VICTOR DAVIES

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VICTOR DAVIES インタビュー131号

 ギターをはじめ様々な楽器を使いこなし、バッキング・トラックも自らプログラミングする上に、憂いをおびた素晴らしい歌声まで持っているロンドンのマルチ・サウンド・クリエイター、ヴィクター・デイヴィス。2001年に発表したデビュー・アルバム『Victor Davies』は、日本でも大きな話題となったので覚えている人も多いだろう。DJ、ダンスミュージック・クリエイター間での評価も高く、マスターズ・アット・ワークとダ・ラータが手掛けた「Sound Of The Samba」のリミックスは、フロア・アンセムとなっている。近年は、ディミトリ・フロム・パリ、KYOTO JAZZ MASSIVE、福富幸宏らの作品にゲスト・ボーカルとして参加、今ではメジャー・フィールドからも注目を集める存在だ。
 ここで御紹介する『Hear The Sound』は、そんな彼が2年半ぶりにリリースする3枚目のオリジナル・アルバム。今作のハイライトは、ネオ・ボッサの女王、ベベウ・ジルベルトを迎えてのデュエットだ。1月にプロモーション来日を果たしたヴィクターに対面で話を聞いた。  


―日本の印象はどうですか?
「1stアルバムのリリースを一番先にした国だし、たくさんのファンができたのも日本が最初。僕にとって日本は特別な国だよ」
―最近は、KYOTO JAZZ MASSIVEや福富幸宏とのコラボレーションも行っていましたね。
「沖野兄弟とは良い友達づきあいをさせてもらってるよ! FUKUTOMIとのレコーディングも完成度が高かったし、本当に楽しかった」
―今回の来日にあたって、何か楽しみにしていたことはありますか?
「食べ物だね。ウナギが好きなんだ」
―ウナギ!? 普通はみなさん“寿司”と答えますよ(笑)。
「刺身や名古屋の手羽先も好きだけどね。ちなみに納豆はダメだったねぇ(笑)」
―納豆はハードコアですよね(笑)。では、ニュー・アルバムの話を聞かせてください。前作『Hoxton Popstars』から、何か心境の変化はありましたか?
「自信がついたし、スキルアップもしたと思う。だから、今作ではカバーをやってみたんだ。カバーするという行為は、アイデアが尽きた証拠だと思われがちだけど、自信や出来ばえに対する満足感があるからこそ、カバーをやる余裕が生まれたんだ」
―ジョン・ルシアン「Would You Believe In Me」と、シン・リジィ「Don't Believe A Word」の2曲ですね。 「ジョン・ルシアンのは、あまりカバーされていないから、僕のバージョンをつくってみたいと思ったんだ。シン・リジィの方は好きな曲で、オリジナルはヘビーなロック。だからこそ、僕自身のヴァイヴでアコースティックにカバーしたよ」
―オリジナルがフリー・ソウルだったりヘビメタだったり、守備範囲が広いですね。あなたの楽曲には、ラテン、ブラジリアン、ソウル、ジャズなど幅広いエッセンスが盛り込まれているように思うのですが、これらをどのようにして自分の音楽性へ消化してきたんですか?
「それ以外にもレゲエなんかも聴いてて、その影響は前作より出ているかな。どのように消化してきたのかは、自然な成り行きだよ。一つの音楽だけを聴くのは面白くないと思うから、そういった考えが作曲にも出るんじゃないかな」
―オープンマインドに制作したんですね。今作には具体的なコンセプトがありますか?
「アルバム表題曲「Hear The Sound」がコンセプトと言ったら分かりやすいかな。ここに込めた意味は二つあるんだ。一つは、宣伝やイメージなどに囚われず聴いて欲しいということ。もう一つは、歌詞を見てもらえばわかるけど、世界の変化を望んでいる一般人の思いを権力者達に聞かせたいということだね」 ―“宣伝やイメージなどに囚われず聴いて欲しい”とは、具体的にはどんな意味ですか? 出来栄えに対する自信? それともマスコミに対する不満?
「両方だね。良いアルバムができたから聴いて欲しいという気持ちは、もちろんある。もう一方についてなんだけど、UKのメディアは酷いんだ。例えばオーディション番組では、才能もないくせに番組で勝ち抜いた人が短期間でデビューし、成功する。そうじゃなくて、音楽性だけで判断されるべきだと思うんだよ」
―そうですよね。でもLOUDは、良い音楽のみをピックアップしていくメディアなんですよ!
「僕で大丈夫?」
―もちろん(笑)。アルバムの制作期間はどのくらいでしたか?
「1年ぐらいだね。その間の様子もアルバムで示したかったから、制作中にあった二つの出来事をインタールードとして入れたりもしたよ」
―「Victor Davies」と「Mini Cab」ですね。前者は何語かわからないし、後者は英語の訛りが強すぎて何を言っているのかナゾです(笑)。
「あはは(笑)。「Victor Davies」はエストニアで行われたコンサートで、司会者が僕を紹介している場面なんだ。普通は“ヴィクタ-・デイヴィスです”って言うでしょ? でも彼は“ヴィクタ-・デイヴィス・グルーピーです”と言っているんだ。もしかしたらエストニア語で“グループ”を“グルーピー”と言うのかもしれないけど、それが面白くてね(笑)。「Mini Cab」は、カリビアンのタクシー運転手が喋っている様子を収めたものなんだ。運転手のお兄さんは93歳なんだけど、身体が丈夫で、いつもストーンしているという話だよ(笑)。今作にはシリアスな歌が多いから、僕がユーモアに欠ける人間だと誤解されるのではと思って、インタールードに僕の人間性を反映させたんだ。実際は面白いことが大好きなんだよ」
―初めてのデュエットとなった、べベウ・ジルベルトとの「Comigo」の収録はどうでしたか?
「もともと僕一人で歌っていた曲だったんだけど、ぜひ彼女とコラボレーションしたいと思い、コンタクトしたんだ。彼女は僕の曲を聴いたことがあって、気に入ってもらえていたから、話はスムーズだったよ」
―曲は、ベベウによる“もう少し音を上げて”という台詞から始まりますね。
「休憩中にコーヒーを飲んだり、僕の妻にブラジルのビーチの写真を見せてくれたり、収録後にクラブやバーに飲み行ったり、そういった彼女と一緒に過ごした素晴らしい時間もアルバムに残したかったんだ。彼女はスーパースターだけど、普通の素敵な女性だった。そういった、曲だけでは伝わりにくい部分もリスナーに届けたかったんだ」
―あなたの作品は、リミックスされてフロア・ヒットすることもありますね。アーティストの中には、リミックスに対して非友好的な人もいますが、どんな考えを持っていますか?
「リミックスはギャンブル性が高い。出来上がった曲が悪かったとしても、リスナーはオリジナル・アーティストの作品だと思って聴くからね。そういった理由で、リミックスが嫌いだというアーティストもいるんじゃないかな。今作のリミックス盤については何も決まっていないけど、注意を払わなければならないところだね。そうだな、リミックスというよりも、コラボレーションといった関わり方をしたいな。よりクリエイティヴなプロセスだし、コントロールも効くからね」


interview & text SOICHIRO NAITO


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VICTOR DAVIES
Hear The Sound

(JPN) PONY CANYON / PCCY-01767

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