THE ENEMY
THE ENEMY インタビュー151号
エルヴィス・コステロやザ・ダムドを発掘したことで知られる、オリジナル・パンク時代の伝説的レーベルSTIFFを、約20年ぶりに再始動させたウワサのブライテスト・ホープ。それが、ここでご紹介する四人組バンド、ジ・エナミーだ。英コヴェントリー出身の彼らは、近年イギリス地方都市から続々と登場している、次世代ロック・バンドの大本命。1000枚限定プレスしたデビュー7inch「40 Days & 40 Nights」が一日で売り切れてしまったというほどの注目株だ。
そんな彼らのデビュー作『We'll Live And Die In These』には、シンプルだからこそ輝く、オアシス譲りのロックンロール・アンセムが満載だ。ザ・クラッシュやカサビアンにも通じるダーティーなムードからは、貫禄さえも感じることができる。
LOUDは、ツアーバスで移動中だったフロントマンのトム・クラークを電話でキャッチ、彼のロック・スピリットに迫ってみた。
――音楽活動開始から約一年半でのデビュー作リリースとなりました。ここまでの道のりは、どんなものでしたか?
「すべてがあっという間だったね。まさかレコード契約して、アルバムが出せるようになるとは予期していなかったから、本当に驚いたよ! 特にここ一年は、すごく楽しかった」
――サマーソニックでの来日も決まって、さらに忙しくなりそうですね。
「そうだね。サマーソニックは、これまでに俺たちが体験したことのないようなフェスだと聞いているから、演奏するのが今から待ちきれないな。絶対に盛り上げてみせるよ!」
――楽しみにしています。老舗レーベルのSTIFFは、あなたたちのために活動を再開したそうですね。そんなことになって、プレッシャーはありませんでしたか?
「プレッシャーなんてまったくなかったよ。むしろ、これほど伝説的なレーベルからデビューできたことを名誉に感じているぐらいさ」
――アルバムには、アンセミックなロックが目白押しですが、そのソングライティング力は、どんな音楽を聴いて育まれたものなのでしょうか?
「ザ・ローリング・ストーンズにザ・フーだろ...、それにT.レックス、ザ・ジャム。ザ・クラッシュも大好きだし、オアシスからザ・ヴァーヴまで、色々なロックを聴いて育ってきた。そういうものからの影響が表れているんだろうね」
――個人的に、あなたたちには、ザ・クラッシュやオアシス、それにカサビアンにも通じる、ロックスターのオーラがあると感じました。
「アハハハ(笑)。ありがとう」
――「This Song」では、他の曲と一風違う、初期ニュー・オーダー的なデリケートさも聴かせていますね。
「実はニュー・オーダーは通っていないんだけど、ジョイ・ディヴィジョンは大好きだから、その影響が出ているんだろうな。ジョイ・ディヴィジョンは、演奏テクニックうんぬんではなく、彼らにしか出せない独自の音を持っていた。俺はいつだって、ロック・スターのオーラよりも、ジョイ・ディヴィジョンのような味わい深いサウンドに憧れてきたんだ。実は、俺個人としては、この「This Song」がアルバムの中で一番お気に入りの曲なんだよ。他の収録曲は、どれもエネルギッシュでノリが良いけど、この曲には君が言うとおり一線を画した雰囲気があると思うからね」
――興味深い答えですね。では、元気なほうの曲を書くときは、オーディエンスのどんな盛り上がりをイメージしましたか? みんなで歌っているところ? それともモッシュで大暴れしているところ(笑)?
「俺たちのライヴに来るオーディンスは...、もうとにかくクレイジーだね(笑)。でも、俺たちはオーディエンスの反応を意識して楽曲を書くことってほとんどないんだ。だから、エネルギッシュな楽曲からまったりとした曲まで、色々なムードがあるのさ」
――なるほど。歌詞は、基本的にあなたたちの体験から生まれているのでしょうか?
「そうだね。このアルバムは、この一年間で俺たち自身や家族、それから友人たちの身に起きたことや、俺たちが考えた様々なことを記録したものなんだ。題材は、すべて実際に起きた出来事だよ」
――特にワーキング・クラスの生活をテーマにした楽曲が印象的でした。若者の代弁者として、不満や違和感を表現したかったのですか?
「うん、基本的にはそうだと言えるね。それは、俺たちが日々の生活で、毎日のように感じていることだから。でも、そういう曲を書くことで、ああしろこうしろと説教して回りたいって気持ちはないよ。感じ方は人それぞれ違うから、自分なりの解釈で受け取って欲しい。その上で、アルバム収録曲から、何か特別なフィーリングを感じとってもらえたら嬉しいね」
――あなたたちの音楽からは、現実と向き合いながらも、より良い人生を目指すようなエネルギーも感じることができました。それに対して、ニュー・レイヴ・バンドのように、現実逃避的な、享楽主義の連中もいますよね? 彼らの精神性には共感できませんか?
「まったく共感できないね。それに、そういうヤツらってアルコールやドラッグを摂取して暴れたり、バカなことをやらかすことが“ロック”だと勘違いしているみたいだけど、そんなの本当に無意味だと思う。だって本来の“ロック”とは、“何か新しいものを生み出す”ということだろ? 俺たちはその“ロック”を志しているのさ」
――そのスピリットは素晴らしいと思います。ところで、日本にはバイトもせずバンドもしないニートと呼ばれる若者がいるのですが(笑)、そんな若者たちにメッセージをもらえませんか? バンドをやったほうがよいのでしょうか?
「うんうん、俺にもそういうニート時代があったから、その立場はすごくよく分かるなぁ。特に俺たちが育ったコヴェントリーでは仕事もほとんど見つからなくて、辛い日々だったよ…。えっと、日本のみんなに言いたいことね。バンドを始めたければそれもいいだろうし、もしサッカー選手を目指しているなら、サッカーの道で頑張ってみるのもいいと思うよ。大切なことは、“自分の夢を諦めない”ってことだね」
――ありがとうございます。では、あなたが理想とする人生の青写真ってどんなものですか?
「う~ん、具体的な青写真って言われると何も思いつかないけど...」
――キース・リチャーズぐらいの年までロックンロール一筋でいきたい?
「アハハハ(笑)! それいいね。うん、まさにその通りだよ」
interview & text TAKAHIRO KAWAMURA
translation KEIKO YUYAMA
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THE ENEMY
We’ll Live And Die In These Towns
(JPN) WARNER / WPCR-12668

