ZERO 7
ZERO 7 インタビュー141号
2001年にリリースしたデビュー・アルバム『Simple Things』が、本国イギリスはもちろんヨーロッパとアメリカでも大ヒットを記録した、ヘンリー・ビンズとサム・ハーデイカーによるダウンテンポ・デュオ、ZERO 7。2004年にセカンド・アルバム『When It Falls』をリリースした際は、大規模なツアーを敢行するまでに成長した彼らが、約2年ぶりとなる最新アルバム『ザ・ガーデン』をリリースした。既にイギリスではアルバム・チャートで初登場4位を記録している話題作だ。 ロンドンを離れてグラストンベリーで制作に臨んだという今作には、いくぶんメランコリーな佇まいだった前作よりも明るく和やかな雰囲気がある。昨年から注目されているシンガー・ソングライター、ホセ・ゴンザレス、デビュー時からZERO 7に参加しているシア・ファーラーをヴォーカリストとして招いた各曲は、従来以上にオーガニックなサウンドとエレクトロニック・サウンドが調和したものだ。 リラックスした雰囲気と高い完成度が魅力の新作について、ヘンリー・ビンズから話を聞いた。
―今作『ザ・ガーデン』は、前作で経験した喧噪を逃れて、再び二人でスタジオワークをしていた時代に戻ることがポイントとなったそうですね。そのような想いに至った経緯を教えてください。
「僕らは、感情的な重荷を置き去りたかったんだ。ロンドンでの僕は、何もまともに考えられないほど精神的にヒドくなっていた。だから、変化を求めて生まれ育った地を離れ、グラストンベリーに引っ越してきたんだ。そして、まず小さなスタジオを建てた。ちょうどデビュー盤をレコーディングしたときのような、こじんまりとしたスタジオだ。そこで心機一転して新作に取り組んだのさ」
―そのグラストンベリーでのアルバム制作はいかがでしたか?
「自宅スタジオができ上がった頃は、ちょうど三人目の子供が誕生したばかりだったこともあって、とてもエネルギッシュな気持ちに溢れていたね。スタジオを建設しているときは、サム(・ハーデイカー)も遊びに来てくれたし、徐々に自分のやりたいことがハッキリとしていった。グラストンベリーのスタジオには、大がかりなスタジオと違って最新設備が整っていなかったせいか、よりクリエイティヴな作品ができたね。選択肢の少ない環境の方が、断然クリエイティヴなアイディアが湧き出るんだ。ロンドンに住み続けていたら、アルバムをつくることさえできなかったよ」
―どんなスタジオなんですか?
「コントロール・ルームのあるスタジオは、自宅とは違う建物にあるんだけど、そのスタジオから自宅までケーブルを伸ばしてあるんだ。僕は、自宅のどの部屋からでも録音できる仕組みになっている(笑)。家中の部屋を使って、全員住み込みでレコーディングしたんだ。新居はオーク材を使用していて、楽器との相性が良いんだ。そのお陰で、新作ではアメリカン・カントリーやアメリカン・フォーク的な要素がエレクトロニック・ミュージックと融合したようなサウンドを生み出せた」
―なるほど。今作には、前作よりも明るくはつらつとしたムードがあると感じました。アルバムとしての全体像やテーマはあったんですか?
「テーマや全体像は特に決めなかった。感情に任せて、自由にやりたい音楽を制作していったんだ。これまでは考え過ぎることが多かったけど、新作では思いつくままに何にでも挑戦した。メロディだけじゃなくて歌詞も自分達で書いたしね。結果として、様々な音楽スタイルが融合したアルバムに仕上がったと思う。今回、もしかしたら自分達独自のスタイルを築くことができたかもしれない」
―“ザ・ガーデン(庭)”というアルバム・タイトルには、どのような意味やイメージを託しているんですか?
「アルバム・ジャケットの、黒い紙が引き裂かれたように見えるコラージュは、僕らの友人が古い壁紙をちぎってつくった『The Garden』という名のアート作品なんだ。グラストンベリーでの“平穏な生活”という意味もかけているんだけど、コラージュが何層にも重なっている様が、僕らのアルバムの音を上手く表現していると思ったんだ。例えば1曲目の「Futures」はフォーキーな曲調から始まってエレクトロニック・ミュージックへと発展していくし、オールド・ファッションな雰囲気を持つ「Throwing All Away」はブルースからインスピレーションを受けた楽曲だ。「Waiting To Die」は僕のガールフレンドのジュリーとシア(・ファーラー)が、ブラック・ユーモアを込めながら“この世の終わり”について話していたときに浮かんだ曲だよ(笑)。あと「The Pageant of The Bizarre」はバラード・ナンバー、といった具合だからね」
―ヴォーカリストとして参加しているスウェーデン出身のホセ・ゴンザレスと、今名前が挙がったお馴染みのシア・ファーラーを紹介してください。
「シアは全アルバム三枚に参加しているけど、強烈な個性の持ち主だ。オープンな性格が歌声にも反映されているね。彼女との曲づくりは、良いケミストリー(化学反応)が生まれるから、作業が楽なんだ。一曲に時間をかけることを好まないせいか、あっという間に曲ができ上がる。ホセのことは、昨年発売された彼のデビュー・アルバム『Veneer(ヴェニア)』で知ったんだ。サムも僕もあの作品が大好きで、大胆にも生まれて初めて直接電話をかけて、ゲスト参加を依頼したんだ(笑)。これまで参加してくれた人は、みんな友人や知り合いの紹介だったからね。で、どうやらホセは僕らのことを知らなかったらしいんだけど、ありがたいことに快く引き受けてくれた(笑)。彼は、ソロ活動の他にハード・ロック系のバンドにも参加しているんだ。面白いよね」
―あなた自身も初のヴォーカルにトライしていますが、どういった経緯で歌うことになったんですか?
「何で歌うことになったんだろう...それは僕自身にもわからない(笑)。でも、ZERO7のアルバムに新たな色彩を加えることができたと思う。初ヴォーカル参加は楽しかったよ! シアのような素晴らしいシンガーが歌う楽曲と一緒に収録されるのは恥ずかしいけどね。歌うことってホントに難しいよ。ライヴでは歌に精一杯で、オーディエンスの反応を見る余裕もないんだ(笑)」
―最後の質問です。ZERO 7の音楽で最も大切にしているのは何ですか?
「あり得ないような音楽的展開を大切にしている。僕はどちらかというと保守的な、楽曲ベースの作品が好きだけど、一般的な楽曲展開は避けているんだ。だから、僕らの楽曲制作は、暗闇の中で光を探し当てるような感じなんだ」
interview & text FUMINORI TANIUE
translation KEIKO YUYAMA
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ZERO 7
The Garden
(JPN) WARNER / WPCR-12395

