THE YOUNG KNIVES

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THE YOUNG KNIVES インタビュー144号

 英オックス・フォードを中心に活動するザ・ヤング・ナイヴス。メンバーはヘンリー・ダートナル(Vo, G)、オリヴァー・アスキュー(Dr)、そしてヘンリーの実弟であるザ・ハウス・オブ・ローズ(B)の3人だ。彼らが出会ったのは中学時代。ヘンリーとザ・ハウス・オブ・ローズの家族が、レスターから、北西に位置するアシュビー・デ・ラ・ズーシュへ引っ越してきて、当時スクール・バンドでドラムを叩いていたオリヴァーと遭遇したということだ。
一見“おとなしいサラリーマン”風の彼らだが、見かけによらずポスト・パンク・サウンドを得意としており、昨年発表された代表曲の「Weekends And Bleak Days(Hot Summer)」では、ディスコ・パンク的アプローチまで聴くことができる。Zane LoweやJo WhileyといったBBC RADIO 1の人気DJや英評論家筋に支持されている、実力派バンドなのだ。
そんな彼らが、ボーナス・トラック3曲とPV2曲つきのオトクなフル・アルバムで、ついに日本デビューを果たすことになった。プロデューサーは、ポスト・パンクの神様、アンディー・ギル。こう来たら、インタビューしないわけにはいかないだろう。というわけで、ヘンリーに電話をかけてみた。彼は、実はこだわりのある、ザ・ヤング・ナイヴスのファッションについても語ってくれた。


―あなたは電話恐怖症と聞いているのですが…。
「電話恐怖症じゃないよ(笑)。“僕らは最高のバンドだからヨロシク!”って、自分のバンドを宣伝するのが苦手なだけ」
―安心しました(笑)。「Weekends And Bleak Days(Hot Summer)」は、音楽評論家筋から高く評価されましたね。プロモーション活動を苦手とするあなた達が、メディアやリスナーから注目されることになって、居心地が悪くありませんか?
「悪くはない気分だよ。僕らは、何年もバンド活動を続けて、徐々にファン層を確立してきたんだ。だから僕らには、押しつけがましい宣伝で売り出されたバンドではなく、リスナーが見つけたバンドというイメージがあると思う。自然な形で注目されているんだ」
―ハイプじゃないから、OKなんですね。
「イギリスでは、たいしたことない新人バンドに、“イギリス最高のバンド!”といった調子で大げさな宣伝文句をつけて、派手に宣伝することがよくあるでしょ。そういうのとは違うからね」
―なるほど。メンバーは、音楽活動が本格化する前、何をしていたのですか?
「2001年にデビュー・シングルを発売しているけど、今から1年前まで、3人とも生計を立てるために別の仕事に就いていたよ。僕はレコード屋やコンピューター関係の会社、オリヴァーは病院やHMVで働いていたんだ」
―あなた達は“英国紳士風ファッション”に身をつつんでいますが、なぜロック・スターらしからぬ格好をしているのでしょう?
「母親が買ってきた服を着なくなり(笑)、自己表現を始めるようになった10代の頃から、古着屋やチャリティー・ショップで安く売っている仕立の良いスーツを、’70年代風に着こなしているんだ。大きな襟、フリル、変なネクタイなんかが面白かったから。英国紳士らしい、ツイード・ジャケットなんかのスマートなカントリー・ファッションも好きだね。他の奴らと違うファッションは、反逆の証にもなっているのさ」
―具体的な影響源があったのでしょうか?
「影響を受けたのは、 “化学の先生”風ファッションに身を包んだ、パルプのジャーヴィス・コッカーだね。地味な顔でもロックしている彼を見て、“僕にもできるかも”って希望がわいたんだ」
―“化学の先生”ですか(笑)。それではデビュー作について聞かせてください。テーマは“パラノイア、怠惰、権勢欲、自己妄想”なんですよね?
「それじゃ、なんだかネガティヴで楽しくないバンドみたいだなぁ(苦笑)。そこまでシニカルじゃないよ。テーマが“失敗”でも、“誰にだって愚かな失敗はある。人生って不思議だよな”という風に、ポジティヴに描くようにしているんだ。僕らは、自分達と周囲にいる人達を見ながら、歌詞の中でキャラクターをつくり上げているんだ。表面には出てこない部分から、個性を引き出すようにしているよ」
―あなた達が持つ屈折したメロディーやコード進行は、そういった人間の内面にインスピレーションを得ているのですか?
「良い質問だね。でも僕らは、頭に浮かんだものを曲に仕上げているだけなんだ。インスピレーションの源はわからないね。ミュージシャンとして僕らが特に心がけているのは、既に存在する楽曲とは一線を画すような、まったく新しい音楽を生み出すことだね」
―メジャー・コードが延々と続く、ありきたりなメロディーの楽曲には、あまり興味がないのですか?
「ありきたりな楽曲には興味ないね。どこかで聴いたことのあるような楽曲には独自の個性が欠落しているから。以前、僕らが書いた楽曲が、偶然フューチャーヘッズの曲に似てしまったことがあるんだ。その時はもちろんその曲を捨てて、新たに書き直したよ」
―徹底しているんですね。あなた達のギター・サウンドは内省的で、どこか穏やかなムードを感じさせるものだと思います。そのムードは、あなた達のフェイバリットであるジャズやフォーク・ミュージックに由来するものでしょうか?
「たしかにそうだね。それは非常に良い指摘だ。四六時中ヘッド・バンギングするのはイヤだし(笑)、日曜の朝には、ゆったりとした気持ちでニック・ドレイクみたいなブリティッシュ・フォークとか、ソウルやレゲエ系ナンバーを聴いているよ。子供の頃はフォーク・ミュージックなんてオヤジ臭くて嫌いだったけど、ここ5年間はよく聴いている。ブライアン・イーノがプロデュースしている、ロバート・ワイアット(元ソフト・マシーン)のヒネリが利いた作品は、音が緻密で最高なんだ。ジャズだと、サックス奏者のオーネット・コールマンが一番好きだね」
―なるほど。とはいえ、鋭角的なポスト・パンク・ビートも前面に押し出していますよね。プローデュースを務めているアンディー・ギルは、その部分で大きな手助けとなりましたか?
「ドラムで形成するビートづくりに関しては、ホントにすごく助けられたよ。でも、僕らが事前に送ったデモ曲の中で、アンディが特に気に入ってくれたのは、激しい楽曲じゃなくてフォーク系の楽曲だったんだ」
―それは意外でしたね。では最後に、ザ・ヤング・ナイヴスの次なる目標を教えてください。
「今は、嬉しいことに目まぐるしいほど多忙な日々だから、健康に気をつけて(笑)、これからも元気に音楽活動を楽しんでいきたいね。それから、ワールド・ツアーを実現させて、視野を広げていきたいね。早く日本にも行きたいなぁ!」


interview & text TAKAHIRO KAWAMURA
translation KEIKO YUYAMA


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THE YOUNG KNIVES
Voices Of Animals And Men

(JPN) WARNER / WPCR-12505


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