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TOBY インタビュー151号

 日本のテクノ黎明期からDJとして活動するとともに、“テクノ外交官”として、数多くの海外アーティストを日本に紹介してきたTOBY。これまでに数々のミックスCDを手がけ、プロデューサーとしても、マイク・ヴァン・ダイクとのTHE BROTHERS IN RAWや、ガブリエル・ル・マーとのSUPERCRUIZER、TOBYNATIONなど、いくつかの名義を使って作品を生み出してきた、ジャパニーズ・テクノ界の重要人物だ。
そんな第一線でシーンを支え続けるTOBYが、キャリア初となるオリジナル・アルバム『Electric Smooch』を、盟友・石野卓球のレーベルであるPlatikからリリースする。本作は彼が最も得意とするスタンダードなテクノをベースに、エレクトロからハード・テクノ、ミニマル、アシッドまで、様々な要素をちりばめた作品。 “踊ることの楽しさ”を伝える、ダンス・ミュージックの原点に忠実な、愛と遊びごころに満ちたアルバムだ。
 本作のリリースを皮切りに、次なるステージへと向かうTOBYに話を聞いた。


――本作が初のフル・アルバムとなりますが、このタイミングでリリースした理由を教えてください。
TOBY「これまでに自分で曲はつくっていたけど、“いつか出せたらいいな”くらいの気持ちで、アルバムを出すことは全然考えていなかったんです。でも、昨年の11月末に、(石野)卓球君に“そろそろ表に出てきたら?”と言われたので、急遽アルバムをつくることになりました。そこから、4ヶ月でつくったんですよ。時間がなかったので、まず骨格やパターンを先に仕上げて、アレンジは後にしました。結局全部アレンジを終えたのは3月の中旬ですね。終わったときはホっとしました(笑)」
――かなりタイトなスケジュールだったんですね。
「余裕はなかったですね。週末はDJして、平日は制作に費やしました。作業が進む日もあれば、ちっとも進まない日もあって、そんなときは焦りましたね。またやればやるほどアラが見えてきちゃって、“最初からやり直そうかな” と思うこともありました(笑)。だから葛藤も多かったです」
――どのようなコンセプトでアルバムを制作したんですか?
「テクノ、ニュー・スクール・ブレイクス、テック・ハウス、ディープ・ハウス、エレクトロと、いろんなジャンルが好きなので、それらのエレメントを入れたいなと思いました。ただ、無理に全部をやろうとして時間を浪費するのはもったいないから、今回は自分の得意なテクノをメインに制作しました」
――サウンド・メイキングはどのように行ったんですか?
「持ってる機材やサンプリングCDを活用しました。クリエイターは、自分の音にこだわるあまり、サンプリングCDやシンセのプリセットを使わないことが多いんですけど、僕の場合はDJバカですから(笑)、“ノリがよくてちゃんとフィットすればOK!” と思って使いましたね。だから逆にのびのびできたかな」
――なるほど。そこにはDJ的な発想が生かされているように感じます。これまでのDJ経験は、他にどのような形で反映されていますか?
「ライブも想定しているので、ビートに始まり、ビートに終わるという、つないでなんぼのDJ向けアレンジになっていますよ」
――11曲目「Bongo Shamisen」では、ボンゴの音をエフェクト処理して、凝った音に仕上げていますね。
「変わった音ができると嬉しくて、取っておくんですよ。自分がつくったオリジナルの音は、ベースになる音に、上からかぶせる形にしています」
――10年前と今とでは、音のトレンドも変わっていますが、時代感は意識しましたか?
「10年前にこのアルバムをつくれと言われたら、それは無理ですよ。というのも、この10年でパソコンのソフトは進歩して作業が楽になったし、機材も進化したからね。もっとも、制作に入る前に、昔のシカゴ・ハウスや、UR全盛期のデトロイト・テクノをよく聴いていた時期があったんで、“やっぱりハード・ウエアっていいな”と思って、生の909や303を使った、ヨレヨレしたリズムもつくってみましたけど。あとはリッチー・ホウティンの覆面ユニットであるサーキット・ブレイカーのような、ハード・ミニマルもやりたかったです。レッド・プラネットの「Stardancer」やハードフロアの「Acperience」のように、いつまでもいい曲ってありますよね。去年はそういったものをよくDJでかけていたので、そこからもアイディアをもらった気がします」
――本作にはたくさんのアーティストが参加していますが、コラボレーションすることになった経緯を教えてください。
「これまでもコラボはやってきたので、今回のアルバムにも、いろんな人に参加してもらいました。まず1曲目は、ドクター・シザーズやシンガーのKaoriちゃんに声をかけて、ファイルをやり取りしながらつくりました。2曲目はHitoshi Ohishi君とKaoriちゃんをスタジオに呼んで3人でパターンをつくり、アレンジは各自でやりました。マスタリングは僕の相棒である、ドイツのアンドレアス・カウフェルトにやってもらいました。コラボは、その人のテイストや何を得意としているかを把握して、お願いしています」
――収録されている中で、オススメの曲を教えてください。
「うーん… 、「TokuSatsu」かな。クラブでかけて一番盛り上がるんですよ。まだアルバムが出てないから、お客さんは僕の曲だとは知らないのにね。お世辞抜きのリアクションが返ってくると、“ヨシッ”ってすごい上がります(笑)」
――最後に、今後の目標をお願いします。
「まずセカンド・アルバムですね。もちろんテクノもやりたいけど、コラボでもいいからセクシーなディープ・ハウスをやってみたい。下世話じゃなく、スモーキーで上品なやつをね(笑)。リッチー・ホウティンみたいに、ループをたくさんつなげて、ワン・トラックをつくるのもいいですね。あと、日本人アーティストは海外のレーベルからリリースできても、ツアーまでは組んでもらえないという現状があるんですよ。だから、これまでは海外からアーティストを呼んできたけど、今後は日本から海外へアーティストを送り出さなきゃいけないなと思ってます。こっちから外に行かなきゃね! 」

Interview & text HIROKO TORIMURA


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TOBY
Electric Smooch

(JPN) PLATIK / plat- 12

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