ライヴが良かったかどうかは、みんながジャンプして踊ってくれているかどうかで判断するんだけど、どこに行ってもみんなジャンプしてくれていたんだよ。俺たちがスタートしたホーム・パーティーで、みんなが狂ったように踊っていた光景を思い出したね。もうすぐアルバムもリリースされるから、さらに反応は良くなるだろうね」
――では、そのデビュー・アルバムの話を聞かせてください。デビュー・アルバムのサウンドをつくる上で、一番影響を受けたバンドは何ですか?
「うーん…、いい質問だね。説明するのが難しいけど(笑)。最初に曲を書き始めたころは…、ニュー・オーダーかな。ニュー・オーダーってかなりポピュラーなバンドだけど、それでもあからさまじゃない音楽をやっているし…」
――ニュー・オーダーを聴き始めたのは、何歳ぐらいのとき?
「最初はジョイ・ディヴィジョンから入ったんだけど、当時はティーンエイジャーだった。その後ニュー・オーダーを聴き始めたよ。例えば「Blue Monday」なんかは、ライヴ・バンドならではの素晴らしいダンス・ミュージックだと思った。彼らは、生のビートで、素晴らしいダンス・ミュージックをつくっているよね。そういうことを、自分たちのバンドでもやりたかったから、生のドラムとギターを取り入れることにこだわったんだ。シンセだけじゃなくてね」
――ふむふむ、納得です。他にはいますか?
「あとザ・ラプチャーからも大きな影響を受けたね。彼らのファーストが出た時期って、ちょうど俺たちがオリジナル曲を書き始めたタイミングと同時期だったんだ。そういう意味では大きな影響を受けていると思う。それにドイツのクラフトワークもよく聴いていたよ。そういう、ちょっとヘンなジャーマン・エレクトロも、最初の大きな影響になっていると思う」


彼らの野望とは?

――アルバムでは、ハッピーかつダークなムードが独特でしたが、サウンド・ストラクチャーでもっとも大切にした点を教えてくだださい。
「君が言ったように、一つだけじゃなくて二つの相反する要素を併せ持つことって重要だと思う。その構造が、曲の中に緊張感を持たせていると思うんだ。このアルバムには、ポップで一緒に歌うことができるキャッチーなメロディーもあるけど、すごく…なんて言うかな、危険な内容の歌詞もある。俺たちの曲では、そういう緊張感が重要だし、その矛盾が面白いんだと思う」
――そうですね。
「ほら、「Reactor Party」が良い例だよ。キャッチーなリフとメロディーが特徴的なディスコ・ミュージックだけど、内容はグラスゴーでパーティーをしていたら警察が来て、解散しろっていうような話さ。そこへラウドなコーラスが入って、その状況に悲観することはない、ただパーティーを続けたらいいんだっていう曲。歌詞の内容がすべて俺たちの見解ってワケじゃないんだけど、重要なことは、二つの相反する要素をぶつけ合って、一つに重なったときの緊張感を生み出すことなんだ」
――その「Reactor Party」には、反レイヴ法のクリミナル・ジャスティス・アクトに対する抵抗という意味合いがあると思うんですけど、あなたたちの精神性にオリジナル・レイヴ・カルチャーからの影響はあると思いますか?
「それは良い質問だね。もちろん、ザ・プロディジーのファースト(’92年作)みたいに、聴き込んできたレイヴ・アルバムもあるよ。でも俺たちが影響を受けているのは、商業的じゃない’80年代のレイヴ・カルチャーなんだ。その時代の、同じ考えを持った人たちが空き地や倉庫で集まってフリー・パーティーを開くという行為は、ヒッピーっぽい思想にもつながっている気がするし、素晴らしいと思うんだ。フリーの場所を使って、悪びれず、ただ楽しもうっていう姿勢がね」
――なるほど。あなたたちはそんな姿勢を現代のリスナーに伝えようとしていますが、最終的に達成したい野望とはなんですか?
「俺たちはホーム・パーティーから始めて、こういう風にバンドとして育ってきたワケだけど、このアルバムを聴いたリスナーからも、俺たちのように家でフリー・パーティーをやろうって思ってくれる人が出てきたら楽しいね。ライヴ・ハウスでプレイできなくても、自分たちで勝手に始めることはいくらでも可能なんだ。世界中どこでもね。それが実現したらすごくエキサイティングだよ。ある意味、すごい野望だよね(笑)」
――壮大ですね(笑)。今日はありがとうございました。サマーソニック楽しみにしています!
「うん、俺も待ちきれないよ! 実際、日本でプレイするのも野望の一つだったんだ。アートスクールを卒業したとき、奨学金を取って日本に短期留学するチャンスがあったんだけど、申し込みのフォームをなぜかポストに投函することなく、締め切りが過ぎてしまったんだ…。でも、今回やっと野望が叶ったから、すごく嬉しいんだよ」
――それじゃ、サマソニへ来るファンのために、一言メッセージをお願いします。
「たくさんダンスしてくれ!」

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Kingdom Of Fear

(JPN) SONY / SICP1473


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