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WOLF & CUB インタビュー147号

 オーストラリアはアデレードで2002年に結成された、4人組サイケデリック・ロックバンド、ウルフ・アンド・カブ。彼らのサウンドは、ツイン・ドラムとサイケデリック・ギターが絡み合う、アヴァンギャルドなダンスロック・ミュージック。どこかプライマル・スクリームにも通じるグルーヴ感が、ダーティーな個性となっている。
 彼らのオリジナリティーに目をつけたのは老舗インディー・レーベル、4AD。晴れて契約したのち、’05年にデビューEP『スティール・ゼア・ゴールド』を発売している。そのEPには、ポスト・パンク・リバイバルの仕掛け人、ポール・エプワース(フォンズ)による「Thousand Cuts」のアシッド・エレクトロ・リミックスも収録していたため、この盤はエレクトロ・シーンでも話題となった。
 こうしてアンダーグラウンド・シーンで評価を獲得してきたウルフ・アンド・カブが、ついにデビュー・アルバム『Vassels』をリリースした。エッジの立った踊れるロックは、彼らのメイン・サポーターであるサイケデリック・ロック・リスナーだけでなく、最新潮流好きのニューレイヴ・フリークをも、夢中にさせることだろう。
 ウルフマザーとともに来日していたウルフ・アンド・カブに、新作のこと、彼らの音楽観など対面で聞いてみた。


―ミニ・アルバム『スティール・ゼア・ゴールド』と比較すると、新作の『Vassels』は、よりサイケデリックな作品になっていますね。
ジョエル(Gu, Vo 以下J)「『Vassels』には、僕たちが持っているサイケデリックな部分を強調しようっていう狙いがあったんだ。今作のサウンドをカテゴライズするとしたら、ホークウィンドのソレに近いと思う(編注:ホークウィンドは、'70年代にカルト的人気を誇った、UKのサイケデリック・ハードロック・バンド)」
―多くの楽曲からは、ジャム・セッションのような展開を聴くことができますね。
J「ベース・ラインやドラムは、グルーヴ感を大事にしつつも、すごくこだわって構築している。だから、ジャム・セッションのようなところがあるとしたら、それは僕のギターだな」
―あなたは、サイケデリックでクレイジーなギター・エフェクトを多用していますが、エフェクトが好きなんですか?
J「好きだね。それと、バンド構成がギター、ベース、ドラムだけだから、迫力を出すためにギター・エフェクトで工夫しているんだよ」
―ギター・エフェクトの使い方では、どんなギタリストから影響を受けていますか?
J「う~ん……、プリンス(笑)」
―え〜?! 音楽性が全然違いますよね?
J「そうだね。彼は空間を埋めることができるタイプのギタリストだから好きなんだ。影響を受けているよ。ジミ・ヘンドリックスみたいに伝説のギタリストとして語られるアーティストではないけど、僕にとっては、過小評価されているんじゃないかと思うほど素晴らしい人物だ」
―トラック制作では、どんなことに注意を払いましたか?
アダム(Dr, Per 以下A)「リズムとグルーヴだね」
JC(Dr, Per 以下JC)「僕らは押し出すようなグルーヴ感をアピールしていきたいんだ」
―そこなんですけど、1月30日に行われたあなたたちのライブを見ているときに、トランスの野外レイヴから受けるような、脳にクるグルーヴを感じたんですよ。
一同「わっはっは(笑)」
A「最高の褒め言葉だよ。ありがとう。僕らはもともと、アグレッシヴなエレクトロニック・ミュージックも大好きなんだ。ザ・ケミカル・ブラザーズも、ロックと分け隔てなく聴いてきた世代に属しているからね」
―現在ニュー・レイヴというムーヴメントで括られているアーティストに比べると、あなたたちのサウンドには、もっと本質的なレイヴの高揚感や陶酔感が詰まっていると思います。
A「嬉しいことを言うね(笑)」
J「僕らのサウンドは、いろいろな音楽に首を突っ込んでつくられているからダンサブルなんだと思う。その点では、ニュー・レイヴ好きも含めて、いろいろなジャンルのリスナーにアピールできるサウンドだと思っているよ」
―ちなみにニュー・レイヴに関心はあるのですか?
J「クラクソンズのPVは好きだよ。CSSの音楽も好きだね。Modular Records(オーストラリアのインディーダンス・レーベル)のニュー・ヤング・ポニー・クラブも結構好きなんだけど、Modularはファッショナブルなイメージのリリースが多いから、ちょっと避けているんだ」
A「でもModularのカット・コピーとは親友だよ。LOUDには載ってる?」
―まだ掲載できていないんです。日本盤が出ないことになってしまって...。
A「ぜひ載せてくれよ! LOUDにはピッタリだと思うな」
―がんばってみます(笑)。ところで、ツイン・ドラムというバンド・スタイルを選んだのは、グルーヴ感を追求するためですか?
JC「そうだね。ドラマーが一人だと、グルーヴ感を追求するために一生懸命ドラムを叩かなきゃいけないから、サウンドのクオリティーが落ちてしまう。僕らは、グルーヴ感を大事にしつつ、サウンドも向上させたかったから、ツイン・ドラムを選んだのさ。ただ、最初はツイン・ドラムが特別なものだと思っていなかったんだ。今は、みんながあまりにもツっこんでくるから、そんなに不思議なものなんだ?って逆に驚いているよ」
―ツイン・ドラムのバンドは、珍しい存在だと思いますよ。
A「そうかな。オールマン・ブラザーズ・バンドやグレイトフル・デッドもツイン・ドラムだったと思うよ。昔の人だけど」
―たしかにそうですね(笑)。ツイン・ドラムの強みは、どんなところだと思いますか?
J「一つは、楽曲にバラエティーが出ること。例えば片方がストレートなロック・ビートをやっていたとしても、もう一方がダンサブルなビートで色づけできる。あとは見た目のインパクトかな」
―今作では、その強みが生かされていますね。最後に、ダンサブルなロックをつくるにあたって、重要視したことを教えてください。
JC「カウベルだね」
―あはは(笑)。「Vessels」で使っているタンバリンもその一つですか?
JC「そうそう(笑)」
J「…言葉ではうまく説明できないな。言葉で説明できるようになれば、今作よりもさらに良いアルバムをつくることができるんだろうね(笑)」


interview & text TAKAHIRO KAWAMURA
translation HANAKO TABATA


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