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ZERO DB インタビュー142号

 イギリスはニュー・キャッスルの音楽学校で出会った、クリス・ヴォガドとニール・クームストック。ヒップホップやジャズを手掛けていたクリスに対して、ニールは当時ロック・テイストの制作をしていたというが、二人は互いの価値観、作品のクオリティーに共感して意気投合、共に楽曲制作を開始した。記念すべき第一曲目が完成したとき、アーティスト名の必要性を感じた彼らは、ここから音楽活動をスタートさせるという想いを込めて、人間の耳が拾える音の最小単位である“ゼロ・デシベル”をその名に採用した。ここで御紹介する、ゼロ・ディービーの誕生だ。  ブリーピーなシンセ・ベースとジャジーでファンキーな上音を持ち味にする彼らは、'03年に発表したリミックス集『Reconstruction』で、一躍注目される存在になっている。このたびリリースされた『Bongos, Bleeps & Basslines』は、シーンからの期待が高まるなか、満を持して発表された、待望のファースト・アルバムと言ってよいだろう。大御所ジャズDJのジャイルス・ピーターソンが、「ビッグ・ルーム・ジャズ・クラッシュのスペシャリスト。間違いない!」とコメントを寄せるほどの快心作だ。  NINJA TUNE史上、最高クラスのリリースという呼び声も高い今作について、クリス・ヴォガドに話を聞いた。


―初のオリジナル・アルバムが完成しましたね。今、どんな気分ですか?
「最高の気分だよ。すごくエキサイトしている。このアルバムをリリースするまでに、長い時間がかかったからね」
―今作はNINJA TUNEからのリリースとなりました。NINJA TUNEと契約した経緯を教えて ください。 「15年ぐらい前の話になるんだけど、オレはNINJA TUNEのスタッフとして働いていたんだ。だからスタッフもよく知っていたのさ。DJをするとき、よくNINJA TUNEのクルーと一緒になっていたしね。そんなことの積み重ねが、今回のリリースにつながったんだ。NINJA TUNEからリリースできたのは、すごく良いことだと思っているよ」
―NINJA TUNEからのリリースに、どんな可能性を感じますか?
「NINJA TUNEは、今のこんなご時世でも成功している優れたレーベルだ。サポートもよくしてくれるし、最高だよ。それに、彼らにはノウハウもある。今作は世界に知られるリリースになると思うな」
―今作にはビッグ・ルーム仕様のマッシヴなダンス・トラックと、レイドバックなダウンテンポ・チューンをバランスよく収録しましたね。ハウス、ヒップホップ、ブレイクス、ブロークン・ビーツの要素を幅広く取り入れているのも魅力です。トラック制作のインスピレーションは、どんなところから得ていますか?
「今作を聴いてもらった印象そのままだよ。いろいろな音楽を聴くことからだね。DJをする時は、ジャズだったり、ヒップホップだったり、一つのジャンルにかたよりがちだけど、楽曲制作では様々なジャンルを手掛けられるんだ。ラテンでもジャズでも、なんでも自由につくれるのさ」
―ジャズやラテンの洗練されたテイストを持つクロスオーバー・トラックは多々あれど、ゼロ・ディービーほどパワフルなドラミング、そしてダーティーな極太ベースを鳴らすアーティストは稀だと思いますし、そこが長所だと感じます。楽曲制作で意識していることは何ですか?
「そうだね。たしかに稀だと思うし、そうありたいね。楽曲制作では、DJから学んだことが役に立っているよ。ビッグ・ルームで何が引き立つのか、そんなポイントを意識しているね」
―制作の方向性はどうやって決めているんですか?
「まずビートやサンプルをいじるんだ。そこから生まれたものに従って、曲の方向性を決めている。オレたちにとっては、それが一番心地良いやり方なのさ。最初に“今日はヒップホップをつくるぞ!”と話し合ったりはしないよ」
―随所にちりばめられたパーカッションやピアノ、ヴィブラフォンなどのインストゥルメンタルは、今作のために演奏したものなんですか? それとも、サンプリング?
「いくつかの生楽器はこの作品のために録音したものだけど、サンプリングも使っているから半々だね。はじめから両者を混ぜて使いたいと思っていたんだ。そうじゃないと、ライヴ・サウンドか、サンプリング・ミュージックのどちらかになってしまうから。生音、サンプル、それぞれの特徴を活かして使ったよ。ミュージシャンと一緒の制作は楽しかったな。ドラムは結構今回のために録音したんだ。その上にサンプリングも加えたから、タイトでナイスなものができたと思う」
―ボーカルやMCを起用したトラックもありますね。ファイヴ・ディーズのペイス・ロックらをコラボレーターに選んだのはなぜですか?
「ペイス・ロックの「The Hype」という作品がすごく気に入っていたから、彼と一緒にやりたいとずっと思っていたんだ。実は彼がファイヴ・ディーズの一員とは知らなかったんだけど、本当に素晴らしい曲だと思っていたよ。他の参加者では、ボイスもオレたちのお気に入りだね。本当に素晴らしい声の持ち主なうえに、さえたフローも持ち合わせている。今回一緒に作品を手掛けたアーティスト達とは、また一緒に作品をつくりたいと思っているよ」
―今作の収録曲で、特に推したいお気に入りのトラックはありますか?
「タイトル・トラックの「Bongos, Bleeps & Basslines」かな。最もストロングな曲だし、すごく楽しく制作できたんだ。おもいっきりロックする曲だよ!」
―今作のリリース後、ツアーを予定していると思いますが、 来日予定はありますか?
「12月にDJ来日する予定だよ。今はまだ調整中だけどね。来年にはライヴもやりたいな」
―今作は、ジャイルス・ピーターソン、LTJブケム、アッティカ・ブルース、ヤム・フー?など、シーンの第一人者たちから絶賛されていますね。そこで、今後の活動への意気込みを聞かせてください!
「もっともっとこういう音楽を聴く人を増やしたいね。インテリジェントなハウスやヒップホップを、より多くの人に聴いてもらいたんだ。あと、お金のためではない、アーティスティックな作品をつくり続けたいな。それと、何よりオレたち自身が大のパーティー好きだから、楽しみながら活動していきたいとも思っているよ」
―パーティーして、制作もして、ツアーも回る。そんなアグレッシヴなパワーの源は何ですか?
「音楽だよ! 音楽がオレをダメにしたんだ(笑)。起きてから寝るまで、ずっと音楽を聴いている。ニールもそうだね。ニールは悪い音楽を聴くとストレスがたまるみたいで、文句をよく言っているよ(笑)。オレは、酷い音楽がクラブでプレイされているとその場を去るんだけど、ニールはストレスをためちまう。それをどうにかするために、オレたちは音楽制作をしているのかもしれない(笑)」


interview & text SOICHIRO NAITO
translation MIMI SHIMADA


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ZERO DB
Bongos, Bleeps & Basslines

(JPN) BEAT / NINJA TUNE / BRC-158

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