VOID インタビュー151号
オレン・エマニュエルとタミール・レゲヴからなる、ヴォイド。イスラエルの最強PSYトランス集団として名高いケミカル・クルーにおいて、スカジーに次ぐ人気を獲得している、ネクスト・ジェネレーションの筆頭株だ。これまでに彼らがリリースしたアルバムは、『Punishment』('04年)と『The Angry Brigade』('06年)の二作品。なかでも『The Angry Brigade』は、トランス・シーンを飛び越えた独自のエレクトロニック・ミュージックを提示して話題を集めた。 そんな彼らが、このたびコンピレーション・アルバム『Music With More Muscle』を完成させた。自身の新曲を中心に、シーンのトップ・アクトによるリミックス作品などを交えた、初出し音源満載の今作。ギター・トランスで有名なヴォイドの二人が、エレクトロ・テイストをさらに強調した意欲作だ。 ヴォイドが目指す今後の方向性について、メンバーのタミール・レゲヴに話を聞いた。
——昨年、アルバム『The Angry Brigade』をリリースして、今や飛ぶ鳥を落とす勢いのヴォイドですが、いよいよケミカル・クルーを代表してコンピレーションを監修するに至りましたね! おめでとうございます。 「ありがとう(笑)。ケミカル・クルーを代表して選曲&監修ができて嬉しかったよ。もっとも、俺たちが心がけたことは、ケミカル・クルーというより、ヴォイドらしさをこのコンピレーションで上手く打ち出すことだったけど」
——今作の収録曲には、既存のPSYトランスでは説明できない斬新さがありますね。
「そうだね。ヴォイドの音楽は常に進化し続けているんだ。現在の俺たちがやっている音楽を形容するとしたら“ハード・エレクトロ・トランス”かな。ハード・ダンスの要素もあるから。今作最大のポイントは、ヴォイドの新曲6曲を収録したこと。これまでの俺たちと違って、現在のヴォイドはハッピーな雰囲気のあるエレクトロ・トランスを手がけている。で、オレたちの新しいサウンドに合うトランス・ナンバーを、他にも選曲したってワケ。それらの大半は、これまでにヴォイドの楽曲をリミックスしてくれた、スカジー、エスキモー、タラマスカをはじめとする仲間たちの作品だ」
——シーンのビッグ・ネームがズラリと並んでいますね。彼らにはどんなシンパシーを感じていますか? 「エスキモーと、俺とオレンの三人は、一緒にメガバンドという新しいプロジェクトを始めたこともあって、共感し合う部分は多いね。“一緒にトランス・シーンを変えて行こうぜ!”っていつも話している。スカジーやタラマスカ、サン・プロジェクトとは昔からの付き合いだから、もう家族みたいなもんだな」
——アルバム・タイトル『Music With More Muscle』の由来は何ですか?
「ヴォイドの代表曲「Creator」に登場する、“music with more muscle(筋肉のついた音楽)”というセリフ部分から抜粋したんだ。活気に満ちた高揚感あふれる音楽だから、筋肉という言葉がピッタリだと思ったのさ」
——今作の収録曲で、特に注目してもらいたいものはありますか?
「ヴォイドの「Energize(Eskimo Remix)」は、ぜひ聴いて欲しい! 俺たちの新たなサウンドを示す、全く違う方向性の意欲作だ。それからタムタム V.S. ディーゴ「Superstar DJ」は、ギター・サウンドが最高だね。ハッピーな高速ナンバーだから気に入ってるぜ!」
——今作のラストを飾る、シェル・ショック「Advance」の存在が気になりました。この曲はトランスでなく、エレクトロ・ハウスとなっています。シェル・ショックの詳細を教えくれませんか?
「うん、これは俺とオレンの新プロジェクトだ。アンダーグラウンド・エレクトロをやっている、ヴォイドの
別名義。120BPMの楽曲が中心だな」
——シェル・ショック始動の動機は何ですか?
「ここ3年ほどで、エレクトロが世界中で主流になってきたし、もともと俺がエレクトロニック・ミュージックを聴くようになったきっかけも、ニューヨークに住んでいた頃に愛聴していたハウス・ミュージックにあったんだ。だからこそ、今作では俺たちらしいエレクトロ・ハウスを発表したかったのさ。俺たちはミュージシャンだから、様々な音楽スタイルが好きなんだ。新しい音への挑戦は楽しいね」
——エレクトロ・ハウスとトランスでは、制作において、どんな違いがありますか?
「トランスの場合はブレイクの後に展開される音がキモだけど、エレクトロ・ハウスではヴォーカルとグルーヴ感が大切なんだ。(「Advance」は)尺も8分と長めだから、徐々に盛り上げてみんなを踊らせるようなグルーヴ感が鍵となったね」
——ところで、昔ながらのPSYトランス・アルバムといえば“フルオンにはじまりアンビエントに終わる”みたいなイメージがありますよね。それだけに、エレクトロ・ハウスで終わる今作には、新たな時代の到来を感じます。あなたたちは、これからのシーンを、どんな方向に牽引していきたいと思っていますか? 「俺たちは昔からアンビエントで終了するPSYトランス・アルバムが正直好きじゃなかった(笑)。ラスト・ナンバーをアンビエントにしてチルアウトさせたい気持ちはわかるけど、そういう音は別プロジェクトでやればいい。まあ、未来のことは俺たちにもわかんねぇよ(苦笑)。俺たちがつくる音楽を、これからもみんなが気に入ってくれて、ついてきてくれれば嬉しいね」
——今後の活動予定を教えてください。
「今ちょうどシェル・ショックのアルバムを制作中だ。'08年初頭にリリースする予定。その後には、ヴォイドの新作も控えてる。たぶん'08年夏には発表できると思う。そうそう、メガバンドのアルバムも1年半〜2年後に予定してるから、この夏はずっとスタジオで暮らす日々となりそうだな(苦笑)」
——この夏はライヴを控えるんですか?
「いや、イスラエルでは、ほぼ毎週末大箱でライヴをやってるぜ。最高だろ!? 音楽制作とライヴ活動を両立させてんのさ」
interview & text SOICHIRO NAITO
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VOID
Music With More Muscle
(ISR) CHEMICAL CREW / CISCO / CHEMCDJ-023


