THE BRAVERY インタビュー128号
イギリスのBBC放送が今年発表した新人グループのトップ10ランキング『SOUND OF 2005』において、ブロック・パーティー、カイザー・チーフス、ザ・デッド60s、グライム系のカノらをおさえて第1位に輝いたのが、ザ・ブレイヴリーだ。実際デビュー・アルバム『ザ・ブレイヴリー』は、UK初登場5位、USビルボード・チャート初登場18位を記録し、正しく2005年のブライテスト・ホープに相応しい活躍をしている。ヴォーカルで、バンドのプロデュースも手掛けるサム・エンディコット(Vo)を中心に、メンバーはジョン(Key)、マイケル(G)、マイク・H(Ba)、アンソニー(Dr)の計5名。結成はニューヨークで、初ギグは2003年のブルックリンだったそうだ。
9.11テロやエレクトロクラッシュ・シーンに触発されたという彼らは、同時代のロック・バンド群の中でも特異なサウンドを生み出すことに成功している。ダンスとロックの融合という言葉はこれまでに幾度も登場してきたが、彼らの音楽はこれまでに聴いたこのとのないまとまり方をしているのだ。ダンサブルなビートの上に、メロディアスなシンセ音と悩ましいヴォーカルがフワフワと舞い踊る。なのに、バックのギターやベースはガレージ・ロック的なノリを損なわずに鳴り続ける。アレンジや楽曲構成は、どこを切り取ってもキャッチーな要素を切らさず、ポップ・センスが前面に打ち出されてくる。さらに、このルックスと佇まい......音も顔もアマさとワルさのハーモーニーが絶妙、とでも言えそうな、聴けば聴くほど見れば見るほどミステリアスな存在、それがザ・ブレイヴリーなのだ。 彼らはザ・キラーズに代表される'80年代ニュー・ウェイブの影響を感じさせるバンドとしばしば比較されるが、そもそもメンタリティが違うことは間違いないだろう。意識的である以上に、このヒト達、天然でどこかがおかしな感覚の持ち主なのだと思う(もちろん褒め言葉)。自分たちの音楽をつくっていくうちに、偶然80年代のニュー・ウェイヴ・サウンドに接近してしまった、そんな風に見えるのだ。
というわけで、興味津々のラウドは、ザ・ブレイヴリーの中でもとりわけ個性的な二名、リーゼント・モヒカン(?)のサムと、パーフェクトにリーゼントのマイク・Hに話をきいてみることにした。
―アルバムが大ヒット中で、ものすごく忙しいようですね。
マイク・H(以下:M)「ドタバタな中でごめんね! 今日はラジオ局に出演するために急遽アメリカに戻り、カリフォルニア州サンタ・バーバラにいるんだ。1日オフを取った後に1ヶ月ヨーロッパ・ツアーに出る予定だよ。UKツアーがちょうど終了したところなんだけど、イギリスのオーディエンスは凄かったよ! 僕らにとっては過去最大規模でのツアーだったね。初めてのことが多くて、本当ににエキサイティングな日々なんだ。行ったことのないような街にも行けるし、「Fearless」のプロモ・クリップ撮影では快速モーター・ボートにも乗ったし(笑)、インドネシアにも行ったし、この前なんてJAY-Zと会えたんだよ!!」
―結成の経緯を教えてください。ザ・ブレイヴリーはずっとニューヨークで活動をしてきたのでしょうか? M「大学で出会ったサムとジョンが、3年半か4年前くらいに、二人で自分達の作品を録音するプロジェクトを開始したのがきっかけだよ。僕とマイケルも同じ大学へ通っていた。で、3年前にニューヨークで僕ら5人は出会ったんだ。ちなみにアンソニーは友人の友人からの紹介だった。5人が出会ったのはニューヨークだけど、ニューヨーク育ちは、ギタリストのマイケルとドラマーのアンソニーだけ。僕はバージニア州、ヴォーカルのサムはメリーランド州、キーボード担当のジョンはカリフォルニア州から来たんだ。バンド活動する環境としては、ニューヨークは多分世界一だと思う。いろんなバンドがいるし、会場が沢山あるからね」
―ブレイヴリー(勇敢)というバンド名は、どこからつけたんですか?
サム(以下:S)「自分の考えを諦めないという姿勢からだね」
M「ある夜、酒を飲みながらアンソニーかジョンが思いついたんだ。心に響くバンド名だろ」
―ザ・ブレイヴリー以前は、どのようなバンドをやっていたんですか? パンクとか?
M「僕は6年前の高校生の頃は、ロカビリー系のバンドを兄弟でやっていたんだ。サムはフガジやDiscordモノも愛聴していたけど、メンバーで実際にパンク系のバンドをやっていた人はいないね。(フェイヴァリット・バンドで)共通しているのは、ザ・ビートルズ、ザ・ローリング・ストーンズ、ザ・クラッシュ、ザ・ラモーンズ。僕の場合、ロックを聴くようになったきっかけはニルヴァーナだったけど、ザ・ビートルズやブルースをよく聴いたもんだよ。ロカビリー系だったらストレイ・キャッツやジーン・ヴィンセントがいいね。アンソニーはジャーニー、マイケルはキンクスなんかの'60年代バンドが好き。ジョンはリー・ペリーあたりのレゲエやスカ、ダフト・パンク、エールなんかのエレクトロニック・ミュージックも好きなんだ」
―シンセを大胆に導入したサウンドということもあって、ザ・ブレイヴリーは'80年代初めのニュー・ウェイヴ系バンドとよく比較されますが、その辺からの影響はないのでしょうか?
M「よく同じ質問を受けるんだけど、ニュー・ウェイヴからは誰も影響受けていないと思う」
S「たしかに'80年代には素晴らしいバンドが沢山いたけど、僕らの音楽のシンセは、現代のエレクトロニック系バンド...例えばダフト・パンクやエール、DFA、ケミカル・ブラザーズなんかから影響を受けているんだ。ちなみに僕が個人的に好きな'80年代のバンドは、U2、ザ・カーズ、ザ・ポリス、ガンズ・アンド・ローゼズだね」
―ザ・ブレイヴリーのビートは非常にダンサブルだと思いますが、最近のエレクトロクラッシュ系ダンス・ミュージックからは影響を受けていますか?
S「ニューヨークのクラブで聴いたエレクトロニック系ダンス・ミュージックからの影響は大きいよ。エレクトロクラッシュ・ムーヴメントから僕らは生まれたんだ。最初はベッドルームのiMacを使って、チープなやり方で曲をつくっていた。そこでできた新しいサウンドを、ガレージ・ロックの未来だって思ったね」
M「もともとサムは、“クラブで踊りたい曲がない”と思ってザ・ブレイヴリーを始めたわけだし、“踊れるロック”をやりたかったんだ。その点で、ザ・ブレイヴリーの音はバンド結成当初から変わっていないね」 ―PCで曲の基礎をつくっていると聞きましたが、どんな風にバンドとしてアレンジを加えていくんですか? 曲づくりの方法について教えてください。
S「たいていの場合、曲の基礎はアコースティック・ギターを弾きながらつくるんだ。その後、PCで曲のグルーヴや雰囲気を念頭に入れながら音をいじっていく。つまりPCでの作業は二次的なもので、僕らは“曲づくり”が最も重要だと思っているんだ。曲そのものが良い楽曲であれば、ピアノのみ、ギターのみで演奏しても素晴らしく聴こえるだろ。他のもの全ては“おまけ”のようなもんだよ。そして、三段階目として、バンド全員で演奏し、曲の“ライヴ感”を出す。その演奏をPCに録音し、さらに音をいじっていく。僕らの場合、デモはつくらないね。曲づくりの過程で録音したものをデモとして使用するから」
―曲づくりで一番意識していることは何ですか?
S「メロディ、コード構成、歌詞が最も大事だね。ザ・ブレイヴリーが現代のエレクトロニック・バンドと一線を画しているのはそこだと思う。たいていの場合、(そういったバンドは)曲のヴァイブにこだわって同じ歌詞を延々と叫んでいるだけだから。どちらがいいとか悪いとかいう話じゃなくて、僕らとは考え方が全く異なるんだ」
―サムがヴォーカリストとして一番リスナーに伝えたいこと、言いたいことはなんですか?
S「歌詞では自分にとって大切な、パーソナルなことを歌っている。とはいえ、どの曲にもインスピレーションとなる特定の状況があったけど、実際に起きたことを具体的に歌詞に託して表現するのは好きじゃなくてね。その代わりに、その状況における自分の感情や気分を伝えるようにしているんだ。そういう感情に他の人達も共感してくれることを願っているよ。題材は不安、喪失感、そして世界における自分の場所や価値観が不安定だということを扱っていることが多い。これらは僕にとって大きな問題だし、僕はこういった不安で消耗したりするから、それに負けないように自分自身を鼓舞するために曲を書いているんだ」
―ところで、衣装を黒系の色で統一したり、髪型が特徴的だったりしますが、これらは何からの影響が強いのでしょうか。ヴィジュアル・コンセプトを教えてください。
S「メンバー全員のキャラクターが出ているだけだよ」
M「みんなの意見を合わせたら、こういうビジュアルになったんだ。メンバー全員に“近所を歩くような格好で演奏するようなバンドにはなりたくない”という気持ちはあったね。僕の場合はロカビリー・バンドにいたから、高校生の時からピチッとした服に身を包んで、リーゼントにしていたよ」
S「自分達が好きなようにやっているんだ。僕らが分かち合っている唯一の共通点は、音楽からアートワーク、イメージづくり、プロモ・ビデオに至るまで、最大限に自分達のクリエイティヴィティを表現していること。簡単に予期できるようなことはやらないように心掛けているよ」
―最近はあなた達と同世代のバンドが次々と登場する状況になっています。シンパシーを感じるバンドはありますか?
M「フランツ・フェルディナンドやザ・ストロークスだね。それから一緒にツアーしてシンパシーを感じたのは、マンドゥ・ディアオだ」
―今後の予定や目標を教えてください。
S「大事なことは、自分達の音楽を届けることだね」
M「世界中をツアーし、可能な限り多くの人達のために演奏したい。ザ・ブレイヴリーのアルバムをずっと出し続けたいね!」
text FUMINORI TANIUE
translation KEIKO YUYAMA
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