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THE STILLS インタビュー139号

 ザ・スティルズは、カナダはモントリオール出身のファイブ・ピース・バンドだ。デビュー・アルバムは2003年の『ロジック・ウィル・ブレイク・ユア・ハート』で、この 作品では、ザ・キラーズやインターポールにも通じる甘美なサウンドを展開。80'sニュー・ウェイブ・リヴァイバルを象徴するバンドとしてもてはやされた。  そんな彼らのセカンド・アルバムが、前作から約三年の時を経て遂に完成した。タイトルは『ウィズアウト・フェザーズ』。注目すべきは音楽性が大胆に変化していることで、ここではオーケストラルなアレンジとハッピーなヴァイブに包まれた、ドラマティックなポップ・サウンドを聴くことができる。ギタリストのグレッグが脱退、前作でドラム担当だったデイブ・ヘイムリンがヴォーカル&ギターへと転身し、ブロークン・ソーシャル・シーン(編注:同じくカナダ出身の大所帯バンド)のツアー・ピアニスト、リアム・オニールがピアノ&キーボードで正式加入したという大激震が背景にはあるのだろうか?  
LOUDでは、プロデュースも手掛けている中心人物のデイブ・ヘイムリンに、新作について聞いてみた。


―約3年ぶりのセカンド・アルバムですね。リリースが決定した現在の心境はいかがですか?
「リリースまで辿り着くことができて、すっごくハッピーだよ。かなり頑張ってつくったから、満足のいく作品になったね。超超超ハッピーだよ! ところで日本語で“YES”は何て言うの? “はい”? “NO”は? “いいえ”ね。オーケー。大丈夫だよ、インタビューにこれだけで答えたりはしないから(笑)」
―ありがとうございます(笑)。今作の制作に取りかかった時期はいつ頃ですか?
「実際にアルバム制作に取りかかり始めたのは2005年の1月だった。でも、そこから何回も小休止したし、一気に仕上げたわけじゃないんだ。本格的なレコーディングは4月に始めて、全部終わったのが9月だったな」
―セカンド・アルバム制作に着手したきっかけを教えてください。何かインスピレーションが湧いたのでしょうか?
「これといった出来事は別になかったね。僕はただ曲を書くことが大好きで、アイディアが湧いたっていうだけさ。今回は、基本的に僕の人生で起こっていることをアルバムにしたかったんだ。僕の身の回りに起こったことや、感じたことがインスピレーションになるのはいつものことだけど、今作は特に個人的な内容だよ」
―『ウィズアウト・フェザーズ』で表現したかったテーマはありますか?
「見知らぬ場所にいて、自分が帰るべき家を探している“Lost(迷子)”っていうのがテーマだね。アルバム制作中に、自分がそうであるかのように感じたんだ。肉体的にじゃなくて、自分の頭の中でね。自分の心がどこへ向かっているのかわからなかったのさ。でも、それがアルバムのテーマになっていると気がついたのは、完成した後だったね。“今回はこのテーマで行こう!”って決めて曲をつくってるわけじゃないから」
―サウンドはドラマティックなオーケストラル・ポップへ進化していますね。また、シングルにもなっている「Destroyer」など、ミドルテンポの開放的な楽曲が増え、全体にポジティブな雰囲気が充満しているとも思います。
「僕もそう思うよ。僕らはハッピーなメッセージを、『ウィズアウト・フェザーズ』を通して世界に伝えたかったんだ。僕ら全員、デビュー当時の気むずかしいヴァイブにはもう飽きちゃったしね。嫌いになったわけじゃないけど、似たようなヴァイブの音楽が周りに溢れ出したから、もう同じことをやる気がしなくなったんだ。前作のイメージで僕らを知っているファンが、今作を冷静に、オープンな気持ちで聴いてくれることを願うよ。あと、今作の変化に関して言えば、バンドのグループとしての努力が、前作よりも反映されていると思う。前作はどちらかと言えば僕のデモテープに近い感じだったけど、今回はみんながアレンジメントに関わっているから、メンバーみんなの作品って言い切れるものになったよ」
―なるほど。前作でギターを担当していたグレッグが脱退したそうですが、その影響はありましたか? 「いなくなったのはグレッグだけだから、そこまでの影響はなかったかな。僕、ティム、オリバー、リアムはそのままだし、曲を書いているのは僕とティムだからね。バンドの形態も最初からほとんど変わっていないんだ」
―でも、グレッグの脱退で、あなたの担当はドラムスからヴォーカル&ギターへ変わりましたよね。新しいパートでのレコーディングはどうでしたか?
「いい感じだったよ。パートを変えたのは、もっと正直な音楽をつくりたかったからなんだ。歌詞を書いている僕自身が歌った方が、もっと素直な表現ができると思ったのさ。僕の人生について書いた曲を他のメンバーに歌ってもらうと、間に壁ができてしまうからね。実際に歌ってみて、気に入ったものができたから良かったよ」
―ドラムが嫌になったわけじゃないんですね。
「ドラムは今でも好きだよ。歌うことも、ギターも全部好きなんだ」
―今作から、ブロークン・ソーシャル・シーンのツアー・ピアニストだったリアム・オニールが加入していますね。
「リアムは僕らのバンドにデビュー当時から参加しているんだ。同じ高校出身だし、いくつかのバンドで一緒にプレイしてきた、本当に古い知り合いだよ。新作で彼のプレイの露出度が高かったから、それが嬉しくて残りたくなったんじゃないかな(笑)。メンバーの中では、彼が一番落ち着いているから、いろんな面で助かっているよ」
―ところで、あなたは一度バンドから脱退しようとしたと聞いたのですが、脱退を思いとどまらせた理由は何だったのでしょう?
「わからない(笑)。そもそも本気で脱退する気はなかったんだ。ただドラマティックになりたかっただけ。バンドがケンカしたとか、問題があったわけじゃないよ。ツアーでずっと巡業していく生活にすごく疲れちゃって、休憩したくてたまらなくなったのさ。そう言えば去年のクリスマスに、生まれて初めてちゃんとした休暇って呼べる時間を過ごしたよ。本当に純粋な旅行として、彼女と沖縄までスキューバ・ダイビングしに行ったんだ。毎晩、泡盛で飲んだくれて、海ぶどうを山盛り食べて、最高だったね。ああいう時間を休暇っていうんだよな。ちなみに、泡盛は日本酒より好きだね。あと、沖縄の豆腐は東京の豆腐より美味い! どうしてなのか知ってたら教えて! 次のアルバムは、沖縄の海の中についての曲ばかりになると思う(笑)。たっぷり休養できたから、しばらくは辞めるとか言わないよ(笑)」
―最後に、今後の目標と予定を教えてください。
「まずはツアーをたくさんこなして、僕らの音楽をより多くの人達に知ってもらうこと。ツアーはアメリカ横断を皮切りに、いろんな国に行く予定。秋には日本にも行けると思う。楽しみにしているよ!」


interview & text TAKAHIRO KAWAMURA
translation KYOKO MAEZONO

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