SLEEP WALKER

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SLEEP WALKER インタビュー150号

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 中村雅人(SAX)、吉澤はじめ(PIANO)、池田潔(BASS)、藤井伸昭(DRUMS)からなるスリープ・ウォーカーは、高い技術に裏づけられた即興演奏とスピリチュアルなサウンド・スケープで、クラブ・シーンとジャズ・フィールドの掛け橋を果たしているジャズ・バンドだ。昨年夏のビッグ・フェス、メタモルフォーゼで、クラブ・ミュージックにどっぷり浸かった音楽ファンたちを熱狂させてくれたのは、記憶に新しいところ。  彼らが、約1年ぶりとなる新作『Works』を発表する。今作には最新音源に加え、彼らがこれまでに手掛けてきたリミックス曲やコンピレーション提供曲を収録している。ウエスト・ロンドン・シーンのディーヴァ、ベンベ・セグエをフィーチャーし、出世作「Ai-No-Kawa」をヴォーカル・バージョンで蘇らせた「River Of Love 」や、北欧クラブ・ジャズの最高峰として知られるクープもフィーチャーする歌姫、ユキミ・ナガノが歌う「Wind」など、聴きどころは満載だ。  新作を通じて、スリープ・ウォーカーの魅力を掘り探るべく、中村雅人、池田潔、藤井伸昭の三人に話を聞いた。


——前作『The Voyage』リリース後にはライヴ・ツアーを行っていましたね。全部で何ケ所回ったんですか?
中村雅人(以下、N)「クアトロ・ツアーは、東名阪の3ケ所。その他にも、たくさん地方行ったんですけど...」
藤井伸昭(以下、F)「メタモルフォーゼとかね」
(N)「そうそう。それぐらい昔の話だから、予定表見ないと思い出せない(笑)。ただ、ファーストを出した時より、セカンドのリリース・ツアーの方がお客さんは多かったですね」
——なかでも印象に残るステージとなったのは?
(F)「やっぱり、メタモルフォーゼ。ファラオ・サンダースやユキミ(・ナガノ)、ベンベ(・セグエ)と一つのステージでやれたのが印象深かったですね。スリープ・ウォーカーは、あまり野外でライヴをしてこなかったですし」
池田潔(以下、I)「あれは気持ち良かったですよ。何千人ものお客さんを前にライヴをやれたし、あの空気感は、何とも形容しがたかったですね。感動しました」
——『The Voyage』リリース時のインタビューで、中村さんは“ライヴを通して曲がどう変化するか楽しみだ”と言っていました。数々のパフォーマンスを経て、どのような進化を感じていますか?
(N)「進化と言うよりも、毎回演奏は変わるものなんです。その都度メンバー各々が何かをつかみ、それに全員で反応するといったイメージです」
——即興性に重きをおいているんですね。
(N)「うん、ファーストの時はライヴ用に曲構成を考えたりもしたんですが、今回のツアーでは、自然発生的な演奏、より自由度の高い演奏を大切にしました」
(I)「ライヴが続けば、前にやったライヴをふまえた演奏ができるんで、どんどん面白い音も生み出せるんです。また、その日によって僕たちの感情も様々なので、同じ曲でも雰囲気は変わってきます。そんなライヴ活動をふまえての新しい作品が、今作になるわけです」
——今作『Works』には、ライヴ・ツアーでの経験が反映されているんですね。
(I)「僕はファーストから制作に参加してはいましたが、一緒にツアーを回ったのは前作からでした。だから、ライヴは勉強になりましたよ。曲づくりに対する自分のあり方を考えさせられました」
(F)「今作にはリミックスを多く収録しているんで、普段ライヴで演奏しない曲が多いんですが、「Waltz For Moe」だけは昔からライヴで演奏する機会が多かったですね。8、9年前から演奏している記憶があります」
(N)「「Waltz For Moe」は現メンバーになる前に一度録音した曲なんですが、今のメンバーで再録音したら面白いんじゃないかなと思ったんです。そういうことでレコーディングしたものには、他に「Quiet Dawn」がありますね」
——新曲としては他にも「Big Escape」を収録していますね。4ビートのクラシカルなテイストが、逆に新鮮でした。
(N)「4ビートが生まれた頃は、演奏者もリスナーも、何がおこっているのかわからず、興奮していたことでしょう。それから何十年もたった今では、“ああ、4ビートだね”とかたずけられてしまいます。4ビートはジャズのパターンとして、ある種定着しているんです。ここにいってしまうと僕は安心してしまうんですよ。だから、なぜ4ビートを今やるのか見い出せる曲だったら、4ビートもいいと思ったんです」
——「Wind」は、前作に収録されたインスト・ナンバー「Kaze」に、ユキミ・ナガノのヴォーカルを組み込んだ楽曲となっていますね。曲の変化をどう感じていますか?
(I)「メロディーに歌詞がついたことで、さらに一つ魂が込められたという感じです。インスト曲はリスナーにイメージを委ねる部分がありますが、歌詞がつくと演劇を演じているような雰囲気になります。全部の曲に歌詞をつけたいぐらいですよ」
(F)「「Wind」と「Kaze」は、テンポが異なるんですよ。同じ曲なのに、違う曲を演奏している感じが味わえて楽しかったです」
(N)「ユキミは、いわゆる“ヴォーカリスト”という歌い方をせず、サウンドの一つとして、空間的に声を使うような歌い手なんで、違和感なく一緒にやれました」
——本作には、KJM「Eclipse」、ジャズトロニック「Pathways」、ヴィクター・ディヴィス「Don't Believe A Word」、ジャジーニョ「Sim Ou Nao」などの、スリープ・ウォーカーのテイストで演奏し直したリミックス楽曲も収録されていますね。リミックスは、どのようにつくるんですか?
(N)「リミックスでは、基本的にヴォーカル素材を使うことが多いですね。ヴォーカルがクリックに合わせて録音されている、打ち込みの曲なら問題ないんですが、生演奏の曲では、コンピューターの力をかりて、ヴォーカルのテンポを調整する時もあります」
(I)「そう言えば、ヴィクター・ディヴィスのオリジナルは生演奏で歌われていました。でも、ガチガチにクリックとは合わせず、何度もトライしているうちに、スタジオに歌い手が一緒にいるような感覚になり、ヴォーカルに合わせた演奏ができるようになりました。今回ヴィクター・ディヴィスのリミックスをやってみて、リミックスって面白いなと思いました。そんな経緯から、沖野社長のリミックスもやることになったんです」(編注: 現在スリープ・ウォーカーは沖野修也『United Legends』収録曲のリミックスを制作中)
(N)「今日のインタビューに一人来ていないのは、まさに今その作業中だからです(笑)」
——リミックスで重要視するポイントは何ですか?
(N)「インスト曲をリミックスするのは、カバーすることと似ているので、そこまで特別なことには感じません。でもヴォーカル曲をリミックスする時は違います。通常DJがやるリミックスでは、バック・トラックの変更を考えますよね。僕らはそうではなく、まず演奏の上に乗せられるヴォーカルであるかどうかを考えます。僕らは、いわゆる“歌のバック・バンド”ではありませんからね。ヴォーカルが存在感を放ち、かつ僕らもバック・バンドのような演奏にならない、両者が溶け合っている楽曲を目指すんです。どんなジャンル、どんなヴォーカル曲をリミックスしても、スリープ・ウォーカーの演奏になるよう心がけています」
——“スリープ・ウォーカーの演奏”について、もう少し聞かせてくれませんか?
(N)「僕らは“〜風に演奏する”ということはしないんです。“〜風に演奏して欲しい”と言う人もいるでしょうけど、僕らは“〜風のもとになるオリジナル”なんです。つまり、“スリープ・ウォーカーのドラムみたいに叩いて”と言われる存在なんです。だから、演奏の方向性が決まったら、それぞれが自分の演奏をするだけなんです。ただ、勝手に演奏するわけではなく、どう演奏すればバンドのみんなが近づくのかは、各々意識しています。そこでは音楽を奏でる、長いミュージシャン生活で養ってきた、カンのようなものが働くんです。スリープ・ウォーカーとして一緒にやっていくには、そのうえで、いかに自分を出せるかが重要ですね」
——個性派のメンバーを、バンドにまとめあげるのは大変そうですね。
(N)「今日みたいなインタビュー後の焼肉で一つにまとまりますよ(笑)」
——仲いいんですね(笑)。今作は、セカンド・アルバム『The Voyage』とサード・アルバムの橋渡しになる作品だと思いますが、次回作の構想を練ることはできましたか?
(N)「次は自然と時代を反映したサウンドになるでしょうね。時代を追い掛けているというわけではないのですが、せっかく今の時代に生きて毎日新しいものを吸収しているわけですから。そういう意味で、ミュージシャンとしての成長をアルバムに表現できたらと思います」

interview & text SOICHIRO NAITO


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SLEEP WALKER
Works

(JPN) VILLAGE AGAIN / VIA-0060
(JPN) VILLAGE AGAIN / VIA-0061 ※ミニ・ライヴ・アルバム付限定盤